アジア文化芸術フェローシップ(美術) 2025年度
2025年度(R7年度)フェロー一覧
| 国(在住国) | 姓 | 名 | 現職 | 研究テーマ(和) |
|---|---|---|---|---|
| ベトナム | Nguyễn | Phương Linh | Artist | 東京ビエンナーレ2025における芸術的実践の協働 |
| インドネシア | Meilita | Meita | Artist | 記憶のアーカイブ:日本における女性のテキスタイル・ヒストリーの比較芸術研究 |
| マレーシア | Mohd Aris | Khairul Nizan | Senior Lecturer, Universiti Teknologi MARA | 常滑焼が現代陶芸に与えた影響: 伝統、哲学、革新 |
| ミャンマー | - | YOON EI KYAW | Program Officer (Remote), Association for Myanmar Contemporary Arts | レジリエンスの物語を紡ぐ: 日本における建築のストーリーテリング |
| ベトナム | Nguyễn | Tú Hằng | Director, Hanoi Grapevine | 東南アジアにおける地域アーティスト・イン・レジデンス・ネットワークに向けて: 文化の流動性とコラボレーションのためのプラットフォーム |
| ベトナム | PHAN | THANH VAN | Creative Director, Tohe Social Enterprise (Vietnam) | インクルーシブ・アーツでアジアの架け橋に |
| マレーシア | Seah | Zelin | Artist/Senior Lecturer, The One Academy, Faculty of fine arts | 糸を通す伝統: 日本の技法と東南アジアの天然繊維を織り交ぜる |
| フィリピン | Castro | Karl Fredrick Maristela | Lecturer, Department of Fine Arts, Ateneo de Manila University | New Arrivals:Japan Surplus、フィリピン、物質と記憶の循環 |
| 日本 | 宮内 | 由梨 | アーティスト | 《Why should we be clean? ― 「洗う」ことの感覚的かつ批評的探求》 |
| 日本 | 野口 | 竜平 | アーティスト/藝術探検家 | Archipelagic Encounters:Us in the Islands 群島的パフォーマンス実践としての歩行と集合 |
プロフィール
Phương Linh Nguyễn

ベトナムのサイゴンおよびハノイを拠点に活動。
映像、インスタレーション、彫刻を横断する領域横断的な実践を展開するアーティスト。地理的・文化的な変容を問い直すとともに、民族、宗教、文化、地政学的影響が複雑に交錯するベトナムの、断片化された曖昧な歴史をたどることに関心を寄せる。作品では、可視/不可視の真実、形態と時間、重さと空虚について考察し、そこに遍在する疎外感、持続する力、そして儚さを伝える。
これまで、台湾・緑島で開催された「Listening To The Overtones of Fissure」(2023年)、アジア・パシフィック・トリエンナーレ(2021年)、シンガポール・ビエンナーレ、台北の関渡ビエンナーレ、上海ビエンナーレ(2016年)、ヨルダンのDarat Al Fununで開催された「HIWAR」(2014年)など、国内外のさまざまな展覧会に参加。2017年には、Han Nefkens Foundation-BACC Award for Contemporary Artを受賞。
Phương Linhは、父親の自宅を拠点とするNhà Sàn Studioで生まれ育った。同スタジオは、ハノイで最も長い歴史を持つ非営利のアーティスト・ラン・スペースの一つとされている。
2013年には、アーティスト仲間とともにNhà Sàn Collectiveを共同設立し、以来、共同ディレクターを務めている。同コレクティブは、Ruangrupaが芸術監督を務めたDocumenta 15に2022年に参加した。
Meilita Meita

1992年生まれ。
2016年、ジャカルタ州立大学Fine Arts Educationを卒業し、教育学の学士号を取得。2021年にはバンドン工科大学のArtwork Creation Study Programを修了し、美術学の修士号を取得。
アーティストとして活動する一方、主婦でもある。女性、子ども、母親、妻としての自身の経験を作品の主題とし、刺繍を表現媒体としつつ、インスタレーションや参加型アートなど、さまざまな形式の作品を展開。Meitaにとって刺繍とは、親密かつ個人的なプロセスであると同時に、社会生活のさまざまな層と結びつく行為でもある。
2021年、ドイツのLeipzig International Art Programmeのアーティスト・イン・レジデンスに選出され、2022年には「ARTJOG MMXXII: Arts in Common – Expanding Awareness」およびNational Gallery of Indonesiaで開催された「MANIFESTO VII: TRANSPOSITION」に出品。近年では、山梨県富士吉田市で開催された「FUJI TEXTILE WEEK 2025」に参加した。
2023年には、韓国・清州で開催されたCheongju Craft BiennaleのCheongju Craft International Competitionにおいて、Craft City Lab部門のGold Prizeを受賞。同年、バンドンの繊維産業地区Cigondewahで働く女性の家内労働者との協働によるアートプロジェクト「Archiving Memories」を立ち上げた。
Mohd Aris Khairul Nizan

マレーシアの陶芸家、デザイナー、教育者、芸術研究者。陶芸教育と創作活動において20年以上の経験を有する。現在、マラ工科大学の上級講師を務める。
マレーシア、日本、英国、オーストラリアで研鑽を積み、彫刻とスタジオ・セラミックスを基盤に、磁器、実用食器、陶彫、表面表現、焼成技法を中心とした制作に取り組む。日常使いの手作りの磁器食器を制作する一方、展覧会のための一点ものの陶芸作品も手がける。
その創作活動は研究と密接に結びついており、特に陶芸材料、伝統的な知識、現代陶芸の実践、表面表現の実験を研究対象としている。色彩豊かな筆致を生かした釉薬技法を通じて、陶芸と抽象絵画の関係を探究し、陶器の形態を、絵画とは異なるもう一つのキャンバスとして捉える。
これまで、特に日本をはじめ、英国、オーストラリア、インドネシア、タイ、パキスタン、バングラデシュのアーティスト、大学、文化団体、その他の国際的なパートナーと協働してきた。国際的な研究・文化交流では、伝統的な陶芸の知識と文化遺産を探究しながら、現代陶芸の発展に取り組んでいる。
作品は、マレーシア、日本、英国、パキスタン、バングラデシュ、インドネシア、タイ、オーストラリアで展示・発表されている。アーティスト、デザイナー、教育者、研究者という複数の役割を通じて、創造性、文化交流、知識の発展、イノベーションの基盤としての陶芸の可能性を探究し続けている。
YOON EI KYAW

ミャンマー生まれ、ミャンマー育ちのアーバニスト、文化実践者。建築をバックグラウンドに、空間、芸術、文化、日常生活が交差する領域を探究し、創造的・文化的実践を通じた建築および都市論のキュレーションに取り組む。
建築実務、公共空間の再活性化に向けたアウトリーチ、キュレーション、カルチュラル・マッピングの経験を持つ。現在は、アートや創造的な手法を用いた読書会および実践に基づくリサーチを行う独立した活動体「PyitSuuPan Architecture and Urbanism Study Room」を運営している。現在の研究テーマは、SEN(Special Educational Needs)に配慮した空間、および危機的状況下における建築と都市論である。
Nguyễn Tú Hằng

文化的モビリティとアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの研究に取り組むArtist-in-Residence Vietnam Network(AiRViNe)の設立者であり、アーティストを取り巻く環境を支援する非営利団体Hanoi Grapevineのディレクターを務める。
ベトナムのさまざまな文化事業において、広報・コミュニケーションに関するコンサルティングと調査研究に幅広く携わってきた。日本の立命館アジア太平洋大学で国際経営学の学士号を取得。韓国の西江大学大学院で国際ビジネスおよび東アジア研究の修士号を取得。
2014年から2020年にかけては、Zeldaの筆名で複数の短編小説と詩集を発表。2017年以降は、先駆的な若手音楽グループと協働し、教会や従来の枠にとらわれないインディペンデントなスペースで、クラシック音楽のコンサートやリサイタルを企画。
2020年から2023年まで、Vincom Center for Contemporary Art(VCCA)で教育部門キュレーターを務め、2023年には展覧会プロジェクトに専門的な支援を提供するオープン・コレクティブ、ddur.productionを共同設立。
2024年には、台湾のTaiwan-Asia Exchange Foundationによる東南アジアの芸術文化実践者を対象としたThe Professional Exchange Program 2024のSpecial Awardを受賞。また、韓国伝統文化大学による有形文化遺産の保存修復に関するフェローシップに選出された。
PHAN THANH VAN

ハノイを拠点に活動。
ソーシャル・エンタープライズ、Tòhe Social Enterpriseでクリエイティブ・ディレクターを務める。同団体は、恵まれない境遇にいる子どもたちに創造的な遊びと学びの場を提供することを当初の使命として、2006年にベトナムで設立された。
これまで、視覚芸術を教育に取り入れる活動を主導したほか、ニューロダイバージェントな子どもたちの才能を紹介する展覧会を企画。また、社会課題への理解を促す啓発キャンペーン、とりわけ障がいのある人々をめぐる課題に関する取り組みを推進している。
ハノイのAcademy of Journalism and Communicationで、「Corporate Social Responsibility and Innovation」の非常勤講師も務める。
Seah Zelin

マレーシアのビジュアル・アーティスト及び美術分野講師。インスタレーション、地図を用いた表現、版画、サイトスペシフィック・プロジェクトなどを横断し、リサーチと素材に基づく実践を通じて、土地、物質的な痕跡、インフラが複雑に絡み合う関係を探究する。近年は、特にアブラヤシの残渣に着目し、資源が東南アジアおよび国境を越えたエネルギー・ネットワークのなかで変容し、流通していく過程を調査している。
2022年、UOB Painting of the Year Malaysiaで最優秀賞を受賞。2025年には、福岡アジア美術館およびベルリンのSAVVY ContemporaryによるREFLEKTでアーティスト・イン・レジデンスに参加。また、シンガポールのRichard Koh Fine Artで個展「This Land is ( ) Land」を開催した。2026年には、東南アジア各地で展開されたGoethe-Institutの地域プロジェクト「Dealing in Distance」に参加。
作品は、Singapore Art MuseumおよびNational Art Gallery Malaysiaのコレクションに収蔵されている。
Castro Karl Fredrick Maristela

写真撮影:Kevin Santos
フィリピンのリサール州アンゴノおよびマニラ首都圏ケソン市を拠点、アーティスト、デザイナー、カルチュラル・ワーカーとして活動。
絵画、織物、コラージュ、写真メディア、展覧会制作を横断する領域横断的な実践を通じて、権力、記憶、イメージをめぐる構造をたどり、デザインとイメージに基づくリサーチから、フィリピンのモダニズムが今日に残す影響や、周縁化された歴史が消去されてきた過程を掘り起こす。
これまでフィリピンと日本で作品を発表し、アート、アーカイブ、政治的な問いを結びつけるプロジェクトにおいて、コミュニティや諸機関と協働してきた。デザインに関する活動は、Philippine National Book Awardsをはじめとする複数の機関から評価を受けている。
現在はアテネオ・デ・マニラ大学で講師を務めるほか、Brutalist PilipinasおよびCommunication Design Association of the Philippinesのリサーチ・ヘッド、Concerned Artists of the Philippinesの理事を務める。
宮内 由梨

長野県生まれ。京都芸術大学芸術学部卒業。沖縄、ロンドンを経て、現在は横浜と長野を拠点に活動する。身体の感覚器官、とりわけ「かゆみ」を起点に、皮膚感覚や内臓感覚といった、誰もが経験しながらも把握や制御が困難な身体感覚に焦点を当てた制作を行う。こうした感覚への内省は、人間がその知覚をどう意訳し、受け継いでいくのか、あるいは置き去りにしていくのかという問いへと展開している。近年では「感覚の政治」という視点から身体感覚と社会構造の関係性を読み解くことに取り組む。制作では、綿布、葉書、楽譜、土、樹脂、ロボットアームなど、異なる素材やメディアを横断的に用い、インスタレーションや平面作品を展開している。2026年より国際交流基金のプログラムで、5カ月間インドネシア各地でのフィールドワークを実施した。
主な個展に、2025年「ANNUAL BRAKE 2025」(The 5th Floor、東京)、主なグループ展に、2026年「千葉開府900年記念特別展 月と星と―美術がつなぐとき」(千葉市美術館、千葉)、Pattani Biennale 2026 (Prince of Songkhla University、タイ)、2024年「第1回 BUG Art Award ファイナリスト展」(BUG Art Center、東京)、2023年「VOCA展 2023」(上野の森美術館、東京)など。
野口 竜平

1992年生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻卒業。在学中は早稲田大学探検部でも活動。 異なる存在様式の遭遇と、そこに起こる世界の運動を探究する。「群島的パフォーマンス実践」として、「運ぶこと」に関連する共通のプロトコルを複数の土地で反復する活動を続けている。主なものに、8人の私たちを蛸に擬えて集まる〈蛸みこし〉、異質な他者として南の島を一周あるく〈タイヤひっぱり〉、故人のタンスを海へ運ぶ〈タンスのダンス〉などがある。〈蛸みこし〉のオープンソース化のためのプラットフォーム「octopus∞projects」主宰。
[お問い合わせ]
国際交流基金(JF)
文化事業部
美術チーム
電話:03-5369-6061
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