ドミニカ共和国(2020年度)
日本語教育 国・地域別情報
2018年度日本語教育機関調査結果
機関数 | 教師数 | 学習者数※ |
---|---|---|
4 | 26 | 227 |
教育機関の種別 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
初等教育 | 0 | 0.0% |
中等教育 | 0 | 0.0% |
高等教育 | 60 | 26.4% |
学校教育以外 | 167 | 73.6% |
合計 | 227 | 100% |
(注1) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。
(注2)在ドミニカ日本大使館及び日本-ドミニカ文化センターが把握している最新情報によると、2017年10月時点で6の日本語教育機関、35人の日本語教師、280人の日本語学習者が確認されている。これらの機関はすべて「その他の教育機関」相当であり、ドミニカ人向け日本語教室のほか、日系移住者向けの日本語学校である。
日本語教育の実施状況
全体的状況
沿革
ドミニカ共和国における日本語教育は、1959年頃にドミニカ移住者子弟に対するダハボン入植地内の初等教育から始まり、1973年に指導教師の派遣とともに日本語学校が設立されている。その後、日本語(文化)が浸透・波及し、1989年から1997年までサンティアゴ工科大学に、1997年から2013年までAPEC大学に、JICAの海外協力隊員が派遣されていた。日・ドミニカ(共)文化センターは1995年に日系移住者により一般向けの日本語クラスとして開講された。
背景
ドミニカ共和国には、日本人観光客は少なく日系進出企業もわずかなことから、日本語教育は、日本人移住者子弟のほかは、マンガやアニメ等日本のポップカルチャーに関心の高い層を中心に行われている。
特徴
日本人移住者子弟を対象とした日本語学校は、1校あり、現地採用教員等計11名(内3名はJICAボランティア)にて、約60名の学習者に対し、学齢によって6年段階のレベルに分けた日本語教育を行っている。2020年10月現在、オンラインにて授業を継続。
一般向けの日本語教育は、2020年10月現在、日・ドミニカ(共)文化センターにおいて公開講座が実施されており、講師は日本人教師3名、現地人教師9名、現地人アシスタント11名、学習者数は合計128名。その他、APEC大学で日本人教師1名、現地人教師5名、学生数約27名。サントドミンゴ国立自治大学でJICAボランティア1名(本邦退避中)、現地人教師2名、学習者約32名。サントドミンゴ自治大学サンティアゴキャンパスでJICAボランティア1名(本邦退避中)、学生数25名。
最新動向
現在、日本語学校、日・ドミニカ(共)文化センター、APEC大学、サントドミンゴ国立自治大学、サントドミンゴ国立自治大学サンティアゴキャンパス、Academia Europeaの6つの機関で日本語教育が行われている。日・ドミニカ(共)文化センターは、学生だけではなく、一般人にも開放されており、幅広い年齢層が日本語を学んでいる。同センターでは、日本料理、習字盆踊り等の体験や運動会等の催しを通して日本文化も紹介している。APEC大学は1997年より9代(約20年間)JICA海外協力隊が派遣されていたが、現在は現地採用教師が教鞭を執っている。サントドミンゴ国立自治大学では2014年4月に日本語クラスが開講され、毎年校内にて日本文化イベントを開催している。同じくサントドミンゴ国立自治大学サンティアゴキャンパスでも2017年10月に日本語クラスが開講された。いずれの大学も一般公開授業である。新型コロナウイルス感染症拡大を受け、2020年10月現在、サントドミンゴ国立自治大学サンティアゴキャンパスを除き、オンラインで授業を継続している。
日本のポップカルチャー人気の高まりにより、アニメやマンガをテーマとした大規模なポップカルチャー・イベントなども開催されており、日本語学習希望者増加に寄与していると推察される。2020年までに日・ドミニカ(共)文化センターのドミニカ人教師4名が国際交流基金の本邦研修に参加した。同人等は帰国後自身の教授法を改善しつつ、研修で得た知識を他教師と共有する努力を行っている他、日本関連イベントにおける日本語教育、日本文化についての講演や番組出演をおこない、日本語・日本文化普及に貢献している。2018年6月には第2回中米・カリブ日本語スピーチコンテストが当地で開催された。
教育段階別の状況
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
サントドミンゴ国立自治大学(サントドミンゴキャンパス及びサンティアゴキャンパス)、APEC大学、カトリカ大学で実施されている。どの機関も一般公開授業で、初級レベルまで。
学校教育以外
日本人移住者子弟を対象にした日本語学校では、日本語は「国語」としてではなく「外国語」として教えられており、日本の初等教育課程のレベルとはかなり異なる。
一般人を対象とした日本語教育は、日・ドミニカ(共)文化センターにおいて実施されている。主に同センター卒業生を中心としたドミニカ人日本語教師が授業を受け持っている。開講コースは初級~中級レベル。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
6-2-4-4(6)制。
ドミニカ共和国の教育制度は、初等教育(小学校6年間、中学校2年間)の8年間(6~13歳)が義務教育となっている。義務教育修了後は、中等教育(高校4年間)、高等教育(大学4~6年)を受けるものと、初等教育後に、職業訓練学校や初等教育学校教員養成校(両者とも高校教育含む)へ進むのが一般的である。
教育行政
高校までの教育機関は教育省が、大学は高等教育科学技術省が管轄しており、一部の職業訓練校は、大統領府職業訓練庁(INFOTEP)が管轄している。
言語事情
公用語はスペイン語。
外国語教育
殆どの初等教育(4年生から)機関で英語が必修となっているほか、高校からフランス語が必修となる。なお、一部私立の初等教育機関では、フランス語の授業が必修として実施されている。
外国語の中での日本語の人気
当国は、地理的に米国に近く、主要な出稼ぎ先となっており、英語学習人口が多い。日本語は、習得後にビジネス等で生かせる場が少なく、マイナー言語であるが、近年のポップカルチャー人気の高まりにより、学習者の増加がみられる。
大学入試での日本語の扱い
大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
教材
初等教育
日本語教育は実施されていない。
中等教育
日本語教育は実施されていない。
高等教育
日本語教育は実施されていない。
学校教育以外
《一般学習者対象の場合》
日・ドミニカ(共)文化センター:『みんなの日本語初級Ⅰ Ⅱ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
《日本人・日系人子弟対象の場合》
『みんなの日本語初級Ⅰ Ⅱ』(前出)
『日本語うきうき』JICA日系社会ボランティア作成、2000年(副教材)
『JAPANESE FOR YOUNG PEOPLE』国際日本語普及協会(講談社USA)(副教材)
『たのしいにほんご』
『にほんごドレミ』
IT・視聴覚機材
2020年10月現在、Zoom、Google Meet、Discord等のソフトウェアを利用してオンライン授業が実施されている。
教師
資格要件
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
その他教育機関
学校によって資格要件は異なる。
日本語教師養成機関(プログラム)
各日本語教育機関内において、後進を育てるための独自の試みが行われている。
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
各教育機関には、ネイティブ教師が存在する。
日本ドミニカ文化センター 日本語ネイティブ教師3人(2020年現在)
APEC大学 日本語ネイティブ教師1人(2020年現在)
サントドミンゴ国立自治大学 日本語ネイティブ教師1人(2020年現在、本邦退避中)
サントドミンゴ国立自治大学サンティアゴキャンパス 日本語ネイティブ教師1人(2020年現在、本邦退避中)
教師研修
日本人移住者子弟を対象とした日本語学校では、同校の教師を対象に、年3回の合同研修会が実施されている。
2009年以降毎年、中米カリブ日本語教師ネットワーク主催の「中米カリブ日本語教育セミナー」に数名の教師が参加している(2012年にドミニカ共和国で開催)。現在までに日・ドミニカ(共)文化センター、APEC大学、サントドミンゴ国立自治大学、日本語学校、Academia Europeaの教師が参加経験あり。
2013年より、国際交流基金メキシコの日本語教育アドバイザーの出張講義を企画している。(ドミニカ共和国内全日本語教師対象:主催-ドミニカ共和国日本語教師グループ)
2020年までに日・ドミニカ(共)文化センターのドミニカ人教師が4名海外日本語教師短期研修に参加した。
教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
2009年、ドミニカ共和国日本語教師グループ発足。 2009年にドミニカ共和国から10名が参加した「中米カリブ日本語教育セミナー」の参加者を中心に設立され、随時メンバーは更新されている。
日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣
なし
国際協力機構(JICA)からの派遣(2020年10月現在)
JICA海外協力隊
(法)ドミニカ日系人協会 1名
その他からの派遣
(情報なし)
日本語教育略史
1959年 | 移住者子弟に対するダハボン入植地内にて日本語教育開始 |
---|---|
1973年 | 日本語学校設立(日系人子弟対象) |
1989年 | サンティアゴ工科大学にて一般の学生・社会人を対象に日本語教育開始(~1997年) |
1995年 | 日・ドミニカ(共)文化センター設立(一般向け) |
1997年 | APEC大学にて学生・社会人を対象に日本語教育開始 |
2014年 | サントドミンゴ国立自治大学 にて日本語教育開始 |
2017年 | サントドミンゴ国立自治大学サンティアゴキャンパスにて日本語教育開始 |