第11回 日中韓文化交流フォーラム 中国・温州 概要報告
2005年より日本、中国、韓国の3カ国持ち回りで毎年開かれている「日中韓文化交流フォーラム」は11回目を迎えました。今回は「伝統と革新-中日韓ファッション文化産業発展と協力」をテーマに、中国・温州にて本会議が開催されました。本報告書は、同会議及び関連行事の概要をまとめたものです。
1. 日時
2015年11月17日(火曜日)~20日(金曜日)
2. 開催地
中華人民共和国・温州市
3. テーマ
「伝統と革新-中日韓ファッション文化産業発展と協力」
4. 出席者
日本
- 小倉 和夫
- 国際交流基金 顧問
- 小宮 浩
- 文化財保護・芸術研究助成財団 専務理事
- 大海渡 憲夫
- 国際交流基金 参与
- 上原 利丸
- 染色家、東京藝術大学美術学部工芸科(染色) 准教授
中国
- 陳 昊蘇
- 前中国人民対外友好協会会長
- 王 秀雲
- 中日友好協会副会長
- 袁 敏道
- 中国人民対外友好協会アジアアフリカ部主任
- 周 剣石
- 清華大学美術学院 副教授
韓国
- 鄭 求宗(チョン・グジョン)
- 韓日文化交流會議 委員長
- 孔 魯明(コン・ロミョン)
- 前駐日大使, 前外交通商部長官
- 權 丙鉉(クォン・ビョンヒョン)
- 韓中文化青少年協会会長、「未来森」代表、 前駐中大使
- 李 元泰(イ・ウォンテ)
- 韓中友好協会 副会長、錦湖ASIANA GROUP副会長
- 李 允慶(イ・ユンキョン)
- 韓国文化観光硏究院 文化産業硏究室 室長
5. 本会議概要
本会議に先立ち、温州市人民大会堂にて日中韓各国の専門家による講演会が執り行われました。
染色家の上原利丸・東京藝術大学准教授は、無駄なく作り、無駄なく使うということを着物文化の特徴として挙げるとともに、着物に用いられる友禅模様の意匠を紹介しました。
周剣石・清華大学美術学院副教授は漆工芸家の観点から、三か国が共有する漆工芸文化は芸術性の他、健康増進や環境保護の面でも優れていると説明しました。
韓国文化観光硏究院の李允慶室長は、韓国におけるファッション産業の現状を政策的・経済的側面から分析し、ファッション文化博物館の設立やデザイナー交流など、日中韓を中心としたアジアのファッションのプレゼンス向上のための施策を提案しました。
本会議では、講演会の内容も踏まえて、以下のような発言がありました。
まず小倉委員長は、ファッションについての国際的議論は政治、経済、社会、文化の4つの次元に分けて論じることができると提示し、それぞれの例を挙げて議論を掘り下げました。
続いて鄭求宗委員長(韓国)は、東洋のファッション・クリエイティブ産業は西洋でも競争力があるため、三か国の伝統、美、価値の共有や発展につながる新モデルを模索すべきであると提唱しました。
王秀雲委員(中国)は、日中韓は漢字を始め、様々な文化を共有しており、特に民族衣装は好例で、現在では伝統と現代性を融合したものもあると指摘しました。それに関連して李元泰委員も、三か国は着物、韓服、チャイナドレスと、それぞれが素晴らしい伝統衣装を持っており、三国のファッションは西洋化の影響を大きく受けているが、伝統服も大事にしなければならないと発言しました。
小宮委員は、依然開発途上の宇宙服を例にとり、そのような新素材は日中韓で取り組める新産業となりえるため、三か国の若者が新しいものを生み出す発端に本フォーラムがなればよいとコメントしました。
また権丙鉉委員(韓国)は、三か国は伝統文化に今までも価値を置いてきたが近年再注目されており、東洋文化の復興、さらには新しい文明を作ることも可能であると未来に期待を寄せました。
温州市人民大会堂にて
専門家による講演会の様子
本会議の様子
6. 関連イベント
本フォーラムに際して、温州大劇院にて「中日韓文化交流の夕べ」が開催され、本フォーラムのテーマ曲「私は未来」の三か国語での合唱及び日中韓それぞれの舞台芸術を鑑賞しました。
三か国語での「私は未来」合唱の様子
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国際交流基金(ジャパンファウンデーション)
日本研究・知的交流部 アジア・大洋州チーム
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