EPA日本語講師派遣経験者インタビュー(フィリピン)

派遣経験者インタビューの画像

EPA研修での経験を生かし、現在もフィリピンで日本語教育に携わっています。

フィリピン派遣経験者

韓国で日本語を3年教えた後、日本では別の仕事をするも、また日本語を教えたい、その為にはもっと勉強が必要だと思い、大学院修士課程に入学。在学中に国内の日本語学校で非常勤講師として教えていたが、2014年の修士課程2年前期でEPA講師に応募、休学して参加。現在はフィリピン日本文化センターの日本語指導助手(※)として大活躍!

(※)国際交流基金では、EPA日本語講師以外にも日本語教育に携わる人材を派遣しています。詳しくは日本語専門家の海外派遣 をご覧ください。

QなぜEPAを選びましたか?

A

同じ大学院にEPA日本語教育について研究している先輩がいて、その方がインドネシアEPA講師経験者でした。私自身、もう1か国ぐらい国外で日本語を教えてみたいなと何となく思っていたのと、その方が「自分の日本語教育経験の中で、EPAが一番楽しかった」と言われていたので、応募しました。派遣期間が6か月程度だったので、休学して参加しました。

Q現地の候補者の印象は?

A

皆日本で働くことが決まっているので、日本語の勉強に前向きです。フィリピンの人は自分では恥ずかしがり屋と言いつつ、明るい人が多いと思います。他の国の学習者だと、会話のロールプレイなど恥ずかしがってやらないということもありますが、フィリピンでは皆積極的に参加してくれます。歌、ダンス、ポスターなどの創作が上手な人も多いです。

Q驚いた(想定外だった)ことは?

A

日本の日本語学校などでは担任がクラスのスケジュールや方針を決め、他の講師はそれに従うという形が多いと思いますが、EPAの日本語研修では何でもチームで決めることに驚きました。大変でしたが、チームで意見を出し合いながら、クラスを運営していくことも面白い経験でした。現在の業務もチームで話し合って決めることが多いので、EPA研修での経験が役立っていると思います。

QEPA日本語講師を経験しての感想は?

A

研修中は毎日の授業、宿題チェック、授業準備、チーム会議、係の仕事など忙しかったですが、充実した生活が送れたと思います。授業での教え方はもちろんのこと、看護や介護の日本語教育、自律学習についても学ぶことができました。国外か国内かはわかりませんが、もう一度どこかでEPA日本語教育に関わってみたいなと思っています。

QEPA日本語講師での経験は、今の仕事や生活にどのように活かされていますか?

A

EPA派遣後、縁があり再びマニラ日本文化センターに日本語指導助手として派遣されました。現在はセンターで主に中等教育での日本語教育支援を担当しています。EPAとは研修内容も時間数も異なりますが、当時の経験があったからこそ「フィリピンの人たちを信じ、あきらめない」という心情で業務を行えていると思います。

EPA日本語講師を一言で表現すると?

視野の広がり

EPA講師になったことで、フィリピンの日本語教育、看護・介護の日本語教育、自律学習など新たな分野を知ることができたと思います。

EPA日本語講師派遣経験者の座談会(派遣先:フィリピン)

派遣経験者座談会の画像
左から、あやこさん(A)、あきさん(K)、まなみさん(M)

日本語教育というものを、また勉強したいと思うようになったのはEPA研修に参加してから。(あやこ)

候補者たちの姿が自分の励みになって、フィリピンの人たちの強さからも学んだ。(あき)

EPA研修で知り合った講師が全国で頑張っているから、私も頑張れるという気持ちがある。(まなみ)

あやこ:
2013年度、2014年度に参加。クラス授業のきちんとした経験を積むには最適な環境・期間だと思い参加した。
あき :
2013年度に参加。前職を活かし、医療や介護に関する日本語教育に関心があり、国際交流基金のプログラムで経験したかった。
まなみ:
2013年度、2014年度、2015年度に、日本語教師として海外での経験を積むために参加。国際交流基金での募集だったので安心。

Q候補者たちの印象

A

まなみさんの写真
  1. A:とにかく明るい。人の話、よく聞いてくれる。
  2. M:そう!みんなが(こちらを)見てくれる。
  3. K:褒め上手ね。
  4. M:(候補者達の)目的意識がはっきりしているから、みんなが、その目標に向かってやろう!っていうので授業を聞いてくれる。ほんとに大うけする芸人くらい(笑)
  5. A:ねぇ。勘違いしちゃうよね(笑)
  6. K:あんなに教えやすい人たちはいない。
  7. M:あと、ボディ・パーツとか覚えるのに、即興で歌とかダンスに出来る。それ、すごい。
  8. A:やるねぇ。絶対見ないよね、こっち(日本)では。
  9. M:そう、見ない。出来ない。恥ずかしくて。でも(候補者たちに)「20分位で作って」って言ったら、自分たちで作って、次の時間に発表!とかね、出来る。レベルが高い高い(笑)
  10. A:(候補者たちは)ホスピタリティだよね。あれはすごいね。
  11. M:いつも。荷物を持って教室を出ようとしたら、誰かが手伝ってくれる。
  12. A:「持ちましょうか。」
  13. K:「先生、持ちます。」
  14. A:習ったばかりの文型使ってね。
  15. M・K:そうそう。
  16. M:ちょっと初めは、うまく言われへんねんけど、だんだん言えるようになってくんのね。
  17. K:懐かしい。会いたくなってきちゃった。

Q辛かったこと乗り越えたこと

A

あやこさんの写真
  1. M:大変だった時期ってあったかな?
  2. K:あった。
  3. M:どんな時?
  4. K:候補者に、なかなかやる気を出して貰えなかった時とか、毎日一人ひとりと対話して、頑張っているつもりでも、やっぱり、人の心を動かすのは難しいなぁ、と思って。それが長く続くと、ちょっと、ね、しんどくなった。
  5. M:候補者も頑張っているんだけどね。
  6. K:そう、お互いね。
  7. M:でも、うまくいかないこともあって。
  8. K:そんな時は、チームの人が同じ候補者を見ているから、語り合って、お互いに意見を言い合って。一人じゃなくて、二人とか三人、みんなで一緒に取り組むことで、だいぶ変わったかなぁ。気持ちも楽になるし。それはチームティーチングのいいところかなぁ。
  9. A:私が辛かったのは、あれだな、送迎バス。
  10. Y・M:あー。
  11. A:あれは、すごく便利だった反面、ずーっと(一緒だから)。
  12. M:プライベートもずっと、住むところも一緒やし、研修所でも一緒やし、行き帰りもずっと一緒なんで、私は、近畿日本人会っていうコミュニティに入って、異業種の人たちと、いろいろ話をしたり、他にも、友達と外に出て行ったりすることで、わりと発散していたかな。
  13. A:あと、旅行だね。
  14. Y・M:旅行!
  15. 全員(笑)

Q今の自分に活かされていること

A

あきさんの写真
  1. A:試験作成もそうだし、授業展開もそうだし、学習者への「自律」、学習の指導だったりとか、立体的に考えられるようになったのは、やっぱり、(EPA訪日前研修に)行ってからの、「学び」かな。
  2. M:私も、「自律」っていうのを初めて知った。
  3. K:今まで、あんまりね。
  4. M:日本語(の授業)で取り入れてなくて、これを日本でもっとやっていれば、全然変わったかなっていうのは、あった。
  5. A:もっと日本語教育について勉強したいっていう気持ちと、した方がいいっていう気持ちと。日本語教師としてのモチベーションになっているかな。
  6. M:EPA講師向けの)現地の勉強会で、勉強していく中で、候補者に自分たちで考える力をつけるのと(同時に)、私たちにも、そういう力がついたような気がする。
  7. A・K:うん。
  8. M:今やっている授業の中でも、答えはなるべく言わないようにして、どうやったら答えを、学生から導き出せるか、っていうのを考えるような、授業をするようになった。
  9. A:なったねぇ。
  10. M:答えをぱっと言った方が早いし、簡単やけど、それをしないで、やる。(それを)しないで授業を組み立てることが、出来るようになったんが、大きいことかな、って思う。
  11. K:忍耐力とかもね。待つ忍耐力が付いたというか。
  12. M:候補者からのメッセージで、「先生は気が長いです」って書かれていたことがある。
  13. 全員(笑)
座談会中に3人が談笑している風景の写真
What We Do事業内容を知る