ボスニア・ヘルツェゴビナ(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

2018年度日本語教育機関調査結果に関する帯グラフ。機関数は1件、教師は1名。初等教育は0名で全体の0.0%、中等教育は0名で全体の0.0%、高等教育は0名で全体の0.0%、学校教育以外は65名で全体の100.0%。

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 旧ユーゴスラビア時代は、首都にあったベオグラード大学言語学部に1975年に開設された日本語講座が日本語学習の中心であった。1990年代の紛争を経て、ボスニア・ヘルツェゴビナが旧ユーゴスラビアから独立した後、一部の都市において高校や外国語学校において日本語クラスがあったが、講師の不足や予算難により、その多くは閉講となり、2019年時点の日本語教育機関は、サラエボ大学哲学部及びデルベンタ市内高校のみとなっている。
 2013年から首都にあるサラエボ大学内に一般市民を対象とした日本語公開講座が開設され、総合的に日本語を学習できる国内唯一の機関となっている。また、2019年には将来的な日本学科への発展を目指してサラエボ大学哲学部内に修士・博士課程学生を対象とした日本語選択コースが開設され、日本研究の拠点となることが期待される。

背景

 ボスニア・ヘルツェゴビナにおける日本の経済協力を背景に、日本文化への関心の高さが、日本語学習の動機付けとなっていると思われる。また、マンガ、アニメ、ゲームなどの影響から若い世代には、独学で日本語を学習しているものも多く、日本語学習への関心は極めて高い。

特徴

 日本・日本文化とともに日本語に対する関心は高く、若者を中心に日本語学習を希望する者も多い。しかしながら、ボスニア・ヘルツェゴビナの日本語教育環境は未だほとんど整備されておらず、国内各地において日本語講座の開設が望まれているものの、圧倒的な教師不足により開講できなかったり、休講に追い込まれたりしている。

最新動向

 2013年から一般市民を対象とした日本語公開講座が開講されているサラエボ大学は、将来的な日本学科の開設を目指し、2019年10月に大学院生を対象とした日本語選択コースを哲学部内に開設し、また、2020年10月には同様に日本文化選択コースを開設する予定であったが、担当教師の配属の都合がつかず2021年2月へ延期となった。
 また、日本語公開講座については、2019年度から、従来の日本人講師1名に現地講師を加えた2名体制、上級クラスを加えた6レベル・8クラス体制に拡充された。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 バニャルカ市の高校において、2014年から課外講座ながらも民間企業等の資金援助を得て、日本人教師による日本語講座が開設されていたが、資金不足等により2017年に閉鎖された。
 デルベンタ市の高校において、2000年3月にボランティア・ベースの日本語教室が開講され、日本に滞在経験のある教師が課外活動として日本語を指導し、毎年10~15名程度の生徒が日本語を学習、ベオグラード大学(セルビア)の日本語学科に進学した受講者も数名いた。 同教室は2007年から閉講となったが、2019年10月から同市在住の日本人がボランティア・ベースで講師となり、同高校における日本語クラスが再開され、約10名の生徒が日本語を学んでいる。

高等教育

 2013年10月、非正規講座ではあるが、サラエボ大学獣医学部において一般市民を対象とした日本語講座が開設され、2016年10月に哲学部に移行して以降も、現在に至るまで毎年50名以上の応募がある。本講座は,初級から上級までの6レベルで全8クラスが開講されている。また、同大学哲学部では、1月の書き初め大会、3月の弁論大会、7月の日本語能力試験などの行事も毎年行われている。講師は日本人講師1名及び同講座卒業生1名のみであり、現地講師の育成を含めた講師数の拡大が課題である。
 サラエボ大学と上智大学との間の協力覚書に基づき、2016年から毎夏、上智大学が大学院生をサラエボ大学哲学部に派遣し、一般市民を対象とした夏期日本語講座を開講している(2019年度は、派遣講師数4名、全7クラス合計の受講者数は47名。2020年度はコロナウィルス感染拡大によりオンラインで実施し、受講申込者数は100名)。
 2019年10月、サラエボ大学哲学部は、将来の日本学科開設を目指し、英文学科内に同大学の大学院生を対象とした正規の日本語選択コースを開設し、2020年10月時点で39名の学生が登録されている。講師は日本人講師2名(うち1名は上記の日本語公開講座の講師を兼任)。

学校教育以外

 在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本国大使館(サラエボ市)において、2000年より現地職員による無料の初心者向け日本語教室を開催し、2006年12月以降は、「BH-日本友好協会」の下、元国費留学生及び日本人留学生のボランティア講師を新しく迎え、講師の都合に合わせ日本語教室を開催、上記のサラエボ大学における日本語公開講座の開設を機に、閉講となった。当時の受講者は学生を中心に20名程度であった。
 バニャルカ市の外国語学校「マルコ・ポーロ」において、2004年9月より、ボランティア講師(定期的に同市を訪れる日本人、元国費留学生、ベオグラード大学日本語学科卒業生)により日本語教室が開催されていたが、講師の不足により2018年度から休講となっている。
 2003年9月に、ビイェリナ市の外国語学校においてベオグラード大学日本語学科を卒業した講師による初心者のための日本語コースが開講されたが、2008年夏以降は講師の確保が困難となり、再開の見通しは立っていない。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 9-3(4)-3制

プレ・スクール(1年間)
初等教育:義務教育(9年間、6~14歳)
中等教育:専門学校(3年間) 進学予備学校(4年間)
高等教育:学士(3年以上) 修士(2年) 博士(3年)

教育行政

 ボスニア・ヘルツェゴビナは、2つのエンティティ(ボシュニャク(ムスリム)系及びクロアチア系を中心とする「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」とセルビア系を中心とするスルプスカ共和国)及びいずれのエンティティにも属さないブルチュコ特別区により構成される高度に分権的な国家である。教育行政は、国レベルでは、民生省(Ministry of Civil Affairs)が統括を行っているが、両エンティティの各教育省が強い権限を有し、「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」においては10のカントン(県)にそれぞれ存在する教育省も教育行政に大きな権限を有する。

言語事情

 ボスニア語、クロアチア語及びセルビア語が憲法で公用語とされている。旧ユーゴ時代は、これらの言語は「セルボ・クロアチア語」と呼ばれていた。ボスニア語とクロアチア語はラテン文字表記、セルビア語はキリル文字表記が多い。

外国語教育

 英語は初等教育第1学年(6歳)より必修科目。第二外国語としてフランス語またはドイツ語を第5学年(10歳)より、選択履修。

外国語の中での日本語の人気

 初等教育で履修する外国語(英語、フランス語、ドイツ語)を除けば、当地で学習可能な言語はイタリア語、スペイン語、ロシア語、トルコ語、アラブ語、ペルシャ語などである。これらの言語は大学で履修可能であるため、これらの言語と比較すると日本語学習者の数は少ないが、サラエボ大学における日本語公開講座開設時には、200名以上の応募があり、一部学生や一般市民の間で日本語学習に対する関心の高い層が存在する。また、サラエボ大学で日本語講座を開始した際、すでに独学で日本語を学習し、それなりのレベルにある者もいたことを踏まえれば、独学者も相当数あると思われる。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 NHKワールドで過去に放送された番組(デルベンタ市の高校のみ)

高等教育

 初級教材として、『げんき 第二版』(坂野永理ほか、1999、 The Japan Times)シリーズ、中級教材として『上級へのとびら』(岡まゆみほか、 2009、くろしお出版)シリーズを主教材として用いている。また、副教材として2013年より国際交流基金から寄贈された日本語教材を多数用いている。

学校教育以外

 特になし。

IT・視聴覚機材

 サラエボ大学日本語講座では2014年から授業内でプロジェクターを用いてPPTを活用している。 また、有志の学習者よりソーシャルネットワーキングサイト(フェイスブックの「サラエボ日本クラブ」)を用いた情報交換の場などが作られている。さらに、2017年から学習者がボスニア・ヘルツェゴビナを日本語で伝えるブログサイト「くちこみボスニア百科」が開設された。
日本政府の草の根文化無償資金協力により、サラエボ大学哲学部棟内に日本語・日本文化専用の教室が整備され、家具に加え、パソコン、スマートボード、オンライン授業も可能となるビデオ会議システムが配備される予定。(2020年11月完了予定)。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 現地在留邦人によるボランティア(デルベンタ市の高校のみ)。

高等教育

学校教育以外

 特になし。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムは確認されていない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本語ネイティブ教師1名(サラエボ大学)が教師として1年契約を結んでいる。同教師は非正規の日本語公開講座及び正規の日本語選択コースの指導を一任されている。正規の日本語選択コースのもう一名の日本語講師は、日本語教授の学位を有し、受講生に対する成績及び学位の認定を担当。

教師研修

 特になし

現職教師研修プログラム(一覧)

 特になし

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 2016年度よりサラエボ大学哲学部公開日本語講座が、国際交流基金「中東欧日本語教育プラットフォーム」、ベオクラード大学による「セルビア日本語教師会」に参加。情報交換等を行っている。

最新動向

 特になし

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

2000年 デルベンタ市の高校にてボランティアによる日本語教室開講(一時休講)
在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本大使館にて日本語教室を開講(既に閉講)
2003年 ビイェリナ市の外国語学校にて初心者のための日本語教室開講(休講中)
2004年 バニャルカ市の外国語学校「マルコ・ポーロ」にて、初心者向けの日本語教室を開講(休講中)
2006年 在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本大使館に代わり「BH-日本友好協会」の下、初級クラス開講(既に閉鎖)
2013年 サラエボ大学非正規講座として日本語公開講座開講
2015年 サラエボ大学が「さくらネットワーク」のメンバーとなる
2016年 サラエボ大学哲学部において、上智大学大学院生が講師を務める夏期日本語講座開講
2019年 サラエボ大学哲学部において、正規の日本語選択コース開設

参考文献一覧

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