日本を愛し、日本人の”心”を歌う ークリス・ハートさん(アーティスト)ー

神社の前に立つクリス・ハートさん

12歳の時に日本語学習を始め、13歳の時の日本でのホームステイをきっかけに日本に惹かれたクリス・ハートさん。現在ではアーティストとしてJ-POPを歌うなど日本で大活躍しています。アメリカでの日本語との出会いから現在に至るまで、どのようにして日本語能力を上達させたのか、また、アーティストとして日本で活動するクリスさんの音楽への思いを伺いました。

公演時のクリス・ハートさん
クリス・ハート
1984年8月25日生まれのアーティスト。アメリカ合衆国、カリフォルニア州サンフランシスコ出身。2012年にTV番組「のどじまん ザ!ワールド」での優勝をきっかけにプロデビューし、2013年、2014年に2年連続で紅白歌合戦に出場。2017年に日本国籍を取得。

※クリスさんの歌っている姿は、本人公式YouTubeチャンネルでご覧いただけます。

各項目へジャンプする場合は以下のリンクをクリックしてください。

日本語学習について


インタビュー時のクリス・ハートさん 1枚目の写真

日本語に初めて触れたアメリカでの中学時代

―初めて日本語に触れたのはいつですか?
クリス:中学校一、二年ですかね。最近では増えていると思いますが、当時では珍しく自分の中学校で日本語のクラスがありました。お母さんとお姉さんが学習していたスペイン語とはちょっと違う勉強をしたいと思い、日本語を試してみようかという軽い気持ちで日本語を勉強し始めました。
そこからはすぐに日本語が好きになり、徐々にアニメや音楽などの日本のメディアも好きになり、日本のことばかりを考えるようになりました。
―複数ある言語からなぜ日本語を選んだのですか?
クリス:当時は日本に対して「珍しい」という気持ちだけで、特にそんなにイメージがなかったのですが、珍しい日本語の勉強だからこそやってみたらどうなのかなという気持ちで選びました。選んでよかったなと今でも思います。
―日本に対して事前のイメージが全くないまま、日本語を学び始めたのですか?
クリス:はい、そこで初めて日本語に触れました。当時はお寿司のことしかイメージがなく、これからもっと日本のことについて勉強出来たらと思っていました。
―当時の学習環境について教えてください。周りに日本人はいましたか?
クリス:通っていた学校に日本人はいたのですが、(日本人の)友達はそんなにおらず、ゼロからのスタートという感じでした。
―周りで日本語を学んでいた方もアメリカ人だったのですか?
クリス:そうですね。アジア系のアメリカ人などいろいろな人がいたのですが、みんなあんまり日本のこと詳しくわからない人ばかりで、試しに日本語の授業を受けてみようという気持ちでした。
―週にどのくらい日本語を学んでいたのですか?
クリス:週五回、毎日勉強していました。
―授業ではどのように日本語を学んでいたのですか?
クリス:最初は挨拶や簡単な言葉だけで、少しずつ日本文化、日本の学校の雰囲気、日本での仕事についての紹介がありました。時には、アニメや映画などの日本のメディアを見せてもらうこともありました。
―日本語の勉強を通して、いずれ日本に行きたいと思ったのですか?
クリス:日本語を勉強し始めてから日本のことが好きになりました。当時はまだ日本について知らないことが多く、自然と行ってみたいという気持ちになりました。そして、当時の日本語の先生がその気持ちに気づき、お母さんにホームステイのプログラムを紹介してくれました。「クリスが興味ありそうだから、日本に行った方がいいよ」と言われ、それがきっかけで二週間のホームステイに行くことになりました。

インタビュー時のクリス・ハートさん 2枚目の写真

人生は日本のために... 人生を変えた日本でのホームステイ

―プログラムを紹介してもらったことがきっかけでホームステイすることになったのですね。日本のどこにホームステイしていたのですか?
クリス:現在茨城県の土浦市となっている新治村です。
―(ホームステイを)そこにした理由は?
クリス:参加したプログラムであらかじめ設定されていたホームステイ先が新治村でした。私が生まれた市と近い雰囲気の場所に行った方が良いと周りから言われ、参加しました。
―当時、日本に来るにあたって不安はなかったのですか?
クリス:二週間だけということもあって不安はなく、早く行きたいという楽しみな気持ちだけで、文化の違いや怖いことなどは深く考えたりしていませんでした。
―ホームステイのため来日した時の日本の印象を教えてください。
クリス:景色も含め、何もかもアメリカと違う国で、別の世界に入ったような気持ちでした。二週間のホームステイでは周りの方々がとてもやさしく、絶対に楽しめるようにいろいろなことを経験させてくれました。日本の景色が好きだなと思い、自然とずっと日本に住みたいという気持ちになり、アメリカに帰りたくない気持ちでいっぱいでした。
―ホームステイで特に印象に残っている思い出はありますか?
クリス:ホームステイしたのが夏休みのすぐ前で、私は学校で勉強することがもともとあまり好きではなかったのですが、なぜかみんなと一緒に学校に行って、数学などを日本語で勉強することはすごく楽しかったです。日本は、勉強でも楽しいというのはすごく不思議で、日本の学校に通い続けたいという気持ちが強かったです。学校に行き、学校後に行う部活動を含め、その日本の生活リズムがすごく好きで、なんでも楽しかったです。
―どの部活動に参加したのですか?
クリス:音楽関係やバスケットボール部などいろいろな部活に参加し、楽しく取り組むことができました。
―ホームステイ中は日本の学校に通われていたと思うのですが、通っていて難しかったことを教えてください。
クリス:特にありませんでした。ただ、強いて言うならば、日本語を勉強し始めて2年しか経っていなかったので、普通に会話できるレベルではなく、頑張って日本語を使用したとしてもなかなか通じないことがあるなど言葉の問題は大きかったです。周りの方々の支援もあり、なんとなくコミュニケーションをとることができ、楽しかったです。
―逆に日本の学校で楽しかった・良かったことは?
クリス:全て楽しかったです。テレビを見たり、ゲームをしたり、学校に行ったり、キャンプをしたり、買い物をしたりなどなんでも楽しかったです。
―ホームステイ中、学校での思い出のほかにホストファミリーとの思い出も多いですか?
クリス:そうですね。ホストファミリーの中には自然に入ることができ、マイファミリーのような感じで楽に過ごせました。一番印象に残っている思い出としては、ナスを焼くなどアメリカでは珍しいバーベキューをしていたときに、ホームステイ先のおじいさんが酔っ払い、私に納豆を紹介してくれたことです。最初紹介されたときは、「これは食べ物ではないでしょ」と思ったのですが、食べてみたらとてもおいしかったです。そんなワイワイしている日本の夏の雰囲気が良かったです。
―ホームステイで好きになった食べ物はありましたか?
クリス:カレーライスです。アメリカにはなかなかないもので、カレーライスはこんなにおいしい食べ物なのかと思いました。アメリカに帰ってからも、早くカレーライスをつくりたいと思い、日本人向けのスーパーに行って、自分でよくつくっていました。
―ホームステイでは、とても楽しい経験をされたのですね。ホームステイをきっかけに何か心境の変化はありましたか?
クリス:二週間だけだったのですが、ホームステイで人生が変わりました。アメリカに帰る直前には、絶対に何があっても日本に住まないといけないという気持ちになり、それからはやることすべて日本に住むためだと思ってやっていました。人生は日本のためにという気持ちになりました。

インタビュー時のクリス・ハートさん 3枚目の写真

アメリカ帰国後も薄れることのなかった日本・日本語とのつながり

―ホームステイで大きく人生が変わったとのことでしたが、アメリカに帰国後も日本語は継続して勉強していましたか?
クリス:アメリカに帰ってからも高校で二年間、大学で一年間日本語を勉強していました。卒業してからは、日本語を使う仕事で10年の経験があればVISAをとることができると聞いていたので、日本に戻るために英語の先生など日本語を使えるいろんな仕事を探してチャレンジしました。そして、10年が経ち、念願であった日本に行くことができました。
―アメリカで日本語を学んでいた時に印象に残っている思い出はありますか?
クリス:大学のころの日本語の勉強が自分の中では一番大きかったです。日本人の先生のアシスタントと友達になり、その方との会話が日本語を話す練習となり、日本の文化や音楽の話で盛り上がっていました。日本語の勉強をただしているだけでなく、日本人の友達と会話をしたりして、一緒に勉強することを楽しんでいました。

インタビュー時のクリス・ハートさん 4枚目の写真

すべては日本に行くために... 日本を意識したアメリカでの仕事選び

―卒業後に日本語を使う仕事をしていたとのことですが、日本移住に向けてアメリカでは具体的にどのような仕事をしていたのですか?
クリス:日本の化粧品メーカーのコールセンターや、警察の仕事でも日本語を使い、日本人向けのサービスがあるところで仕事をしていました。また、国際空港で働いて、日本人のお客さんに対して日本語でできる限り対応するなど、日本語を使えるいろいろな仕事を探していました。
―仕事の中で日本語を使いながら勉強したいという気持ちだったのですか?
クリス:はい、できる限り日本語を使って、勉強をしながら仕事をしていました。敬語など仕事での日本語は使うのがとても難しかったのですが、それも良い勉強であり、練習になりました。ただ、まだまだ日本語は完璧ではなく、日本でないとダメだなという気持ちや、もっと勉強しないといけないという気持ちもあり、失敗しながらも前に進んでいました。
―それほど日本に行きたいという気持ちが強かったのですね。
クリス:そうですね。いつか日本につながると信じて、音楽活動をやりながらもずっと日本のことを思って前に進むという気持ちで仕事に取り組んでいました。

インタビュー時のクリス・ハートさん 5枚目の写真

念願であった再来日 さらなる日本語の向上へ

―ずっと日本に行きたいと思ってアメリカで仕事をしていたクリスさんですが、なぜ再び日本に来ることになったのですか?
クリス:音楽活動をしながらもいろいろな仕事にチャレンジしていたのですが、日本に住むチャンスはなかなかありませんでした。ただ、たまたま私のお母さんがある自動販売機の会社で働いていて、その会社が日本で新しいビジネスをつくりたいという話になり、お母さんの紹介でその会社に入って、エンジニアと営業マンとして日本に移住する形になりました。日本に再び住むことになったのですが、普通に営業マンとしてバリバリ働いていました。
―日本に住むことになった時の心境を教えてください。
クリス:「やっと」って感じでしたね。ただ、まだまだ日本語が出来ていないのに大丈夫かなっていう心配もありました。毎日の生活をすべて日本語だけで送ることには自信がなかったし、絶対失敗や恥ずかしい思いをすることがわかっていたので、勇気を出してちゃんと仕事をすることができるか心配でした。心配や緊張しながらも、夢だったからこそ頑張るという気持ちで移住しました。
―日本で働いて最初にぶつかった壁は何ですか?
クリス:敬語ですかね。現場で電話をしているときや機械に関しての話をしているときに、英語では分かっていても伝わらなかったり、相手のスタッフに契約関係などの話をされたりするときはとても大変で難しかったです。ただ、相手もすごく優しく、ゆっくりとしたペースで話してくれたりして、なんとか仕事ができました。
―来日した時の日本語能力はどのくらいだったのですか?
クリス:当時はすでに日本語を聞くことには慣れており、日本語の日常会話はできていました。ただ、自動販売機関係の言葉などは知らなかったですし、私が中学校・高校で勉強していた日本語は普通の会話レベルといったシンプルな感じだったので、大人として一人で日本に行き、毎日病院関係や仕事関係の知らない日本語に対応することはとても大変でした。
―そこからどのように勉強して日本語を上達させたのですか?
クリス:いっぱい失敗しても喋るしかないという環境に身を置き、日本語を上達させました。昔も今も「失敗するのが怖いから日本語を使わない」という方が多いのですが、私の場合は日本に来て営業マンの時代からずっと、日本語を使わないと仕事ができませんでした。だからこそ、失敗しても仕方がないと思い、知らない言葉が出たらすぐ調べて勉強するという流れで成長したいと思っていました。いろんな仕事でいろんな経験をしてきた中で、そのような強い気持ちがなかったら日本語はうまくなりませんでした。どんなに日本語を勉強したとしても、使わないと成長できないですし、失敗してからの反応や動き次第で成長できるかどうかが決まるということにすぐに気づいたので、常にサバイバルモードで失敗をしながらも日本語を使うという気持ちで成長しました。
―日本語を使ってスピーキング能力を伸ばしたのですね。
クリス:そうですね。いろんな人と話したりして、日本語だけの生活となっており、英語を使う機会がなかった分、「日本語で生きる」という感じでした。今振り返ると、アメリカでもっと頑張って勉強していたら、日本語がうまくなっていたかなとも思うのですが、やはり逃げないでどんなに失敗しても気にしないで日本語を使うという気持ちがあれば、どのような環境であっても成長できると思います。
―クリスさんのおすすめの日本語の勉強方法を教えてください。
クリス:多分もっといい方法はあると思うのですが、漢字の勉強はほぼ歌詞カードでやっていて、読み方や発音練習も音楽を通してしていました。 最近では、多くの人が日本のアニメを通して勉強していると聞きます。それもいいと思いますが、私が日本語学習において大きく影響があると思うものは、「歌詞カードでの漢字の勉強」と「ニュース番組やバラエティ番組を見ること」だと思っています。自然に出る話や関西弁などのリズムを聴くことはとても勉強になると思いますし、CDに入っている会話の例文を聞いたりするより、もっと自然な日本語を聞かないと、どれだけ勉強を頑張っていたとしてもちょっと迷っちゃうかなと思います。特に方言は難しく、私はニュース番組やバラエティ番組ですべて勉強しました。
―よく見ていたバラエティやニュース番組を教えてください。
クリス:高校時代に放送されていた「HEY!HEY!HEY!」という日本の音楽番組があるのですが、そこでのインタビューの時の話し方や関西弁などはすごく勉強になっていました。また、「笑う犬」というコメディ番組もとても面白く、日本のコメディーセンスについてとても勉強になりました。話し方が普通の日本語と違い、とても速くて力になりました。バラエティやニュース番組を通して、日本語の話し方のバリエーションがとても増えました。

神社でのクリス・ハートさんの写真

日本語学習者へのメッセージ

ちゃんと勉強してください。日本の言葉だけではなく、日本文化など日本のすべてを勉強してください。日本語の勉強を通して絶対にいい出会いがあると思いますし、自分の人生も変わるチャンスもあるから、楽しく勉強すれば、すごくいいことがあると思います。

音楽活動について


インタビュー時のクリス・ハートさん 6枚目の写真

日本語×音楽活動 クリスさんにとって当たり前のこと

―日本語を使って高校・大学時代に何か活動していたのですか?
クリス:高校時代に日本人の友達と音楽の話で盛り上がってバンド活動をやってみようという話になり、私は当時何も弾くことができなかったので、ボーカルとして日本語で歌を歌うことになりました。
―その時から日本語で歌を歌っていたのですか?
クリス:そうですね。ずっと日本語で歌を歌っていました。逆に英語で歌を歌うことはあまりありませんでした。
―日本語で初めて歌うことになった時に抵抗はなかったのですか?
クリス:私自身日本の音楽が好きで、私のお母さんが英語ではなくスペイン語で歌を歌っていたため、自然と英語ではない曲を歌ってもおかしくはありませんでした。ただただ日本語を歌うことが楽しく、深く考えていませんでした。
―当時は日本語の歌詞の意味を理解して歌っていたのですが?
クリス:日本語の歌詞についても勉強しながら歌っており、それもすごく良い日本語の練習になっていました。歌詞カードを読んで漢字の勉強をしたり、声に出して発音の練習にしたり、歌詞の内容を調べて意味を理解したりと良い勉強でした。
―高校時代から日本語で歌詞を理解して歌っていたのですね。クリスさんにとって、日本語で歌うことの意味は何ですか?
クリス:(日本語で歌うことは)私にとって当たり前のことです。アメリカで、英語で歌手活動していたというイメージがいろんな人の中にあるかもしれませんが、私はずっとスタートから日本語で歌い続けてきました。当たり前のように日本語で歌い続けてきた分、逆に英語で歌ってくださいと言われると「え」という感じになります。私にとって日本語で歌うことは日本との絆を深くするためという気持ちです。日本語で歌っているときは今までの出会いすべてに感謝の気持ちを込めて歌っています。私にとっては日本語で歌わないと逆に不自然です。
―日本語と英語で歌う時に何か違いはあるのですか?
クリス:日本の曲は歌詞が大事であり、理解をしないと歌えないのに対し、アメリカの曲は歌詞に意味がなくてもとりあえずノリで歌えるところがあります。日本の曲は歌詞が何よりも大事です。日本人は歌詞に感動して、歌詞で心が動いている感じがすごくあり、その歌詞を理解するためにも日本のことをちゃんと考えないと理解できないです。中学生の時に日本語の歌詞を理解しようと勉強していた時には、イメージではわかっていたのですが、実際に日本で住むことで「桜と言えば、花のことだけじゃなくてこの季節のことなんだね」といった発見があり、歌詞をより理解することができました。日本の文化と歌詞はつながっており、日本への旅行など日本での経験がないと多分100パーセント歌詞を理解することができないと思いますし、歌詞を理解しないと歌うことはできません。
―クリスさんは今後も日本語で歌い続けますか?
クリス:そうですね。ファンから「英語で歌ってください」というリクエストも増えていて、サービスで英語を楽しめるような感じで歌っていますけど、何より私の中では日本語が一番自然、当たり前な感じですね。

インタビュー時のクリス・ハートさん 7枚目の写真

仕事×音楽活動 そして、日本でアーティストとして生きる決意

―仕事と音楽活動のかかわりについて教えてください。アメリカでの仕事を経て来日後、音楽活動はしていたのですか?
クリス:来日してからは、(音楽活動は)一年間休み、仕事だけのことを考えて日本の生活に慣れるまで一生懸命頑張りました。二年目からは音楽活動を再スタートして、朝から夜までずっと仕事をして、終わったら歌の練習やライブを行ったりするなど、思ったより大変な日々を過ごしていました。
―仕事と音楽のダブルワークは大変だったと思うのですが、なぜ頑張れたのですか?
クリス:12、13歳のころからずっと日本に住みたいという気持ちがあり、10年後に日本に住むという夢が叶いました。当初は歌手になりたいというより、音楽は日本に住むためのものであり、活動を通して日本に住める方法があればいいかなと思っていました。日本に来てからは、音楽を通していろんな人に出会い、楽しい経験ができました。デビューできなくてもいいが、もしチャンスがあればデビューできたらいいなと思いながら、日本の文化を勉強できるという気持ちで音楽活動をやり続けました。その時出会った音楽仲間を通していろんなライブのオファーがきたりするなど、周りの人の影響や応援のおかげで音楽活動が進んだという感じでした。日本語の勉強、日本での仕事や音楽活動での出会いがあって、楽しい経験があったからこそ頑張れました。
―仕事と音楽活動を両立されていたクリスさんですが、なぜそこから日本でアーティストとしてデビューすることになったのですか?
クリス:半分本気で音楽活動を続けていたある日、とある日本の名曲を歌うという内容のテレビ番組に誘われてその番組で歌い、その後連絡をくれた番組のプロデューサーにレーベルを紹介されました。本当にみんなのおかげです。

インタビュー時のクリス・ハートさん 8枚目の写真

作詞作曲とカバー曲への強い思い

―日本でデビュー後、クリスさんはカバー曲のイメージが強いのですが作詞作曲もするのですか?
クリス:そうですね。デビューしてから2、3曲作詞作曲にチャレンジしていたのですが、何より日本語の曲を勉強したい気持ちがありました。デビューした時もカバー曲の方がもっと日本の勉強ができるかなと思っていて、日本の文化を理解できるチャンスになると思っていました。オリジナル曲をつくっているときも他の作家さんと一緒に共作という形でつくっており、少なからず日本語の勉強になるかなと思っています。活動休止をしていた時もプロダクションとか作曲の勉強も行っており、自分からの新しいストーリーという気持ちで最近は作曲も作詞もしています。
―カバー曲を歌う時に意識していることを教えてください。
クリス:原曲の良さを守ることに責任感を持つことです。曲をただうまく歌うことだけではなく、ストーリーをうまく伝えようとすることや曲へのいろんな人の思い入れを大切にして歌うことが大事であり、軽く歌うことは許されません。
―カバー曲を歌う時もその歌詞の意味を理解して歌うのですか?
クリス:はい、歌詞の意味を理解して、原曲のアーティストがつくった時の気持ちやファンたちの思い入れなどすべて勉強して、考えながら歌っています。

日本のファンと憧れのアーティストについて

―日本で活動されている期間が長いクリスさんですが、日本のファンの印象を教えてください。
クリス:日本のファンはみんな優しいです。ホームステイ先と同じような感じで、みんなものすごく優しく、日本を楽しめるように一生懸命日本のいろんなことを頑張って教えてくれます。音楽に関しても、それぞれの歌のストーリーや気持ちなんかもいろいろ教えてくれて、とてもあったかくて優しいです。
―歌手活動で尊敬するアーティストは?
クリス:多すぎて大変ですが、挙げるとしたら玉置浩二さんですかね。歌詞もいいですし、ソウルフルな曲、ファンキーな曲、バラード、アップテンポなどさまざまな曲をつくることができ、なんでもできるアーティストですね。彼がつくる歌詞や声にはパッションが伝わってきます。一回会ったことがあるのですが、ほんとにすごい人でした。私もそのようなアーティストになれたらなってずっと思っています。

インタビュー時のクリス・ハートさん 9枚目の写真

今後の目標・アーティストを目指す方へ

―アーティストとしての今後の目標を教えてください。
クリス:これからは自分の活動だけではなく、いろんなアーティストをプロデュースすることができればなと思っています。私はいろんな人の応援のおかげでここまでくることができたので、同じような形で誰かの力になり、サポートしたいなと持っています。
―最後にクリスさんのようなアーティストを目指す方へメッセージをお願いいたします。
クリス:夢があれば、それだけを大切にして頑張った方がいいです。どうなるかわからないですし、どんな形でその夢をかなえられるかわからないので、頑張りながら成長して、いろんな出会いでかなえられるチャンスがあるかなと思います。私も最初のイメージと今の活動は全然違って夢は自然と変わりましたし、いろんな人との出会いのおかげで想像できなかったチャンスもありました。夢を大切にして前に進んで、夢と一緒に変わっていった方がいいかなと思います。

圧倒的な歌唱力で多くのファンを魅了するクリスさん。これからも日本での活躍を楽しみにしています!

What We Do事業内容を知る