平成25(2013)年 受賞者
受賞者プロフィール・受賞者と国際交流基金との関わり・
受賞にあたってのコメント
入江 昭(ハーバード大学名誉教授)【日本】
Akira Iriye (Professor Emeritus, Harvard University)
1934 年10 月20 日生まれ。成蹊高校卒業後、1953 年に財団法人グルー基金奨学生として渡米。1957 年ハバフォード大学卒業、61 年ハーバード大学院歴史学修了、博士号取得。専攻はアメリカ外交史。日本出身のアメリカ合衆国の歴史学者として長年にわたって活躍してこられました。思想・文化の影響力を重視するアプローチを特色とし、一国の外交史研究を超えた多国間の視点とその相互作用を組み込む「国際史」研究を提唱、「アメリカのディプロマティックヒストリーのありかたを変えた一人」と称されています。日本出身者として初めてアメリカ外交史学会会長やアメリカ歴史学会会長を務める等、「海外で活躍する日本人」として日米交流におけるパイオニア的存在です。
受賞者と国際交流基金のかかわり
入江昭氏には国際交流基金日米センター(CGP)評議員を長年務めて頂き、国際交流基金主催「20世紀に関するシンポジウム」(1983年)・「20世紀シンポジウム 世紀の終わりに―過去に未来を探る」(1993年)をはじめ、欧米や中国等でも、同氏をお迎えし、日米関係史や国際関係をテーマにした講演会や集中講義を実施してきました。また同氏が編纂された「日米戦後関係史Partnership: The United States and Japan 1951-2001」の出版、著書「日本の外交―明治維新から現代まで」「新・日本の外交―地球化時代の日本の選択」のベトナム語への翻訳等にも支援を行なっています。
コメント
私が留学のため初めて渡米してから、丁度今年で60年になります。そのような折りに思いがけず国際交流基金賞をいただくことになり、たいへん光栄なことと、深く感謝しております。国境を越えた学術や文化の交流のために身を砕いてこられた各国の人たちの存在を常に意識しながら、私もささやかな努力を続けていきたいと思っています。
山海塾【日本】
(C) Hitomi_SATO
SANKAI JUKU [Japan]
山海塾は、1975 年に主宰・天児牛大(あまがつ・うしお)氏によって設立された舞踏カンパニー。現在、9 名の男性舞踏手が所属。1980 年より海外公演を開始し、アジア、欧州、南米、北米の世界44 カ国のべ700 都市以上で公演を重ねてきました。主にフランスを拠点として、およそ2 年に1 度のペースで新作を発表しつづけています。
従来の西洋の舞踊が動的な美であるのに対し、舞踏は、地球の重力を感じるようにゆったりと舞い、人間の内的本質に迫るものです。身体言語に基づき洗練されたきめ細やかな動きは独自の表現形態を創りあげてきました。その作品は、世界のさまざまな文化圏で支持され、評価を得ています。演出・振付のほか、空間や衣裳のデザインは総合的に主宰が創作しています。作品『遥か彼方からの―ひびき』が舞台芸術賞「ローレンス・オリヴィエ賞」の最優秀新作ダンス作品賞を2002 年受賞。
受賞者と国際交流基金のかかわり
国際交流基金は、山海塾が設立され海外公演を開始した初期段階より、1982年欧州公演(スペイン、ドイツ)をはじめに、1984年第5期海外公演(オランダ、カナダ)、1998年ロシア・東欧ツアー(国際交流基金主催)、2000年欧州・南米公演(オランダ、コロンビア)、2006年北米12都市ツアー公演、2011年5月ドイツ公演、2012年ロシア公演(モスクワ・サンクトペテルブルク)等、支援を行なってきました。2012年ロシア公演のレポートを国際交流基金「をちこちマガジン」よりご覧頂けます。
コメント
国際交流基金賞受賞は、大変うれしく、名誉なことと思っております。ひとえにいままでの活動で出会った多くの方々の励ましの賜物と感謝しております。
泰日経済技術振興協会 【タイ】
Technology Promotion Association (Thailand-Japan) [Thailand]
1973年、日タイ貿易摩擦による対日感情の悪化を憂えた元日本留学生・研修生が中心となり、タイ国の経済発展のため、日本からタイへの技術移転、人材育成を目的に設立された公益法人。
技術セミナー研修、工業計測機器・実験機器の校正、WEB ビジネス事業等の各種事業を展開する他、年間8 千人以上の受講者を擁するタイ国内で最大の民間日本語学校を運営し、開校以来40 年間で延べ20 万人を超える日本語講座修了生を輩出してきました。あわせて、日本語教材・辞書や日本文化関連書籍の制作・出版、日本語教師向け研修・セミナーの実施、日本語スピーチ・コンテストや日本文化フェスティバルの開催等、同国における日本語の普及・振興に大きく貢献しています。また、2007 年には日本語を必修とした工学系私立大学の泰日工業大学(TNI)を開学し、2011 年に225 名の第一期卒業生を送り出しました。在留邦人に対するタイ語教育でも同国内最大の機関であり、日タイ両国間における国際交流および人材育成に大きな役割を果たしています。
受賞者と国際交流基金のかかわり
同協会の日本語教育事業については、日本語教材の寄贈、日本語教師に対する日本での研修機会の提供、日本語教材制作の助成等、様々な形で支援を行なってきました。また、同協会との共催でタイでの教師研修会を過去に多数開催してきた他、タイの中等教育機関で日本語を選択科目として学ぶ生徒や様々な機関で週に1、2回程度日本語を学習している人を対象にした日本語教材『こはるといっしょに ひらがなわぁ~い』『こはるといっしょに にほんごわぁ~いⅠ』も共同開発しています。
コメント
この度、国際交流基金賞を受賞できましたこと、大変嬉しく光栄に思っております。協会事業の柱のひとつである日本語教育事業にお力沿えを頂いてきた国際交流基金に40年間の活動を認められ、受賞が叶いましたことは大きな喜びであります。今後はタイ国内のみならず、近隣諸国へも活動を展開し、産業・経済など横関係の発展の手助けとなるような事業を、これまで以上に推し進めて参りたいと思っております。
[お問い合わせ]
国際交流基金コミュニケーションセンター
電話: 03-5369-6075 Fax: 03-5369-6044