コロンビア(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

2018年度日本語教育機関調査結果に関する帯グラフ。機関数は18件、教師は91名。初等教育は47名で全体の2.9%、中等教育は126名で全体の7.7%、高等教育は547名で全体の33.3%、学校教育以外は925名で全体の56.2%。

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 日系人子弟への日本語教育の必要性から、1968年、カリ市郊外の農場の片隅に「ひかり園」が設置され、日本語を教え始めたのがコロンビアにおける日本語教育の始まりと言われている。以後、日系人協会がこれを引き継ぎ、「コロンビア日系人協会附属日本語学校」、現在の「コロンビア日系人協会付属日本語学校日本語センター『光園』」と名称変更し、日系人のみならずコロンビア人学習者も対象に日本語教育が行われている。同機関はコロンビアの日本語教育機関の中心的な存在として日本語弁論大会や日本語教師研修会を積極的に企画し、日本語教育の普及に尽力している。2017年9月には、カリ市南部の日本語学習希望者数の増加により、『光園』南部校が開校された。
 初等・中等教育機関においては日本語教育に対する関心が高まっているが、経費・教師不足等の問題から、日本語教育を実施している機関はない。
 高等教育機関では、1987年に初めて国立コロンビア大学でJICA(国際協力機構)海外協力隊派遣プログラムによる日本語講座が開講された(1996年より卒業履修科目として認定)。2016年10月現在、卒業履修科目として認定された日本語履修のある高等教育機関は15機関、そのうち短期大学は1機関である。
 学校教育以外では、11機関の民間語学学校及び日系人協会において日本語教育が実施されている。
 全体的に各日本語教育機関は教師、教材及び予算の不足等の問題を抱えている。
 教師研修としては、年1回日本語教師合同研究会(2017年は10月に日系人協会附属日本語学校にて実施)が実施され、教師間のネットワーク作り及び教師の質の向上に貢献している。この研究会には、国際交流基金ブラジルセンターより日本語上級専門家が派遣され指導を行っている。また、最近では2004年、2010年及び2015年に国際交流基金日本語巡回セミナーが開催された。
 2015年には『コロンビア全国日本語教師会・日本語研究会』が結成され、日本語教師が一同に集まり、情報を交換、日本語教育についての勉強を重ね、日本語教育の質の向上に努めている。
 2009年より、ボゴタにおいて日本語能力試験が実施、2014年3月から全国日本語弁論大会も開催され、日本語学習者の大きな励みとなっている。

背景

 20世紀初頭からの日系人移民が存在するが、コロンビアでの外国語教育としては英語が重視され、日本語教育については言語教育政策に取り入れられていない。

特徴

 コロンビア国民は親日的で、日本に対しては良好なイメージを持っている。日本の高度な科学技術やアニメ・マンガ、武道、文学をはじめとする日本文化に対する関心が学習動機となっている傾向が強い。近年では、日本政府の国費留学の受験生に日本語試験を課しているので受験を目的に学習する者が増加してきている。日本語学習者の大半は初級・中級レベルであり、上級レベルまで学習を継続する者は少ない。日本の奨学制度や大学間のつながりなどでの交換留学をする大学の増加により、日本語学習への関心へとつながってきている。 中国語、韓国語に対する関心も高まってきており、日本独自の魅力の発信と日本文化、日本事情などの知識の取得などをいかに行っていくかが今後の課題となっている。

最新動向

 2020年10月現在、日本語の講座が開講されている日本語教育機関は初等・中等教育機関:なし、高等教育機関:15機関(うち4機関は一般公開講座も実施している)、学校教育以外:9機関となっている

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育(2020年現在)

 卒業履修単位科目として認定され、正規科目として日本語教育が行われている高等教育機関は次の15機関。15機関とも教養課程の選択科目となっており、日本語・日本語教育専攻/副専攻はない。

  • 1.ロス・アンデス大学(1989年開講、ボゴタ市)
    • 日本語教育は人文学部言語・社会文化学科に所属。1998年より履修単位科目。経済学部、理学部、人文学部の学生が多い。
    • 一般公開講座も実施している。
    • 2018年より,「日本センター」にて一般公開講座を開設
  • 2.国立コロンビア大学ボゴタ校(1987年開講、2010年閉講、2012再開、ボゴタ市)
  • 3.バジェ大学(1994年開講、カリ市)
    • 日本語教育は人文学部言語学科に所属。1997年より履修単位科目。理学部、人文学部の学生が多い。
    • 一般公開講座も実施している。
  • 4.エクステルナド大学(1998年開講、ボゴタ市)
    • 日本語教育は国際関係・国際金融学部に所属。同学部、人文学部の学生が多い。
  • 5.コロンビア国立大学メデジン校(2002年開講、2007年一時閉講、2011再開、メデジン市)
  • 6.ロサリオ大学(2004年開講、ボゴタ市)
  • 7.ハベリアナ大学ボゴタ校(2005年再開、ボゴタ市)
    • 一般公開講座も実施している。
  • 8.ハベリアナ大学カリ校(2012年再開、カリ市)
  • 9.エアフィット大学(1992年開講、メデジン市)
    • 一般公開講座も実施している。
  • 10.クン技術短期大学ボゴタ校(言語センター)(1993年開講、ボゴタ市)
  • 11.アンティオキア大学(2000年開講、2006年休講、2012年再開、メデジン市)
  • 12.カルダス大学(2012年開講、マニサレス市)
  • 13.セス大学(2016年開講、メデジン市)
  • 14.バジェ大学 パルミラ分校(2016年、パルミラ市)
  • 15.ボスケ大学(2017年開講、ボゴタ市)

*現在休講中の高等教育機関は以下の12機関。

  1. 1.サンタンデール大学(1990年開講、1999年より休講、ブカラマンガ市)
  2. 2.ジャノ大学(1998年開講、2000年より休講、ビジャビセンシオ市)
  3. 3.イバゲ大学(1999年開講、2000年より休講、イバゲ市)
  4. 4.パンプローナ大学(1998年開講、2004年より休講、パンプローナ市)
  5. 5.サジェ大学(2004年開講、2006年より休講、ボゴタ市)
  6. 6.サンティアゴ・デ・カリ大学(1995年開講、2006年より休講、カリ市)
  7. 7.イセシ大学(1988年開講、2006年より休講、カリ市)
  8. 8.米州自治大学基金(2005年開講、2007年より休講、メデジン市)
  9. 9.ポリテクニコ・グランコロンビアーノ大学(2005年開講、2008年より休講、ボゴタ市)
  10. 10.ノルテ大学言語センター(2011年開講、2013年閉講、バランキージャ市)
  11. 11.サン・ブエナ・ベントゥーラ大学(2011年開講、2012年閉講、カリ市)
  12. 12.クン技術短期大学ボゴタ校(言語センター)(2012年開講、トリマ市)
  13. 13.ボリバリアナ大学(2016年開講、2017年より休講、メデジン市)

学校教育以外

日系人子弟対象

 日系人子弟対象の私塾は、コロンビア日系人協会附属日本語学校日本語センター「光園」(1968年開講、カリ市)の1機関。4歳児から大人まで、日系人のみならずコロンビア人も対象に日本語教育が行われている。同機関はコロンビアの日本語教育機関の中心的な存在として日本語弁論大会や日本語教師研修会を積極的に企画し、日本語教育の普及に尽力している。2017年9月に南部校を開講。

民間語学学校

 その他民間の語学学校は8機関。全体的に日本語学習希望者数は増加傾向にある。

  1. 1.日文研協(1976年開講、ボゴタ市)
  2. 2.天理クラブ『日本語教室』(1992年開講、カリ市)
  3. 3.エドゥカシオン・コロンボ・ハポネサ(「フンダシオン・コロンボ・ハポネサ」を改名,1994年開講、ボゴタ市)
  4. 4.東洋言語学院(2005年キャンピン校開講、2009年セドリト校開講、2015年北校開講、ボゴタ市)
  5. 5.日本文化アカデミー(2006年開講、ボゴタ市)
  6. 6.アジア言語学院(2007年開講、2016年セドリト校開講、ボゴタ市)
  7. 7.日韓クラブ(2012年開講、ボゴタ市)
  8. 8.アトランティコ・コロンビア日系人協会文化部門(2015年開講、バランキージャ市)
一般公開講座等(2020年現在)
  1. 1.ハベリアナ大学ボゴタ校(2005年再開、ボゴタ市)
  2. 2.エアフィット大学(1992年開講、メデジン市)
  3. 3.アンティオキア大学(1998年開講、メデジン市)
  4. 4.バジェ大学(2016年開講、カリ市)
  5. 5.ロス・アンデス大学(2013年開講、ボゴタ市)

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 2-5-6制。
 小学校前教育2年間(日本の幼稚園にあたるもの、早ければ3歳または4歳から入学可能)、小学校が5年間(7歳から入ると11歳まで)、中等教育6年間(12~17歳)の各段階に分けられる。このうち義務教育は、2014年より、小学校1年生~5年生の5年間と6年生~11年生(中等教育))の6年間の合計11年間である。成績によっては、小学校前教育から留年する場合があり、逆に、優秀な生徒には飛び級制度も認められている。
 中等教育終了後は、高等教育(大学)(専門により5~7年間)、技術短期大学(2年間)、職業専門学校(2~3年間)等に進学する。

教育行政

 初等、中等、高等教育機関は教育省の管轄下にある。

言語事情

 公用語はスペイン語。

外国語教育

 初等教育及び中等教育において、第一外国語として英語の履修が必修となっており、小学校前教育より外国語教育を開始している。

外国語の中での日本語の人気

 日本の科学技術、文化、にアニメ、マンガへの関心の高まりに伴い、日本語学習者数は増加している。なお、高等教育機関では、2004年頃より中国語、韓国語講座開講が増加し、中国語、韓国語学習に関心を持つ者が急増したが、2014年より中国語、韓国語学習者は減少し、日本語学習者が増加傾向にある。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
『まるごと』国際交流基金(三修社) )

*一部の機関では独自に日本語教科書を作成し、使用している。

学校教育以外

『みんなの日本語』(前出)
『まるごと』国際交流基金(三修社)

*一部の機関では独自に日本語教科書を作成し、使用している。

IT・視聴覚機材

 私立大学等においてコンピュータを使用した学習の導入が開始されているが、民間の日本語教育機関においては、コンピュータで学習するための環境が充分ではないため、ほとんど実施されていない。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 一般的に大学では日本語教師養成課程修了の有無に関わらず、学士号のある者を最低条件としている。ロス・アンデス大学では修士課程修了を条件としている。最近では現地人日本語教師志望の者に研修を受けさせ、その後日本語教師として採用しているケースが多い。

学校教育以外

 各機関によって異なるが、全体的に特に日本語教師としての資格要件はないようである。最低限必要とされる条件としては、日本語が話せる、日本語についての研修を受けた等である。

日本語教師養成機関(プログラム)

 現地においては日本語教師養成機関やプログラムなどは無い。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本人であれば日本語教師として採用される場合もある。但し、就労ビザが必要である。

教師研修

 コロンビア国内においては、コロンビア日系人協会附属日本語学校のイニシアティブにより、JICAの助成事業である「日本語教師合同研修会」を年1回開催し、国際交流基金ブラジルセンターより日本語上級専門家が派遣され、日本語教授法や、各機関における日本語教育の問題点等、日本語教育に関する意見交換を行っている。
 訪日研修については、国際交流基金の「日本語教師研修」及びJICA事業の「日本語教師研修コース」を積極的に活用し、日本語教育技術の向上を目指している。

現職教師研修プログラム(一覧)

 特になし

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日系人協会附属日本語学校日本語センター「光園」が国際交流基金のさくらネットワークに認定され、各国の日本語教育現状などをカリ市で開催する日本語教師合同研修会にて他の地域の教師に情報を共有している。
 また、2015年にボゴタにてコロンビア全国日本語教師会・日本語研究会が発足。少しずつではあるが、日本語教育者関係のネットワークを構築している。

最新動向

 特になし

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

 なし

国際協力機構(JICA)からの派遣

 なし

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1968年 ひかり園(現在の日系人協会附属日本語学校日本語センター「光園」)で日本語教育開始
1976年 日文研協にて日本語教育開始
1987年 国立コロンビア大学で日本語講座開講
1988年 イセシ大学(~2006年)
1989年 ロス・アンデス大学で日本語教育開始
1990年 サンタンデール大学にて日本語教育実施(~1999年)
1992年 エアフィット大学にて一般向け日本語教育開始
天理日本語教室にて日本語教育開始
1993年 クン高等専門学校(現在のクン技術短期大学)にて日本語教育開始
1994年 バジェ大学にて日本語教育開始
NPO法人コロンビア日西学院(現在のフンダシオン・コロンボ・ハポネサ)にて日本語教育開始
ハベリアナ大学カリ校にて日本語教育開始(~2010年、2011再開)
1995年 サンティアゴ・デ・カリ大学(~2006年)
1998年 エクステルナド大学にて日本語教育開始
アンティオキア大学にて一般向け日本語講座も開講
ポンティフィシア・ボリバリアーナ大学にて一般向け日本語講座開講(~2013)
ジャノ大学にて日本語講座実施(~2000年)
パンプローナ大学にて日本語講座実施(~2004年)
1999年 イバゲ大学(~2000年)
2002年 コロンビア国立大学メデジン校にて日本語教育開始(~2007年、2011再開、メデジン市)
2004年 ロサリオ大学にて日本語教育開始
サジェ大学にて日本語教育実施(~2006年)
東洋言語学院にて日本語教育開始
2005年 ポリテクニコ・グランコロンビアーノ大学にて日本語教育開始(~2008年)
ハベリアナ大学ボゴタ校にて日本語教育再開
オクシデンテ自治大学にて日本語教育実施(~2007年)
米州自治大学基金にて日本語教育実施(~2007年)
2006年 日本文化アカデミーにて日本語教育開始
日本語文化センター学院にて日本語教育実施(~2012年)
2007年 アンゴラバイリンガルセンターにて日本語教育実施(~2012年)
アジア言語学院にて日本語教育開始
2009年 12月 日本語能力試験の実施(ボゴタ)を開始
2010年 12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
2011年 サン・ブエナベントウーラ大学にて日本語教育開始(~2012年)
ノルテ大学にて日本語教育実施(~2013年)
12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
2012年 日韓クラブにて日本語教育開始
12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
カルダス大学にて日本語教育開始(マニサレス市)
コロンビア国家警察言語センターにて日本語教育開始(ボゴタ)
2013年 12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
2014年 3月 コロンビア全国日本語弁論大会を開始(ボゴタ)
12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
2015年 コロンビア全国日本語教師会・日本語研究会が発足
12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
2016年 ボリバリアナ大学にて日本語教育を再開(メデジン)
セス大学にて日本語教育を開始(メデジン)
バジェ大学パルミラ分校にて日本語教育を開始(パルミラ)
10月 アジア言語学院セドリト校が開講(ボゴタ)
12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
2017年 9月 「光園日本語学校南部校」を開講(カリ)
2月 ボスケ大学にて日本語教育を開始(ボゴタ)
12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
2018年 ロスアンデス大学 日本センターにて日本語クラス開校(ボゴタ)
12月 日本語能力試験を実施(ボゴタ)
2020年 12月実施日本語能力試験は新型コロナ感染拡大状況の影響により,中止(ボゴタ)
2021年 日本語能力試験「12月実施」を「7月実施」に変更(ボゴタ)
日本語能力試験(12月実施)を実施予定(カリ)

参考文献一覧

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