ワイオミング北部での1年

「はるか、この地域には二つの季節しかないの。一つはイエローストーンのシーズン、もう一つはイエローストーンが開いていないシーズン」。赴任してすぐ、スタッフの一人が教えてくれたことですが、ワイオミングの長〜い冬を越し、2年目が目前に迫ってきた今、この言葉が言い得て妙であることを、身をもって感じています。

イエローストーンが開いていないシーズン

私が住むコディはイエローストーン国立公園の東玄関となる街で、東口が閉まる10月中旬から4月末ごろまでが冬。街はローカルの人々だけとなり、ダウンタウンのレストランも冬季は休業している所が多くあります。私のホストサイトであるHeart Mountain Interpretive Centerも一般への開館が水曜日から土曜日までの週4日となり、フルタイムのスタッフは月曜と火曜は在宅ワークとなりました。

膝まで積もった雪、時にはマイナス30度まで下がる気温、鼻毛が凍る新感覚、神奈川出身の私にとっては間違いなく人生で一番厳しい冬でしたが、ローカルの人々にとってはこれでも「マイルド」なのだそうです。こんなに寒いのに、なぜ湯船に浸かるという習慣が無いのか不思議ですが、ありがたいことに車で1時間30分ほど行った所にサーモポリスという温泉街があるため、道路状況のいい時には温泉を楽しむこともできました。

自然条件がこれだけ厳しいので、降雪など天候不順の際はアウトリーチ活動も延期することがしばしばありました。そんな時のために、映画鑑賞や手芸など、皆お家時間の楽しみ方を心得ているようです。私は運動不足解消のためにジムに通い始めました(田舎のジムでも設備は整っています)。残念ながらこの冬は寒さに圧倒され、私自身は楽しむ余裕が無かったのですが、もちろんスキーをはじめとしたウィンタースポーツも人気です。次の冬はぜひ挑戦したいと思います。

屋内のホッケー場にて、観客席で4人記念撮影をしている。
コディにはジュニアリーグのホッケーチームがあります。初めての観戦は臨場感があり楽しかったです。

イエローストーンのシーズン

冬が長く厳しいということは、皆が春の到来を心待ちにしているということでもあります。

5月に入りイエローストーン東口がオープンすると、街は一気に観光ムードに切り替わり活気づきます。観光客向けのアトラクションやイベントも多く開催されるので、本当にこれは同じ街なのかと疑うほどです。7月現在、日中の最高気温は30度程ですが、湿度が低く朝晩は気温が下がるため、日本のような熱帯夜とは無縁です。ただ、5月6月でもたまに気温がぐっと下がり、場所によっては雪も降るので気が抜けません。ホテルやレストランで働く人々は季節雇用の方々が多く、他州・他国から働きに来ているそうです。各地から観光客が訪れるため、さまざまなナンバープレートを目にしますし、人種的にも多様になります。一方、ローカルの人々も旅行に出かける人が多く、酪農・農業に従事している人々も多いため、ローカル向けのアウトリーチ活動は、人を集めるという意味では冬より難しく感じています。

最初は車の運転に自信がなかった私も、お陰様で今ではだいぶ慣れたので、行動範囲が広がり、ワイオミングの大自然を楽しんでいます。5月末にはスタッフの数名とハートマウンテンのハイキングに行ってきました。山道にはさまざまな高山植物が花をつけ、地形や生息する動植物について、ネイティブ・アメリカンとのつながり、日系人強制収容の歴史などを説明した案内板も立っています。毎日眺めていた山に実際に登ることができ、特別な思い出になりました。 この街に来て、あっという間に1年が過ぎようとしています。今年の夏もあと数か月、ワイオミングの短い夏を思う存分楽しみたいと思います。

ハートマウンテンにて、山脈を背景に5名が写っている。
毎日眺めているハートマウンテンへのハイキングは特別なものでした。

デビルズ・タワーを背景に、ピックアップトラックの荷台に乗っている高久さんが腕を組んで立っている。
映画『未知との遭遇』で有名なデビルズ・タワーもワイオミングにあります。

山岳を背景に、高久さんと女性1名が写っている。
スーパーバイザーとドライブしたベアトゥース・ハイウェイ

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