杉本文楽 曾根崎心中 欧州公演
このたび、国際交流基金と小田原文化財団は、2013年9月~10月の1カ月間にわたり、人形浄瑠璃文楽「杉本文楽 曾根崎心中」の欧州公演を実施いたします。
同作品が2011年8月に神奈川芸術劇場において初演され、好評を博したのは記憶に新しいところです。構成・演出・美術・映像は現代美術作家の杉本博司、作曲は人間国宝の鶴澤清治が手がけ、現在の文楽公演では演出の都合により一部が割愛され上演されている「曾根崎心中」を原文に忠実なまま舞台化し、多くの観客から熱い賞賛の声が寄せられました。そして2013年秋、いよいよヨーロッパでの公演が実現します。
今回のヨーロッパ公演は、「日本スペイン交流400周年」の記念事業としてマドリードで幕を開けます。慶長遣欧使節が渡欧して日本とスペイン両国間のさまざまな交流がはじまってから400年となる記念の年に、マドリードのエスパニョール劇場で上演されます。マドリードでの公演につづいて、海外初の日本文化会館として1962年に開館したローマ日本文化会館の開館50周年記念事業として公演を行います。会場は、ローマで最も格式の高い劇場のひとつであり、ロッシーニのオペラ「セビリアの理髪師」の初演の場所として世界的に知られるアルジェンティーナ劇場です。そして最後に、世界的にも著名な舞台芸術の祭典であるパリのフェスティバル・ドートンヌの目玉公演のひとつとして、パリ市立劇場にて11公演を行います。
国際交流基金はこれまで、東京の本部と京都支部、ふたつの附属機関(日本語国際センター、関西国際センター)、および海外21カ国に開設された22の海外拠点をベースに、外部機関とも連携しつつ世界の全地域において国際文化交流事業を実施してきました。長年つちかってきたこれらのネットワークを活かして、ヨーロッパの芸術文化の中心といえるこれら3つの都市の歴史と格式を誇る劇場において、創造的で優れた日本の舞台芸術を多くの人に見ていただくことができることを嬉しく存じます。
「をちこちMagazine」に、本公演において、構成・演出・美術・映像を手がけた杉本博司氏による報告会をまとめた記事を掲載しました。
公演概要
マドリード
日時 | 9月27日(金曜日)、28日(土曜日) (全2公演) |
---|---|
会場 | エスパニョール劇場 |
関連イベント
- 記者会見 9月26日(木曜日)午前 (予定)
文楽レクチャー・デモンストレーション
日程 9月28日(土曜日)12時~14時 会場 エスパニョール劇場 内容 人形遣いによるレクチャー・デモンストレーション
ローマ
日時 | 10月4日(金曜日)、5日(土曜日) (全2公演) |
---|---|
会場 | アルジェンティーナ劇場 |
関連イベント
- 記者懇談会 10月1日(火曜日) 13時~15時
文楽レクチャー・デモンストレーション
日程 10月1日(火曜日)18時30分~20時30分 会場 ローマ日本文化会館 内容 太夫・三味線・人形遣いによるレクチャー・デモンストレーション
デモンストレーション前にイタリア人日本研究者によるレクチャーあり文楽関連映画上映会
日程 10月3日(木曜日)18時30分~21時 会場 ローマ日本文化会館
パリ
日時 | 10月10日(木曜日)~19日(土曜日) (全11公演) |
---|---|
会場 | パリ市立劇場 |
関連イベント
文楽レクチャー・デモンストレーション
日程 10月8日(火曜日)18時30分~20時30分 会場 パリ日本文化会館 大ホール 内容 太夫・三味線・人形遣いのレクチャー・デモンストレーション 杉本博司 講演会
日程 10月16日(水曜日)18時30分~20時30分 会場 パリ日本文化会館 大ホール
主催: 独立行政法人国際交流基金、公益財団法人小田原文化財団
企画制作: 公益財団法人小田原文化財団
協力: 独立行政法人日本芸術文化振興会(国立劇場・国立文楽劇場)、公益財団法人文楽協会
後援: 大阪府、大阪市
各地公演概要
公演タイトル | Sugimoto Bunraku: Sonezaki Shinju |
---|---|
主催 | 独立行政法人国際交流基金、公益財団法人小田原文化財団、エスパニョール劇場 |
共催 | 在スペイン日本国大使館 |
協賛 | 三菱商事、日本通運 |
会場 | エスパニョール劇場 |
※日本スペイン交流400周年記念事業
公演タイトル | SUGIMOTO BUNRAKU: SONEZAKI SHINJU |
---|---|
主催 | 独立行政法人国際交流基金、公益財団法人小田原文化財団、Teatro di Roma |
共催 | 在イタリア日本国大使館 |
助成 | 在イタリア日本商工会議所 |
協賛 | チェスキーナ洋子、鈴木千寿、 H.I.S.、株式会社フジテレビジョン、 Alcantara S.p.A、Mitsukoshi Italia S.p.A.、Bridgestone Technical Center Europe S.p.A.、株式会社資生堂、 Alphanet s.r.l.、m&m medeiaservices s.r.l.、Miki Travel Agency Italia s.r.l.、 Viajes Hanshin S.a.、YKK Mediterraneo S.p.A(以上、敬称略) |
会場 | アルジェンティーナ劇場 |
※ローマ日本文化会館開館50周年/慶長遣欧使節団400周年記念事業
公演タイトル | Sugimoto Bunraku Sonezaki Shinju – |
---|---|
主催 | 独立行政法人国際交流基金、公益財団法人小田原文化財団 |
共催 | 在フランス日本国大使館 |
協賛 | ブシュロン・パリ、エルメス財団 |
共同制作 | パリ市立劇場、フェスティバル・ドートンヌ |
会場 | パリ市立劇場 |
本公演に関する詳細や最新情報は下記ウェブサイトをご覧ください。
http://www.odawara-af.com/jp/information/20130516-2013.html
作品概要
『杉本文楽 曾根崎心中 付り観音廻り』
- 原作:
- 近松門左衛門 『曾根崎心中付り観音廻り』
(岩波書店『新日本古典文學大系』より改訂) - 構成・演出・ 美術・映像:
- 杉本博司
- 作曲・演出:
- 鶴澤清治
- 振付:
- 山村若
- 映像:
- 束芋、杉本博司
- 出演者:
- 鶴澤清治、桐竹勘十郎 ほか
※ 出演を予定しておりました吉田簑助は病気療養のため休演いたします。皆様には大変ご迷惑をお掛けしますことを心よりお詫び申し上げます。
作品解説
作者: 近松門左衛門
背景: 元禄16年(1703年)4月7日、醤油屋平野屋の手代徳兵衛と堂島新地の遊女お初が梅田曾根崎天神の森で心中をとげる。大坂中で話題となった事件から一ヶ月後、近松門左衛門はこの事件を『曾根崎心中付り観音廻り』として脚色、人形浄瑠璃の芝居に仕立て、大阪竹本座で上演。興行は空前の大成功で、当時竹本座の抱えていた借財を一挙に返済できるほどの集客を得た。なお、『曾根崎心中』は、世上の出来事を作品化した「世話物」と呼ばれるジャンルの記念すべき第一作として文楽史上に残る名作となっている。
杉本博司
1948年東京生まれ。立教大学卒業後、1970年に渡米、1974年よりニューヨーク在住。徹底的にコンセプトを練り上げ、精緻な技術によって表現される銀塩写真作品は世界中の美術館に収蔵されている。近年は執筆、設計へも活動の幅を広げ、2008年建築設計事務所「新素材研究所」を設立し、IZU PHOTO MUSEUM(静岡県長泉町)の内装設計他、2013年4月4日にはエントランススペースのデザインを手がけたoak omotesando(表参道)がオープン。主な著 書に『空間感』(マガジンハウス)、『苔のむすまで』『現な像』『アートの起源』(新潮社)。内外の古美術、伝統芸能に対する造詣も深く、演出を手がけた2011年の三番叟公演『神秘域』は2013年3月にNYグッゲンハイム美術館にて再演。4月には日本凱旋公演も行われた。1988年毎日芸術賞、2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞、2010年秋の紫綬褒章を受章。
お問い合わせ
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)
文化事業部 欧州・中東・アフリカチーム
担当:北川 E-mail
Tel: 03-5369-6063