東ティモール(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数※
6 17 651
※学習者数の内訳
教育機関の種別 人数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 70 46.7%
学校教育以外 581 89.2%
合計 651 100%

(注)2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

 豪州や韓国への労働者を送り込むプロジェクトが大きな成功を収める中、日本への労働者送り込みへの期待もあって、日本語学習者が増加している

最新動向

 最新の動向としては、2020年現在、7団体での日本語教育コースの開講が確認されている。国立大学、教会、教育機関、NGO等で、ボランティア・ベースによる日本語教室が増加しており、当地在留の日本人及び、日本留学経験のある東ティモール人、さらに日本語コースを修了者が日本語の指導を行っている。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 国立東ティモール大学では2016年に日本語講座を開講し、経済学部の観光学科の学生を対象に実施。主に観光業界へ就職希望の学生達が、日本人観光客への接客対応、また日本への留学希望等のため受講している。当大学では現在、日本留学経験のある講師2名が、初級・中級コースをそれぞれ担当している。現段階では、同学部生を対象とした特別科目(履修単位対象外)であり、大学側は今後、日本語を同大学正規カリキュラムとする意向を有している。

学校教育以外

 日本語教育団体として一番古いのは2004年に開講されたカトリック系の「ラファエラ・東ティモール基金」で、異文化体験、日本への留学目的、当時日本人との交流を目的に現在も約100名の青少年が週1回、日本語を学んでいる。また当国の首相夫人が代表を務める「ケサディップ・ルアク・センター(2018年9月開講)」でも日本語初級・中級コースが開設され、約40名の受講生が日本語を学んでいる。さらに「YMCA東ティモール(2019年2月開講)」では日本留学経験者がボランティアで日本語コースを開講し、現在約80名の青少年が日本語を学んでいる。
 その他、2019年8月、JICAの研修でテトゥン語講師を務める東ティモール人が「未来のためのプログラム開発(NGO)」 日本語コースを、同年9月に当国語学学校ECCが日本語コースを開講、さらに2020年7月に地方都市(スアイ)で日本語教室「みらいのさと(Mirai no Sato)」を開校したことが報告されている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 初等教育6年(6~11歳)及び前期中等教育3年間(12~14歳)の9年間が義務教育修了後、後期中等教育3年(15~17歳)の9-3制。
 公立の初等・中等教育機関(後期中等教育機関を含む)での教育は無償。
 高等教育は、首都ディリに集中しており、唯一の国立大学である国立東ティモール大学、及び私立大学17校(ディリ大学、平和大学、ディリ工科大学、ベタノ技術大学、カトリック教育大学、東ティモール・コーヒー大学等)がある。

教育行政

 2018年より、初等・中等教育は「教育・青年・スポーツ省」が、高等教育は「大学教育・科学・文化省」が管轄。

言語事情

 公用語は、現地語テトゥン語とポルトガル語。実用語として、インドネシア語と英語が使用されている。
 東ティモールの現地語は、テトゥン語を含め30以上の地方語(マカサエ語、マンバイ語、ケマック語等)が存在する。ポルトガル語が公用語で教科書にも使用され、学校でも教えられているが、法律、政府における公文書や会議を除き、日常生活では殆ど使用されていない。
 学校での教授言語は、初等教育低学年ではテトゥン語を中心とし、4年生から徐々にポルトガル語に移行する。当地の教育・青年・スポーツ省には多くのポルトガル人・ブラジル人職員が存在し、ポルトガルに留学する東ティモール人政府職員も多い。
 さらに最近は、韓国や豪州等での就労を目的とし、語学学校やNGOや教会等で英語や韓国語等を学習するものも増えている。
 インドネシア統治時代(1976 - 2002)に当地で教育を受けていた世代はインドネシア語を解する者が多く、教科書はポルトガル語で作成されているものの現在の教師世代が理解できないため、十分な指導ができず、児童・生徒の学力低下が問題となっている。

学習環境

教材

高等教育

 「みんなの日本語(初級)」(スリー・エー・ネットワーク)

学校教育以外

 「まるごと」(インドネシア・バハサ語版:国際交流基金)
 「日本語の教え方ABC」(アルク)
 「できる日本語」(アルク)「Lian Japones-Tetun」 (Julian Nunes Jese著)

IT・視聴覚機材

 コロナの影響を受け、教育現場への情報コミュニケーション技術(ICT)導入が徐々に進められている。通学の代わりに大学ではオンライン会議を利用した授業や、テレビやラジオによる公教育番組等が行われているところもあるが、インターネット環境の不調によりクラスが中断されることも多い。さらに電気やネット環境がない地方の家庭の子どもは教育を受けられず、教育格差拡大の懸念もある。
 日本語教育においては、『スマートフォン用アプリ「HIRAGANA / KATAKANA Memory Hint」(英語・インドネシア語版)』等が使用されている。

教師

資格要件

高等教育

 なし

学校教育以外

 なし

日本語教師養成機関(プログラム)

 なし

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本人教師は高等教育機関(大学)には雇用されておらず、教会、 NGO等で、無償で指導を行なっているところが多い。

教師研修

 なし

教師会

 なし

日本語教育関係のネットワークの状況

 なし

最新動向

 2018年より当国日本大使館・国際交流基金主催・国立東ティモール大学主催の「日本語スピーチ・コンテスト」を開催

日本語教師派遣情報

 なし

国際交流基金・国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金ジャカルタ日本文化センターより、日本語教育専門家が、日本語スピーチ・コンテスト審査、現地の日本語教育機関の調査協力等を目的として、年に一度派遣されている。

その他からの派遣

 国際交流基金ジャカルタ日本文化センターより日本語スピーチコンテスト審査、現地の日本語教育機関の調査協力等のため、年に一度専門家が派遣されている。

シラバス・ガイドライン

 なし

評価・試験

 なし

評価・試験の種類

 なし

日本語教育略史

2003年 ラファエラ東ティモール募金(於:ディリ)で日本語教室を開始
2016年10月 国立東ティモール大学(UNTL)(於:ディリ)で日本語講座開講(特別科目)
2018年9月 ケサディップ・ルアク・センター(CQR)(於:ディリ)で日本語教室を開始
2018年11月 第1回 日本語スピーチ・コンテスト開催(於:国立東ティモール大学講堂)
2019年2月 YMCA東ティモール(於:ディリ)で日本語教室を開始
2019年8月 未来のためのプログラム開発(PDF)(於:ディリ)で日本語教室を開始
2019年11月 第2回 日本語スピーチ・コンテスト開催(於:国立東ティモール大学講堂)
2020年7月 みらいのさと(Mirai no Sato)で日本語教室を開始(於:スアイ)
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