国際交流基金賞 特別企画~受賞者が見るコロナ下での国際交流~
モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学日本語学科からのメッセージ

モスクワ国立大学の写真

2014年受賞

モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学日本語学科

―この一年、コロナは活動にどのような影響を及ぼしましたか。また今後の国際交流の在り方、展望についてお聞かせください。

国際交流基金の皆様、長きにわたり継続、発展されてきたご活動、ご協力、ご支援に対し、衷心より御礼申し上げます。

既に一年近く続いているコロナウイルスは様々な困難をもたらし、国際文化交流も難しくなったことは否定できません。同時に、私たち、日本語、日本文学、日本関係の色々な科目を教える教師、研究者は多くの困難に直面してきました。日本語教育の主な課題は日本語そのものだけでなく、日本文学、文化、伝統、習慣を教えることではないかと思われます。大学を卒業した青年は将来様々な分野で働き、日本とロシア、両国間の相互理解、相互信頼を深めるような「架け橋」となると期待しております。モスクワ大学としては以前から今まで日本語教育を熱心に進め、様々な知識を身につけた、優れた専門家を育成してきました。私たちはみんなどんなことがあってもコロナがなかった、前の時代に劣らない日本語教育のレベルを守りたいと考えています。しかし、現在の状況の中で色々な困難なことがあります。仕方なく、本学は、一部もしくは完全にオンラインに移行したり、Zoom、Skype、Office 365、Teamsなどのツールを使ったりしています。言うまでもなく、対面形式よりも大きな努力とエネルギーが必要ですが、教職員も学生も必死に頑張っております。今年の3月から今までの経験を見れば、コロナの影響があまりない授業と大きな影響を与える授業があると分かりました。例を上げれば、講義とレクチャーは教室で行われる講義と殆ど変わらないものです。しかし、読解、会話、聴解、露日・日露通訳、翻訳、漢字などの科目は以前も多くの準備活動が必要ですから、教師は普段より2、3倍の努力を払っています。とくに時間がかかるものはテストと試験です。一番こまったのは大学内の、教師と学生の自然で、自由な交流がないということだと思います。それに学生も別々のところ、家か寮の部屋でオンラインのレクチャーや授業に参加しても孤立しているような気がします。以前は楽しくチームで働き、もっと効果的に勉強することができたと思います。しかし、このような条件の下でも私たちは日本に関する教育を鋭意進めており、他の活動も行い続けております。国際会議を含む学術会議も開催し、研究活動も活発に行っております。毎年10月の始め頃モスクワ国立大学で「学問のフェスティバル」が開かれていますが、今年もオンラインで行われました。日本語学科の教師と学生は茶道の説明をし、書道のクラスを行い、モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学にある東洋学の博物館の話をしました。勿論、他の学科のプログラムがありましたがオンラインのイベントで日本語学科の教師と学生による話を聞いた学校の生徒はもっともっと日本に対する関心が深まり、来年モスクワ大学に入学して日本語学科の学生になるのではないかと考えられます。最近、オンラインによるモスクワ大学生日本語スピーチ・コンテストも開催いたしました。こうして、コロナが続く中でも、コロナが終わった明るい明日に向いています。

国際交流基金は、いかなる困難に見舞われようとも、あらゆる問題を乗り越えて、従来の活動形式に新たな形式を加えて、従来にも増して素晴らしい、世界中を結ぶ活動を展開され、新時代を開かれていくことを固く信じております。今後のますますのご活躍とご発展を切に祈念いたします。

ステラ・アルテミェヴナ・ブィコワ学科長

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