2024年度国際交流基金地球市民賞 受賞団体

2024年度 受賞

東九条マダン実行委員会

京都府京都市

代表者
具 明徳
設立年
1993年
ウェブサイト
東九条マダン公式ページ いこか つくろか みんなのマダン
ソーシャルメディア
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東九条マダン実行委員会の写真

授賞理由

まつりを通して多文化共生を体現 地道な活動の継続が未来を創る

東九条マダン実行委員会は、初開催の1993年以降毎年開催されているまつり「東九条マダン」の主催団体である。立場・ルーツ・文化などの面で多様性に富んだ人々が一年に1度、集い、繋がり、自己を表現するまつり「東九条マダン」は多文化共生のひとつのあり方を体現しており、中でも和太鼓と朝鮮半島の伝統的な打楽器が融合した演目は参加者に感動を与え、異なる文化が対話しあうことの重要性を示し続けている。年に1度のまつりではあるが、活動の拠点である京都市南区東九条地域に根差すことを常に重視し、絆を深めてきた東九条マダン実行委員会が、今後も地域・社会に対して有意義な経験を地道に提供し、国際的な市民社会の発展に寄与することを期待する。

受賞団体からの活動紹介・メッセージ

東九条マダンは、1993年に多くの在日コリアンや様々なルーツを持つ人々と日本人が共に暮らすまち京都市南区東九条で、地域のまつりとなることを目指して始まりました。「マダン」とは朝鮮半島の言葉で「ひろば」を意味します。「いこか、つくろか、みんなのまつり」を合言葉に、多様な立場、ルーツ、文化、心身の状態、そしていろんな思いを持つ人々が、違いを受け入れながら、ありのままの自分を表現し、新しい自分を見つけていく場。そんな’’みんなのまつり’’を毎年つくり続け、今や多文化共生・地域交流のまつりとして広く知られる存在となりました。

まつりの一日は、朝鮮半島の打楽器演奏(プンムルノリ、サムルノリ)、和太鼓とのセッションやマダン劇、地域の児童・生徒たちのステージ発表や企画展示、多国籍料理やモノが並ぶ出店、遊びや車いすの体験コーナー等で表現されます。
会場は地域の財産である学校(その跡地)にこだわり、次代を担うこども園、小中学校、児童館や地域諸団体と共に創ってきました。またチラシ・ニュースの全戸配布、ポスター掲示や広告カンパの依頼を丁寧に続けてきた結果、地域住民の理解や参加が徐々に広がり、自治会からも地域の一員として認められるに至りました。学校公演の要望にも積極的に応え、在日コリアンとしての自尊心の涵養と多文化共生教育に寄与してきたと自負しています。

こうした活動を通して差別の歴史を克服し、共に生きる喜びを共有することが、誰にとっても住みよい豊かな地域社会の創出につながり、日本社会へ広がっていくものと確信しています。
私たちが目指すのは、人と人とを隔てる様々な障壁を、あらゆる違いを超えて手を携え、共に乗り越えた姿をたった一日だけでも確かに実現し、明日への希望を灯す、そのようなまつりです。それを一年通して創り続ける実行委員会は、自立した個々人がぶつかり合いながら、多文化共生という価値観を育む器たらんと活動しています。

受賞の言葉

東九条マダンは一年に1日だけのまつりです。それでも30年以上続けるのは大変なことでした。東九条の地域のみなさま、京都市・京都府や諸団体、そして多くの方々の理解や支援があったからこそ今があります。今回の受賞は、地道に継続してきたことの意義が評価されたのだと一同喜んでおります。一年にたった1日であっても、人々が対等に出会い認め合う場をつくることができれば世の中は変わっていくのだ、という信念でこれからも続けていきたいと思います。


2024年度 受賞

公益財団法人 佐賀県国際交流協会

佐賀県佐賀市

代表者
黒岩 春地
設立年
1990年
ウェブサイト
公益財団法人 佐賀県国際交流協会
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授賞理由

心の国境をなくし、外国人とともに世界に開かれた佐賀をめざす

佐賀県国際交流協会は1990年設立以来、長年にわたり国際交流を促進してきた。近年は国際交流活動で培われた知見を生かしつつ、県内外国人住民の増加を背景に多文化共生をテーマに活動をシフトし、高い専門知識や倫理意識が求められる医療通訳や災害時の多言語支援でも高い成果を上げている。2019年には「さが多文化共生センター」を開設し、外国人・日本人双方の相談対応を行うなど、佐賀県における多文化共生推進に欠かせない存在。同協会の「心の国境をなくそう!」をスローガンに地域社会と連携し、外国人の急増に対応しながら共生社会を推進する姿勢は、他地域の模範となる取り組みと考え、本賞を授与する。

受賞団体からの活動紹介・メッセージ

佐賀県国際交流協会(略称「SPIRA(スパイラ)」)は、県、市町、県民の方々の協力により、県民総参加の国際交流を促進するための中核的組織として1990年(平成2年)2月7日に設立されました。

協会が創立された当時、佐賀県に住む外国人は、1799人。それから34年たった現在、1万人をこえる外国人の皆さんが、佐賀県に住んでいます。100人に一人が外国人県民。県内どこにいても外国人を見かけるようになりました。その間、協会の活動の柱も、「国際交流」から「多文化共生」に大きくシフトしました。今は、「佐賀県内に住む外国人の皆さんとどう向き合うか」、「外国人県民の皆さんの力を地域づくりにどう生かすか」が、メインテーマになってきています。

2019年10月には、協会内にワンストップ相談窓口である「さが多文化共生センター」をオープンし、外国人からの相談や外国人と関わる県民からの相談を、毎日受けています。 医療通訳の派遣や教育現場での日本語学習サポーターの派遣など、外国人県民をサポートする活動も飛躍的に増えてきています。それとともに、外国人の皆さんがサポートされる側にとどまらず、自らサポートする側に回ることも多くなってきました。

「Free your heart of borders! 心の国境をなくそう!」
これは、当協会のスローガンです。多文化共生―国籍や文化や宗教が違う人々が、互いに認め合い、ともに生きていくこと、これを一言で言えば、Free your heart of borders ! 心の国境をなくそう!ということだと思います。

外国人を私たちの仲間として迎え入れ、一緒になって佐賀の多文化共生の地域づくりに励んでいく、その思いを胸に、当協会は今後とも頑張っていきます。

受賞の言葉

この度はこのような素敵な賞をいただき、ありがとうございました。

患者に温かく寄り添い、活動してくださっている医療通訳サポーターの皆さんをはじめ、日本語支援や災害時支援、相談業務へのアドバイスなど、日頃から私たちの活動を応援してくださっている関係者の皆さんとこの喜びを分かち合いたいと思います。今回の受賞を励みに、今後も「誰一人取り残さない」佐賀県をめざし、皆さんと共に進んでいきたいと思います。


2024年度 受賞

特定非営利活動法人 MIYAZAKI C-DANCE CENTER

宮崎県宮崎市

代表者
野邊 壮平
設立年
2008年
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特定非営利活動法人MIYAZAKI C-DANCE CENTER
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授賞理由

逆さのまなざしで切り拓くダンスによる価値創造と心躍る交流体験

2006年に宮崎大学教育文化学部舞踊学研究室で結成されたダンスカンパニー「んまつーポス」が運営するMIYAZAKI C-DANCE CENTERは、内外での創作上演と共に、地域に創造的でユニークな身体活動とダンス体験を提供している。宮崎に根ざして国際ダンスキャンプや国際ダンスフェスティバルを重ね、地元住民と海外アーティストとの交流の機会をつくっている。教育の知見で学校の身体表現教育も支援。子どもや教員に大好評のプログラムは国境も超えた。2019年には、保育園の体育館兼劇場「透明体育館きらきら/国際こども・せいねん劇場みやざき」を開設。コロナ禍など困難にも名前通りの逆転思考で、創造活動と経営、地域貢献と国際交流を明るく両立する地球市民活動は大いに示唆に富む。

受賞団体からの活動紹介・メッセージ

2008年、振付家・ダンサー「んまつーポス」が「NPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTER(MCDC)」を設立。地域の芸術文化の振興と創作ダンスの普及を図ってきました。

2019年には、保育園の体育館を兼ねた劇場『透明体育館きらきら/国際こども・せいねん劇場みやざき』を開設。以来、その名に相応しく「子ども」「国際性」「ダンス」をより意識した地域活動に取り組んできました。

その一つが『空はひろいな!みやざき国際ダンスフェスティバル』(以下『空のダンスフェス』)です。この構想の原点は、シビウ国際演劇祭からの招聘(2014年)、豊福彬文(んまつーポス代表)が文化庁「新進芸術家海外研修制度」を活用した「Teatrul GONG Sibiu」の調査・研究(2015年)、同劇場主催「Sibiu Young Festival」の視察・出演(2016年~)に遡ります。地方都市シビウで巻き起こる芸術の熱気を体感したことが、国際ダンスフェスティバルの地方モデル確立に繋がりました。

『空のダンスフェス』は、スローガン「空を見上げれば世界はつながっている」の下、宮崎と世界を繋ぎ、国際文化交流を創出します。第1回(2023年)では、海外から米国、カナダのアーティストを、第2回(2024年)ではドイツ、リトアニア、フランス、韓国、香港のアーティストを招聘。2歳からシニアまでの地元住民は多彩なコンテンポラリーダンスに触れ、世界のアーティストと共に踊る貴重な体験をしました。

また、「山を持つ人は山を、お金を持つ人はお金を、時間を持つ人は時間を、知識を持つ人は知識を出す」の理念に基づいた地域への積極的なアプローチの結果、ソラシドエアを始めとするスポンサー企業に加え多くの地元の団体・住民らが各々の方法で関わり、盛り上げています。

今後もさらに多くの人々を巻き込み、地域全体を『空のダンスフェス』の活気で満たすことを目指しながら、新たな国際交流の地平を切り開いていきます。

受賞の言葉

字幕がいらないノンバーバルな交流の力が、国や文化、世代の壁を軽やかに越える瞬間を、私たちは目撃し続けてきました。“空を見上げれば世界がつながっている”と誰もが感じられる国際ダンスフェスティバルを通じ、宮崎市を、ダンスの未来で溢れる「創作ダンスの聖地」にします。この名誉ある国際交流基金地球市民賞の受賞を、すべての地球市民と共に喜び、さらなる一歩へジャンプしていきたい!

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