私の派遣先
こんにちは。JOI22期でミシシッピ州のイッタベナに派遣されている朴耕一です。 私が住んでいるのはミシシッピ・デルタ地域の中心に位置する小さな町です。名前は先住民のチョクトー語で「森の中」を意味し、1800年代後半に町が発展しました。イッタベナは、農業、特に綿花栽培で重要な役割を果たしてきました。ミシシッピ・デルタはアメリカ南部の農業の中心地として知られ、長い間、綿花産業がこの地域の経済の柱でした。
また、この地域はアメリカ音楽史においても特別な位置を占めています。イッタベナは、ブルース音楽の発祥地の一部として、アフリカ系アメリカ人コミュニティの豊かな文化的遺産を今も感じることができます。ブルースの王様と称されるB.B.キングは、この地域で生まれ育ち、その音楽の才能を開花させました。彼の生誕地はイッタベナに近いバークレアという場所で、幼少期をこのデルタ地域で過ごしました。B.B.キングの音楽スタイルは、ミシシッピ・デルタの豊かな音楽的伝統に深く根ざしており、そのギタープレイと魂のこもった歌声は、世界中のリスナーに強い影響を与えました。代表的な曲「The Thrill is Gone」をはじめ、彼の音楽はブルースの枠を超え、多くのジャンルに影響を及ぼしています。イッタベナやその周辺地域は、キングが初期に活動を始めた場所であり、ブルース音楽の重要な発祥の地でもあります。


ジャズ界の伝説的なミュージシャンであるB.B.キングが生前頻繁に演奏していたバーは、今も地元の人々によって受け継がれています
私が勤務するミシシッピバレー州立大学(Mississipi Valley State University 通称MVSU)は、アメリカ南部に位置する歴史的な黒人大学(HBCU)であり、地域社会における重要な教育機関です。MVSUは、アフリカ系アメリカ人学生に高等教育の機会を提供することを目的に設立され、多様な文化と歴史を誇っています。この大学は、特に教育学に強いプログラムを持ち、学生が学びながら地域社会に貢献できるスキルを身につける場となっています。 さらに、MVSUはNCAA Division Iというアメリカ大学スポーツの最高峰に所属しており、スポーツチームが活発に活動しています。地域のコミュニティを盛り上げるスポーツイベントも頻繁に行われ、学生や住民が一体となって楽しむ場となっています。MVSUは、ただの学びの場ではなく、アフリカ系アメリカ人の文化を守り、発展させる重要な役割を果たしています。地域に根ざした教育機関として、未来のリーダーを育成し続けるMVSUの存在は、非常に意義深いものです。
日本文化紹介のブースでおにぎりの試食を行い、特にツナマヨが非常に好評でした
一方で、この地域には厳しい経済的現実があります。多くの住民が貧困ライン以下で生活し、就業機会は限られています。教育水準が低いことも事実です。MVSUに進学してくる学生の中には、英語で簡単な文章を書くことも難しい学生がいると知ったとき、最初は非常に驚きました。治安もまた大きな問題で、失業率の高さや教育の不平等が影響し、富裕層と貧困層の二極化が進んでいます。そんな中でも、日本や海外に興味を持ち、異なる世界を見てみたいと思う学生がいると信じています。私は、彼らに日本の文化や価値観を通して、異文化理解を深める手助けをしていきたいと思っています。学生たちが、自分たちの可能性を広げ、世界に目を向けることができるよう、サポートしていくことがこれからのミッションです。彼らが夢を追い求め、成長していく姿を見守りながら、少しでも派遣先に貢献できればと思っています。
知り合いの誕生日があると、いつでも皆が集まります