平成14年度 国際交流基金賞/奨励賞 授賞式 ワルシャワ大学東洋学研究所日本韓国学科長 ミコワイ・メラノヴィチ氏 挨拶

ミコワイ・メラノヴィチ氏写真1

 国際交流基金の奨励賞を頂きましたワルシャワ大学の日本学科を代表いたしまして、お礼を申し上げます。

 現在、ポーランドでは、三つの大学において、日本学、すなわち日本文学や言語学などの学位取得することが出来ます。日本語教育でもっとも古い伝統を持つワルシャワ大学(1919年から)の日本学科(正式名称は日本・韓国学科)、そしてポーランドで一番古い、クラクフ市にあるヤギエウオ大学、それから国際見本市で有名な、西ポーランドの、ポズナニ市の大学にある日本学科の三つであります。クラクフとポズナニの日本学科は15年前に設立されました。この三つの日本文化研究センターは、お互いに協力しあって日本文明、日本文化の研究とその基礎にある日本語教育を促進しようとします。これらの大学は、博士学位の取得に際し、相互依存の関係にありますから、頂いた奨励賞はワルシャワ大学だけではなく、クラクフやポズナニ両大学の日本学発展の励みにもなります。

 ワルシャワ大学の日本学科は、日本文化学科の意味で、日本の言語・文学・歴史・思想・芸能などの文化を多面的な視野から追求すると同時に、日本文化と深い関わりを持つ韓国・朝鮮や中国の言語・文学などの文化を考察し、研究する学科であります。
ワルシャワ大学日本語教育の歴史の話を省略させて頂きますが、ここで、私どもの学科の国際的交流関係に触れてみたいと思います。

ミコワイ・メラノヴィチ氏写真2

 まず1980年にワルシャワ大学において、日本をテーマにした国際会議が開催されました。この会議は元社会主義国において、東西の日本研究者が共に参加した、初めの会議であり、これは大変注目に値する出来事でございました。23年前に東海大学の協力で、国際交流基金の援助の下、東西のヨーロッパの一番有名な日本学者が<現代日本に於ける人と社会>というテーマで議論を行ないました。また1994年には、ワルシャワ大学日本語教育の75周年記念国際会議が行なわれた際には、東京大学をはじめその他の日本の大学の協力を得ました。

 来年2003年には大勢の日本研究者がワルシャワに集まることになっており、大変楽しみにしております。これはヨーロッパ日本研究協会の第十回定例会に伴う学術会議が、ワルシャワ大学で行なわれることになっております。ヨーロッパのみならず、日本やアメリカからも大勢の学者が集まり、研究成果を発表する予定ですが、日本研究の今後の展望を考察することになるでしょう。どうかワルシャワ2003年会議にご参加くさいますようにお願い申し上げます。

 今回の奨励賞を受賞する前の7月12日、天皇皇后両陛下がワルシャワ大学をご訪問なさいました。私どもにとっては最も貴重な出来事になり、また、日本文化研究発展の刺激にもなりました。学生たちを初め、我々は深い感銘を受けました。

 来年は、ワルシャワ日本研究会議のみならず、日本研究をはじめ日本と外国との交流に大きな役割を果たしてきた国際交流基金設立記念行事も行なわれると聞いております。国際交流基金の援助がなければ、日本研究の発展は難しいでしょう。過去を振り返ってみますとポーランドの日本研究や日本語普及には国際交流基金が、多いに貢献してきました。特に、書籍援助、教師派遣、日本での研究援助、出版援助、日本学術会議援助などの分野は日本文化普及のために重要な役割を果たしてきました。これまでの国際交流基金の支援に対してお礼申し上げるとともに、ワルシャワ大学日本韓国学科の代表として、今回の奨励賞をつつましく頂戴いたします。

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