2023年度国際交流基金地球市民賞 受賞団体

2023年度 受賞

特定非営利活動法人

WELgee

東京都渋谷区

代表者
代表理事 渡部 カンコロンゴ 清花
設立年
2016年
ウェブサイト
https://www.welgee.jp/
ソーシャルメディア
Facebook
X
WELgeeの写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

授賞理由

難民が未来をデザインできる社会を切り拓く

NPO法人WELgeeは、日本にやってくる難民のキャリアや人生の目標に基づく教育プログラムを提供し、雇用企業とのマッチングや就労後の伴走支援を通じて、誰もが未来を描ける日本をめざした活動を行っている。これまでに400人以上の難民に伴走し、20人が専門性を活かした仕事に就いている。活動は就職支援に留まらず、難民経験者が講師を務める企業との連携研修やSDGsをテーマにした座談会などを通じて、難民のキャリアアップと国際理解の促進にも新たな挑戦を行っている。WELgeeのアプローチは難民支援のみならず、在留外国人支援や国際理解活動においても示唆に富むものである。

受賞団体からの活動紹介・メッセージ

WELgeeは2016年に、当時学生だった創設メンバーと難民の若者たちとの出会いから始まった団体です。現在は、フルタイム職員6名、専門職キャリアコーディネーター5名、本業での経験を活かしながら、様々な形で関わる50名以上のプロボノやインターンがともに活動しています。

2022年末、世界で1億840万人以上が紛争や迫害により故郷を追われていると発表されました(UNHCR)。私たちが暮らす日本にも、平和や安全を求めて逃れてきた難民の背景を持つ方々が暮らしています。命を繋いで日本に辿り着き、難民申請をし、結果を待ち続けている人々。しかし、日本で難民として認定される確率は2%(2022年)です。難民認定が下りなければ、日本での在留資格喪失や、就労許可の喪失、収容といった可能性も考えられます。難民申請の結果を待っている間、何年間も宙ぶらりんな状態で生きるしかない彼らとの対話を通じて見えてきたのは、母国で培った経験や専門性を日本の社会で活かしたいと考えている方々が、難民の背景を持つ人たちの中にも沢山いるということでした。専門性やこれまでの経験を活かす形で、企業での正規就労が叶うと、難民申請中の不安定な法的地位から、仕事に紐づく在留資格に変更することが可能になります。それにより、経済的・社会的・法的に安定した状態で暮らし、「働く」を手段に人生を再建することが可能になるのです。

―WELgeeはこれを、辿り着いた国・日本での1つの選択肢として、提案・実践しています。

難民一人ひとりの強みを、日本企業のダイバーシティ推進・イノベーション創出・ビジネス展開に活かす人材コーディネーションサービス「WELgee Talents」、キャリア教育やメンターシップ、スキル開発などの育成機会を提供する「育成事業」、一人ひとりのスキルや経験を、日本社会の様々なアクターの課題解決に生かし、互いの強みを生かした価値創造を行う「共創事業」をWELgeeは運営しています。

受賞の言葉

「難民問題」は、どうしても、国連や各国政府、弁護士や支援団体にしか手が出せない専門的な領域のような気がするかもしれません。しかし実は、既存の社会のアクターが、彼ら彼女らと社会の接点を提供する、そして新たな価値を共に作り出すことで、人生の選択肢をいくつも増やしていくことが可能なのです。今回の受賞が、日本で頑張る彼らの存在やWELgeeの活動を新しく知ってくださる方々と繋がっていく機会になったら嬉しいです。

2023年度 受賞

社会福祉法人

国際視覚障害者援護協会(IAVI)

東京都板橋区

代表者
理事長 石渡 博明
設立年
1971年
ウェブサイト
https://iavi.jp/
国際視覚障害者援護協会(IAVI)の写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

授賞理由

視覚障害のある若者の日本の盲学校留学を支援

国際視覚障害者援護協会(IAVI)は、アジアをはじめとする発展途上国から視覚障害のある若者たちを日本に招き、盲学校への留学支援を通して、あん摩マッサージや鍼灸の職能を身に着ける手助けとなる活動を続けてきている。団体創設52年の間に19か国・地域から89名の留学生を日本に受け入れ、自立や社会参加が困難な国々の視覚障害者に対して、未来を切り拓くきっかけを提供するとともに、発展途上国の障害者理解の増進にも貢献してきた。

留学生たちは帰国後、盲人協会の会長となり母国の障害者福祉のリーダーとして社会に貢献する例もみられ、視覚障害のある若者たちの自立や社会参加を後押しし続けている。

受賞団体からの活動紹介・メッセージ

国際視覚障害者援護協会(略称、援護協会またはIAVI)は、就学、就労の機会に恵まれないアジア・アフリカ・ラテンアメリカの視覚障害者の日本留学を支援する団体です。

主に盲学校で3年間、三療(鍼・灸・あん摩マッサージ)を学習してもらい、帰国後は、日本で学んだ知識や技術、日本社会で体験した障害者福祉や福祉サービスを元に、自立・社会参加を果たすと共に、視覚障害者のリーダーになってもらうことを目的に、1971年に設立されました。

そのため、盲学校入学前の6か月間、板橋にある事務所兼研修施設で、日本語・日本点字の学習、白杖を使っての歩行訓練、泊まり込みによる生活訓練といった予備研修を受けてもらいます。盲学校入学後も、ビザの変更・延長など種々の書類作りから引率、盲学校の寄宿舎が閉舎になる長期休暇中の宿泊場所の提供や人員の手配、新年会や進級・卒業お祝い会、地域との交流会など各種行事の案内・手配・・・と、留学生活が楽しく順調に運べるよう、各種の下支えを行なっています。

それと共に、帰国した元留学生たちとの交流、留学生同士の交流といった形でのアレンジやブラッシュアップも欠かせません。そうした活動の中間集約的なものとして2019年秋に、9か国・地域から元留学生12名を招聘し、在日中の留学生16名と共に「白い杖の留学生国際大会」を開催し、情報交換・交流の催しを実施しました。

その結果、相互の絆が強められただけでなく、台湾の元留学生の発案で日台によるケニアの視覚障害者に白杖や点字器をプレゼントする活動が実を結ぶといったことも実現できました。文科省の補助金廃止やコロナ禍による一時的な停滞もありましたが、今も地道な活動が続けられています。

受賞の言葉

本賞には、これまでも自薦で何回か応募してきましたが、いずれも落選で、今回こうして受賞できたことは本当に嬉しい限りです。関係者の皆様方には、心から感謝いたします。何よりも、日本での経験を元に自立・社会参加を果たし、日本との懸け橋となって活躍している元留学生の皆さん、これまで援護協会を支えてくださった会員やボランテアの皆さんと、感動を分かち合うと共に、この受賞を大きなステップにして、前進していく決意です。ありがとうございました。

2023年度 受賞

特定非営利活動法人

ABCジャパン

神奈川県横浜市

代表者
理事長 安富祖 美智江
設立年
2000年
ウェブサイト
https://www.abcjapan.org/
ソーシャルメディア
Facebook
X
ABCジャパンの写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

授賞理由

「当事者」としての伴走支援と、「鶴見人」としての地域に開かれた関係づくり

日系ブラジル人当事者によって設立されたABCジャパンは、神奈川県鶴見区を中心に、教育・進学・就労等、外国人住人の人生に寄り添った幅広い支援を行ってきた。また、ルーツ国の文化を学び、紹介する機会を子どもたちに提供し、彼らが誇りを持てるよう後押し。こうした環境で育った卒業生が、現在社会の担い手として活躍しつつある。各種事業では学校や行政と連携し、「共に鶴見に暮らす住人(鶴見人)」という共通点で、地域とオープンな関係性を築いてきた。在住外国人自らが地域の中で積極的に活動する同団体の取り組みは、「日本人が外国人を支援する」という従来の関係性を超えるものであり、今後他地域のモデルとなることが期待される。

受賞団体からの活動紹介・メッセージ

ABCジャパンは、横浜市鶴見区に住む日系ブラジル人が中心となって2000年に設立した団体です。日本で働き、子育てをし、生活する中で感じた多くの課題を解消したいという思いから団体を立ち上げました。当初は鶴見区周辺の南米出身者の支援が主でしたが、現在では外国人全般を対象とし、活動の場を広げています。

「子どもの教育保障」「大人の自立支援」「コミュニティづくり」「こころのサポート」を主な柱として、さまざまな事業を行なっています。 言葉の壁により教育の機会が限られがちな外国につながる子どもの学習の場として、フリースクールや放課後学習支援教室、キャリア支援、進路ガイダンス。大人のための日本語や資格のスキルアップ講座。専門家による心理カウンセリング。そして、若者が自分のルーツを見つめつつ進路を選べるよう、次世代へつなぐ活動もしています。

私たちの強みは、外国人当事者として地域のコミュニティと強くつながっていることです。外国人市民が相談しやすい体制ができており、いつもその細かなニーズに対応してきました。コミュニティの声に耳を傾けながら、「困っている人がいれば助ける」をモットーに活動を続けてきた結果、どんどんその範囲が広がっています。災害時は被災地支援に赴き、コロナにより経済的に困窮した家庭にはフードパントリーを行ないました。

これまでの活動を通して、在日ブラジルコミュニティの全国的なネットワークの主幹となり、ブラジル大使館・総領事館とも関係を築いてきました。また地域では、神奈川県や横浜市、鶴見区等の行政、教育委員会、他の支援団体と連携して活動しています。近隣の学校や大学とも協力し、外国につながる子どもと家族への包括的支援に取り組んでいます。

私たちは、これからも、日本に暮らす外国人市民が自立して心豊かに生活できるように、また、日本人にも外国人にも住み心地のいい社会を作るべく活動していきます。

受賞の言葉

この度は素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。 今回の受賞は、私たちABCジャパンのスタッフ一同にとって、23年にわたる外国人支援活動を評価していただいたものであり、引き続き外国人市民と日本人市民の共生に貢献していくモチベーションを高めてくれるものです。これまでの取り組みを継続していくために、若い世代を支援し、信じ、そして、私たちのノウハウとともに外国につながる子どもへの教育支援の重要性を伝えていきたいと思います。