私の派遣先、ハートマウンテン

え?ワイオミング州?

ワイオミング州と言うと、ほとんどの人はピンと来ないと思います。それもそのはず、全米で一番人口の少ない州です(!)。ワイオミング州は西部に位置しており、有名な国立公園であるイエローストーンとグランド・ティトンが位置し、西部映画『ララミー牧場』の舞台ともなった州です。自然が豊かで、州の愛称がカウボーイ・ステートということもあり、正に西部劇のような雰囲気です。私が住んでいるコディという町は州の北部、モンタナ州との州境にも近く、イエローストーン国立公園への東の玄関口であるため、初夏~秋は国内外からの観光客で賑わいます。コディという町の名前は、バッファロー・ビル・コディという西部開拓時代の有名な興行主の名前から付けられました。派遣先の名前(ハート・マウンテン・ワイオミング・ファンデーション)の一部にもなっているハートマウンテンは標高2,400メートル程のユニークな形の山で、この地域のシンボルにもなっています。

枯草の茂った岸辺から見える水面の向こうに、上部が平らになった山が見える
博物館から見たハートマウンテン。ローカルの人々の間では、コディ側からの山が好きか、隣町パウエル側からの方が好きかの論争があるそうです。

ハートマウンテン・ワイオミング・ファウンデーションについて

派遣先決定前は、ワイオミング州について全くの無知だった私ですが、実はワイオミング州と日本には歴史的なつながりがありました。私の派遣先であるハートマウンテン・ワイオミング・ファウンデーションは、第二次世界大戦中、日系アメリカ人の強制収容所だった場所を保存し、現在Heart Mountain Interpretive Center(博物館)として運営しています。展示では真珠湾攻撃後に日系アメリカ人が辿った歴史や、強制収容所内での人々の生活、戦後の歩みが説明されています。また、ハートマウンテンそのものが、アメリカ原住民族であるクロウ族にとっても神聖な場所であったこともあり、スタッフにもクロウの方がいるなど、多面的でユニークな体勢の博物館です。日系アメリカ人で初の閣僚となった故ノーマン・ミネタ運輸長官は少年時代にここハートマウンテンに収容されていましたが、地元コディのボーイスカウトで、後に上院議員となるアラン・シンプソン少年が収容所を訪問したことがきっかけで友達になります。二人の政治的立場は異なりますが、その後長きにわたって堅い友情で結ばれ、2024年7月には、両氏の名前を冠したミネタ・シンプソン・インスティテュート(MSI)が新たにオープンしました。博物館に併設されたこのイベントホールでは、私の活動含め、博物館での受動的な学びだけに留まらない、アクティブな学び・交流の場として活用していくことが求められています。1月から4月にかけては、MSIで地元の方向けにWinter Program Seriesとして月1回、日本文化のワークショップを企画し、地域の図書館などでも活動を広げていく予定です。観光客が多く訪れるシーズンからは、より頻度を増やしてワークショップを企画する予定です。

広い敷地に、建物が幾つかならんでいる
写真左側が新設されたミネタ・シンプソン・インスティテュート(MSI)、右側がHeart Mountain Interpretive Center(博物館)
正面にプロジェクタースクリーンの掛かった室内で、いくつもの丸テーブルが並び、大勢の参加者が着席して正面を見ている
11月にMSIで行った日本酒テイスティングイベントの様子

暮らしについて

現在、コディ内の一軒家に住まわせていただいており、ホストサイトまでは車で20分程かけて通っています。神奈川生まれ・育ちの私には、車の運転やよく庭に訪れる鹿、雪やマイナス10℃が当たり前の冬の寒さ、どれをとっても慣れないことばかりですが、とても新鮮で日々学んでいる感覚です。田舎あるあるかもしれませんが、とても親切な人々に助けられながら日々生活をしています。冬になると道路状況も悪くなり気軽に遠出できないのがネックではありますが、せっかく国立公園の近くに暮らしているので、来シーズンにはたくさん行って、自信を持って案内できるようになるのが目下の目標です。

YELLOWSTONE NATIONAL PARKと書かれた大きな看板の横に立つ女性
昨年10月に初めてイエローストーン国立公園を訪れました
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