2017年度国際交流基金地球市民賞 受賞団体

多様な文化の共生の推進

2017年度 受賞

芝園団地自治会

埼玉県川口市

代表者
韮澤 勝司
設立年
1981年
ウェブサイト
芝園かけはしプロジェクト
ソーシャルメディア
https://www.facebook.com/pg/shibazonokakehashiproject
芝園団地自治会の写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

活動内容

芝園団地自治会は、1981年に設立後、約40年にわたり、住民福祉の向上、住環境の整備などの活動をしてきました。
2017年12月1日現在、人口約4,800人の内、約2,500人が外国人住民で、その9割以上が中国人住民です。また、60代以上の日本人住民と、20代後半~30代の外国人住民が住む「将来の日本の縮図」です。
生活習慣の違いから生じる両住民の溝を埋めるべく、外国人住民に自治会役員を担ってもらったり、地元外の学生団体「芝園かけはしプロジェクト」と協働し、「中国人住民による中国語教室」など、外国人住民が主体的に活躍できる場を設けたり、外国人住民向け自治会パンフレットを両住民で共に作成したりしています。また、中国版LINEといわれるSNS「ウェイシン」で情報発信などを通じて、問題の緩和と交流の促進の両面から「多文化共生の地元づくり」を推進しています。

授賞理由

コミュニティーが直面する課題に対応する多文化共生の先進的事例

埼玉県川口市にある芝園団地は1990年代後半から中国人住民が増え始め、2009年には住民の約4割が外国人となり、2011年に生活習慣の違いなどから住民の不満がピークに達しました。
交流イベントの開催、中国語のSNSを活用した情報発信等、自治会の様々な取り組みの結果、中国人の自治会役員も登場するなど、共生の意識の根付く活気にあふれる団地となりました。外国人住民が担い手として参画し、また、学生団体「芝園かけはしプロジェクト」との協働等、開かれた自治会運営をしています。地域における国際交流は、日本人だけで準備し、外国人はお客様として参加することもありますが、芝園団地は住民が相互に参加する多文化共生の好事例と言えます。
日本人住民と外国人住民とで試行錯誤を積み重ねてきた本自治会の取り組みは、これから日本全国のコミュニティーが直面する課題に対応する新たなモデルとしても意義があります。

受賞団体からのコメント

今回の受賞を機に、芝園かけはしプロジェクトとの協働を深化しつつ、地元内外組織との連携を強化して、地域住民・学生・各組織にとって三方良しになる活動をより一層展開したいです。
また、生産年齢人口の減少に伴い、隣近所が外国人住民になる時代も間近です。その際、私たちの多文化共生の地元づくりの経験が、他地域の参考になることで、国籍を問わず誰もが住みよい地域社会の形成に貢献できれば嬉しく思います。


市民連携・国際相互理解の推進

2017年度 受賞

特定非営利活動法人 Nagomi Visit

東京都港区

代表者
楠 めぐみ
設立年
2011年
ウェブサイト
https://nagomivisit.jp
ソーシャルメディア
https://www.facebook.com/nagomivisit/
Nagomi Visitの写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

活動内容

日本に住む一般家庭が、訪日外国人旅行者を自宅に招き、家庭料理を食べながら2、3時間の国際交流を行う活動をしています。
近年、旅行者が旅先でその土地に住む人々と交流できるサービスは世界的に増えていますが、Nagomi Visitは、両者が単なる「お客様とおもてなし係」として当日限りの交流を消費してしまうのではなく、両者が友人として腹を割って話ができる交流をすることこそ、個々人の視野が広がる鍵であると考えています。「同じ釜の飯を食う」ことは、初対面同士の心理的なハードルを一気に下げる手段です。「ちょっとしたことだけど、素敵な思い出」を持つ人がゲストやホスト両方の立場で増えていくことによって、世の中の、特に無理解が原因で起こっている差別や無関心を減らすことを目的に、活動しています。

授賞理由

「これならできる!」お茶の間からはじまる国際交流

Nagomi Visitは、海外から訪れる人々が日本の一般家庭で「ホームビジット」体験ができるよう、訪問者と一般家庭のマッチングをしてきました。ホストと家庭料理を囲んで2~3時間の国際交流を行うこの活動は、2011年の設立以来、年々広がりを見せており、ゲスト数は設立初年の177人から2016年には1,509人に伸び、ホスト登録件数も42都道府県、900組に上っています。
この活動の面白いところは、これならやってみようという一歩を踏み出しやすい、とても気軽に国際交流ができる点です。ゲスト側は全世界から、ホスト側は日本全国で、という地域的広がりがある点も際立った特徴です。 人的にも財政的にも最小限の体制でなされていますが、寄付金や補助金に頼らず、持続可能性が高く、ウェブを活用した国際交流活動として先進的な取り組みであると評価できます。

受賞団体からのコメント

草の根レベルで活動を続けてきた「世界中の旅人と食卓を囲むホームビジット」に対し、この度地球市民賞という賞をいただき、大変光栄です。Nagomi Visitで多くのゲストと出会い、「人生が変わった」「世界を見る目が変わった」と仰る方や、国内外でゲストと友人として再会を果たしている方も増えています。これからも、活動の趣旨に賛同してくださるホストの皆さん、参加者のゲストの皆さん、そして活動を応援してくださる多くの皆さんに感謝し、丁寧に運営をしていきたいと思います。


文化・芸術による地域づくりの推進

2017年度 受賞

特定非営利活動法人 黄金町エリアマネジメントセンター

神奈川県横浜市

代表者
竹内 一夫
設立年
2009年
ウェブサイト
http://www.koganecho.net/
ソーシャルメディア
https://www.facebook.com/koganechobazaar/
黄金町エリアマネジメントセンターの写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

活動内容

黄金町エリアマネジメントセンターは、横浜市中区の初音町、黄金町、日ノ出町を合わせた通称「初黄・日ノ出町地区」を主な活動エリアとする NPO法人です。
2008年に開催したアートフェスティバル「黄金町バザール2008」の成果を踏まえ、「アートによるまちづくり」を主軸とした日常的なまちづくり活動を進める団体として、2009年に発足しました。
かつて違法風俗店舗が立ち並ぶまちだった地区を二度と昔に戻さないよう、地域・行政・警察・大学・アーティスト等と連携しながら、アートを通じて創造的で特色ある「界隈」の形成を進めています。

授賞理由

人をつなぎ、地域をつくるアートの力で安心・安全なまちづくり

横浜市初黄・日ノ出町地区は、2000年代初頭、売春等を行う違法特殊飲食店が急速に増え、住民が近づきがたい街になっていました。住民の声をきっかけに一斉摘発が行われ、2008年、高架下にアートを生かしたまちづくりがスタートしました。黄金町エリアマネジメントセンターは2009年に設立され、関係者の緊密な連携のもと、安心・安全の回復と日常的な賑わいの創出を進めてきました。
地域一帯が舞台のアートフェスティバル「黄金町バザール」の開催を中心に、地域の新たな魅力を内外に発信しています。また、アジア諸国を中心としたアーティスト・イン・レジデンス交換プログラムを積極的に行っており、外国につながりを持つ住民も多数暮らす同地域で、アーティストが人々の交流の橋渡しをしています。
課題に正面から向き合い、地域の可能性を日常的に模索し、真摯で地道な文化交流を続けてきました。

受賞団体からのコメント

このような形で私たちの活動を高くご評価いただきましたことに深く感謝申し上げます。とりわけ若いスタッフたちにとってはようやく日頃の苦労が報われたという特別の感慨があるのではないでしょうか。私たちの仕事は多くの方々との連携によって成り立っています。地域のみなさんをはじめ、行政、警察、企業、大学の関係者の方々、そして黄金町のアーティスト、一緒に仕事をした国内外のアーティストの皆さん、そして黄金町を卒業した元スタッフの皆さんとともにこの喜びを分かち合いたいと思います。ありがとうございました。 

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