国際交流基金賞 特別企画~受賞者が見るコロナ下での国際交流~
エヴァ・パワシュ=ルトコフスカさんからのメッセージ

エヴァ・パワシュ=ルトコフスカさんの写真 cpyright マルシー深堀瑞穂

2019年受賞

ワルシャワ大学教授

エヴァ・パワシュ=ルトコフスカ

―この一年、コロナは活動にどのような影響を及ぼしましたか。

日本・ポーランド、世界学術等の交流の発展のための、私のささやかな活動を評価していただき、2019年11月に東京で開催された国際交流基金賞の素晴らしい受賞式を今日思い出してみても、それが現実にあったこととは信じられません。私たちは今、新型コロナウイルスの感染爆発により、生活上でも仕事上でも、あらゆる計画が制約され、中止になるという、全く別の現実を生きています。そのことは、日本研究者で歴史家、また研究者で大学教員である私にも、当然影響を与えています。2020年3月には、ワルシャワ大学学長の決定にしたがい、国外出張や国際交流は断念し、同時に、遠隔授業を始めなければなりませんでした。そのおかげで、学生との関係が維持できたのは幸いでしたが、互いを良く知り、理解するための直接の会話は今も欠いたままです。研究活動にもさまざまな制約があります。国際学会も国内学会も中止しなければなりませんでしたが、幾つかの学会がオンラインで開催されたのは、学問の発展のためには良かったと思います。しかし、日本研究者である私にとって最もつらいのは、研究のために日本に行くことができないことです。新しいテーマのために資料を探し、専門家と議論し、自身の研究成果を発表するだけでなく、日本とその素晴らしい文化についての知識をさらに深めることに、常に時間を割いてきました。このような「直接の体験」の欠落は、私にとって何より受け入れがたいことです。なぜなら、研究者にとって欠くことのできない、たゆまぬ成長が妨げられるからです。しかしながら、近々、失われた時間を取り戻すことができるものと願っています。

―今後の国際交流の在り方、展望についてお聞かせください。

現在の、世界規模での非常に困難な状況は、国際交流にも影響を与えています。これもまた、日本研究者や、日本・ポーランド関係の専門家にとって、きわめて重要なものです。両国が2019年に外交関係樹立100周年を迎え、ポーランドでも日本でも、さまざまな記念行事が開催されたことは、幸運でした。そのクライマックスは、皇嗣同妃両殿下のポーランド訪問でした。2020年にも多くの催しが企画されていましたが、残念ながら断念せざるを得ませんでした。渡航ができないため、公式・非公式の訪問も、助成金を得ての滞在や(日本研究者にとってきわめて重要な)研究滞在も、学会も講演も、展覧会も演劇も、コンサートやリサイタルもできません。私たちの活動はインターネットへと場を移しました。今日の状況下では、とても貴重な機会ですが、おそらく誰もが「平常」が戻り、直接会えるようになることを望んでいます。それはオンラインの出会いには代えがたいものです。あらゆる感染症の流行がそうであるように、新型コロナウイルスの流行も、いずれ終わることを願っています。その時には再び私たち日本研究者も、国際交流の一部を成すポーランドと日本の友好関係のさらなる発展や、両国の学術・文化交流に関する計画を実現することができるでしょう。感染爆発を早く収束させ、健康に再び「平時」に戻るため、私たちにできる、あらゆることをしなければなりません。その時、私たちは、自らの計画の実現に向けて、2倍のエネルギーで進めるはずです。できるだけ早く、そうなりますように。

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