アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2014 日本公式参加
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、2014年12月1日~12月31日まで、ダッカ市のバングラデシュ・シルパカラ・アカデミーで開催される現代美術の国際展「アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2014」において、日本公式参加の主催者として日本人作家1組の作品を紹介します。
全体概要
会期 | 2014年12月1日(月曜日)~2014年12月31日(水曜日) |
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会場 | バングラデシュ・シルパカラ・アカデミー |
主催 | バングラデシュ・シルパカラ・アカデミー |
「アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ」は、1981年にアジア14カ国の参加を得て開始されたアジアで最も歴史ある現代美術の国際展の1つです。主催するのは、バングラデシュ文化省所属の国立美術・舞台アカデミー「バングラデシュ・シルパカラ・アカデミー」です。ビエンナーレはこれまでほぼ2年ごとに開催されています。前回の第15回では、アジア地域を中心に34カ国から224名のアーティストの参加がありました。
日本参加の概要
キュレーター | 高橋 瑞木(たかはし・みずき)(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員) |
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出品作家 | Chim↑Pom |
主催 | 国際交流基金(ジャパンファウンデーション) |
国際交流基金は、バングラデシュ政府の要請を受け、第1回目の開催から継続してビエンナーレに参加して日本人作家の作品を紹介してきました。第16回目となる今回は、日本キュレーターに高橋瑞木氏(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員)をお迎えして、Chim↑Pomの作品を紹介します。Chim↑Pomは今回、家庭用の全自動お掃除ロボットを使った作品《下町のパラドックス》と、日本とバングラデシュの各地を訪れて制作する新作の映像インスタレーション《It's the wall world》を出品します。
下町のパラドックス
2014
Chim↑Pom
It's the wall world– バングラデシュ
2014
Chim↑Pom
作品紹介
Chim↑Pomは、今回2点の作品を発表します。
1点目は最先端の掃除ロボットが巨大な絵画を描く作品《下町のパラドックス》です。展覧会会場では、掃除用ロボットが、床掃除の代わりに赤や青、黄色のペンキで床を汚し(=絵を描き)、巨大な抽象画を描きます。本作はジャクソン・ポロックや具体美術協会の白髪一雄のアクションペインティングを参照していますが、行為の主体はもはや人間ではなく、人工知能を備えた掃除用ロボットです。Chim↑Pomは本作で家事労働と創作行為の差異、人間と機械の創造力の拮抗をユニークに提示しながら、現代社会やアートにおける人間性についてのパラドックスについて問いかけます。
2点目は日本とバングラデシュで制作中の新作映像インスタレーション作品です。本作はビエンナーレの壁をくりぬいてつくったジグソーパズルと、そのピースを日本とバングラデシュ各地の人々と交換する様子をおさめたドキュメンタリー映像から構成されます。この作品のジグソーパズルには市販のパズルのように見本となる絵柄は存在せず、Chim↑Pomが様々な場所から持ってきたひとつひとつのピースがそろうことで初めてそのイメージが浮かび上がります。美術館の壁をピースという単位で分解することにより、世界中のあらゆる場所の壁と交換可能になり、さまざまな場所と接続することが出来ます。また、美術館の壁は交換した先々で美術館の壁という役割から、交換された場所で新たな役割を与えられることになります。今回は日本とバングラデシュの様々な場所で壁からできたジグソーパズルの交換をおこなうことで、文化や言語、宗教の違いという壁を越える共感を導くアートの可能性を探ります。
高橋瑞木
作家紹介
Chim↑Pom(チンポム)
photo: Leslie Kee
卯城竜太・林靖高・エリイ・岡田将孝・稲岡求・水野俊紀の当時20代の6名が、2005年に東京で結成したアーティスト集団。時代のリアルに反射神経で反応し、現代社会に全力で介入した強い社会的メッセージを持つ作品を次々と発表。映像作品を中心に、インスタレーション、パフォーマンスなど、メディアを自在に横断しながら表現している。東京をベースに活動しながら、世界中の展覧会に参加、海外でもさまざまなプロジェクトを展開。近年はさらに活動の範囲を広げ、美術専門誌監修や展覧会キュレーションなども行う。著作に『Chim↑Pomチンポム作品集』(河出書房新社、2010年)、『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』(阿部謙一との共編著、無人島プロダクション、2009年)、『芸術実行犯』(朝日出版社、 2012年)、『SUPER RAT』(パルコ、2012年)、『エリイはいつも気持ち悪い エリイ写真集 produced by Chim↑Pom』(朝日出版社、 2014年)がある。
主な個展開催館(2013年~2008年):
岡本太郎記念館(東京)、パルコミュージアム(東京)、PROJECT FULFILL ART SPACE(台北)、丸木美術館(埼玉)、MoMA PS1(ニューヨーク)ほか多数
主なグループ展開催館(2013年~2009年):
国内
渋谷PARCO(東京)、霧島アートの森(鹿児島)、東京オペラシティ(東京)、東京都現代美術館(東京)、森美術館(東京)、水戸芸術館(茨城)、金沢21世紀美術館(石川)、原美術館(東京)、広島市現代美術館(広島)、せんだいメディアテーク(宮城)等
海外
「第9回上海ビエンナーレ:REACTIVATION」上海当代芸術博物館(中国)、「Project Daejeon 2012:Energy」テジョン市立美術館(韓国)、「Get Up, Stand Up」シアトル美術館(米国)、「Double Vision:Contemporary Art from Japan」モスクワ市近代美術館(ロシア)(※モスクワの後、ハイファ美術館(イスラエル)に巡回)、「The Fire that Doesn't Go Out」Richard D. Baron Gallery(米国)、「Life, no Peace, only Adventure」釜山市立美術館(韓国)、「CITY-NET ASIA 2011」ソウル市立美術館(韓国)、「Mildura Palimpsest #8 - Collaborators and Saboteurs」Arts Mildura(オーストラリア)、「Invisibleness is Visibleness:International Contemporary Art Collection of a Salaryman-- Daisuke Miyatsu」台北当代芸術館(中国)、「第29回サンパウロビエンナーレ」(ブラジル)、「Asia Art Award」SOMA Museum(韓国)、「Urban Stories : Xth Baltic Triennial of International Art」Contemporary Art Center(CAC)、ヴィルニス(リトアニア)、「KITA!!:Japanese Artists Meet Indonesia」ジョグジャ・ナショナル・ミュージアム(インドネシア) 等
キュレーター
高橋 瑞木 (たかはし みずき)
水戸芸術館現代美術センター主任学芸員
早稲田大学大学院美術史専攻卒業後、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院MA修了。森美術館準備室を経て水戸芸術館現代美術センター勤務。これまで主な展覧会に「KITA!! Japanese Artists Meet Indonesia」(2008年、インドネシア、国際交流基金主催)、「BEUYS IN JAPAN:ボイスがいた8日間」(2010年、水戸芸術館)、「新次元―マンガ表現の現在」(水戸、ソウル、マニラ、ハノイに巡回、国際交流基金主催)、「高嶺格のクールジャパン」(2012年、水戸芸術館)、「ダレン・アーモンド 追考」(2013年、水戸芸術館)など。編著書に「じぶんを切りひらくアート」(フィルムアート社)。
報告書
「アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2014 日本参加報告書」
執筆:高橋瑞木、Chim↑Pom(卯城竜太、林靖高、岡田将孝、エリイ、稲岡求、水野俊紀)
発行:国際交流基金
頁数:15ページ
言語:日本語、英語
ISBN:978-4-87540-169-8-C0071
価格:1,000円(税抜)
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担当:平 昌子 (TAIRAMASAKO PRESS OFFICE)
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文化事業部 アジア・大洋州チーム
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