フットボールというアメリカの『体験』
アメリカ文化を語る上で欠かせないものの一つが、アメリカンフットボールです。私は日本にいる頃からNFL(National Football League)のファンで、試合のある日は時差の関係で深夜に起きて観戦していました。眠い目をこすりながら画面越しに応援していたフットボールを、米国に来て実際にスタジアムで体験できるようになったことは、私にとって非常に感慨深い出来事でした。 派遣後の1年間で、私はカンザス州、ミネソタ州、ルイジアナ州など、さまざまな場所でフットボールの試合を観戦しました。地域ごとにスタジアムの雰囲気やファンの気質は異なりますが、共通しているのは、試合当日になると街全体がチームカラーに染まり、周囲の人たちが自然と同じ話題で盛り上がるという点です。フットボールは単なる娯楽ではなく、地域のアイデンティティの一部になっているのだと感じました。

JOIの同期とも観戦に行きました

プロともなると、スタジアムの規模が桁違いです
私の派遣先である北アイオワ大学(University of Northern Iowa)にも、UNIドーム(UNI-Dome)と呼ばれる屋内フットボール競技場があります。大学フットボールも非常に人気が高く、試合の日には学生たちだけでなく地域の人たちも数多く訪れます。プロとは違う距離の近さがあり、選手の動きや声がより身近に感じられる点も、大学フットボールならではの魅力だと感じました。

派遣先であるノーザンアイオワ大学のフットボール競技場。全天候型のドームです。

アイオワ大学の試合。盛り上がっています。
実際に現地で観る試合は、テレビで観るものとはまったく別物です。選手同士が激しくぶつかる音、観客の一斉の歓声、得点の瞬間の地鳴りのような振動は、身体で感じる迫力があります。観戦というよりも「その空間に参加している」感覚に近く、初めてスタジアムで観たときは、その臨場感に圧倒されました。
また、フットボール観戦の楽しさは試合そのものだけではありません。試合前後の催しや、ファン同士の会話、見知らぬ人同士でも自然と応援の言葉を交わす雰囲気など、人と人との距離が一気に縮まる場でもあります。異なる背景を持つ人たちが、同じチームを応援するという一つの行為を通じてつながる様子は、非常にアメリカらしい光景だと感じます。 広い国土を持つアメリカですが、フットボールという共通言語があることで、場所が変わっても自然と会話が生まれます。スタジアムで感じた熱気や、人たちの笑顔や会話を通して、私はフットボールがこの国の多様性と一体感の両方を象徴する文化なのだと実感しました。
フットボールは私にとって、好きなスポーツであると同時に、アメリカという国を理解するための一つの窓口です。日本で深夜に観ていた試合が、アメリカでは日常の風景として存在している。その変化を体感することで、文化とは距離や時間を超えて人と人をつなぐものなのだと、改めて感じています。