エストニア(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

2018年度日本語教育機関調査結果に関する帯グラフ。機関数は14件、教師は25名。初等教育は0名で全体の0.0%、中等教育は120名で全体の30.8%、高等教育は129名で全体の33.1%、学校教育以外は141名で全体の36.2%。

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

 エストニアでは、2020年現在、中等教育機関5機関、高等教育機関3機関、学校教育以外の機関3機関で日本語教育が実施されている。

沿革

 日本語教育略史参照。

背景

 日本製品(自動車、電気製品など)を通じて日本への興味が喚起されてきたが、近年は映画やアニメ、マンガ、音楽などの日本のポップカルチャーへの興味から日本語学習を開始する学習者が増加している。

特徴

 国立大学で専科として学科が成立しているとともに、自由選択科目として、一般に開放されている国立大学もある。また、中等教育機関(高校)でも日本語教育が行われている。それ以外には私立の語学学校数校や成人向けの大学公開講座でも日本語を学習することが可能であるが、主に初級レベルの学習者が対象となっている。

最新動向

 2013年9月からタリン工科大学の自由選択科目としての日本語クラスが開講となったが、2018年度以降,同クラスが有料となったこともあり希望者が減少し,現在休講中。

教育段階別の状況

初等教育

  • なし(旧市街学校が日本語授業を取りやめ)

中等教育

  • タリン市立ヤルヴェオッツア高校(選択必修第三外国語)
  • タリン市立ラスナマエ高校(ロシア系)(選択外国語)
  • タルトゥ市ヤーンポスカ高校(選択外国語)
  • タリン男女共学高校
  • パルディスキ市高校

高等教育

  • タリン大学エストニア人文学院(国立)〔必修科目(主専攻)及び専攻外学習者対象コース〕
  • タルトゥ大学(国立)(自由選択科目)
  • タリン工科大学(国立)(自由選択科目、有料コース)

学校教育以外

  • タリン市外国語センター (Tallinn Foreign Language Center)
  • 日本・エストニア文化交流協会 (つばめの会)(Japanese Culture Chamber)
  • マルティ外国語センター(Multilingua Language Center)※受講者僅少につき一時中止中
  • 私立講座 (成人向けの大学公開講座)(2か所)
    タリンフォルケホイスコーレ (Tallinn Folk High School)
    タルトゥフォルケホイスコーレ (Tartu Folk High School)
  • タリン言語学校(Tallinn Language School) ※受講者僅少につき一時中止中
  • JELスクール(Japanese-English Language School)※講師海外滞在中につき一時中止中
  • TEA言語学校(TEA Language School)※受講者僅少につき一時中止中

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 3-6-3制

教育行政

 初、中、高等教育機関は、教育・科学省の管轄下にある。
 本省は、首都タリンではなく、タルトゥ市にある。

言語事情

 主要言語は、エストニア語である。ロシア系住民の間ではロシア語が使われている。

外国語教育

 英語、仏語、独語、露語ののうち2か国語履修が必修となっており、第一外国語は1~3年生の間に履修し、第二外国語は遅くとも6年生までに開始される。第三外国語は9年生から開始することが多く、第三外国語および第四外国語の言語は選択制で学校に裁量権が与えられている。生徒は希望すれば4か国語の学習も可能。
 中等教育において、正規課程として日本語が履修可能な唯一の高校(公立)であるヤルヴェオッツァ高校では、第一外国語に英語、第二外国語にロシア語、第三外国語として、ドイツ語或いは日本語からの選択として位置づけられている。

外国語の中での日本語の人気

 日本語は、アジアの国の言語の中では人気が高いが、ヨーロッパ言語と比べると学習人口は少ない。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 (下記【中等教育】参照。)

中等教育

  • 『にほんごかんたん(1)(2)』坂起世(研究社)
  • 『みんなの日本語初級Ⅰ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
  • 『テーマ別中級から学ぶ日本語』松田浩志ほか(研究社)
  • Basic Kanji Book』加納千恵子ほか(凡人社)
  • Japanese for everyone』名柄迪(学研マーケティング)
  • Japanese for Young People Ⅰ Kana Workbook』国際日本語普及協会(講談社USA)
  • 『みんなの日本語初級Ⅰ 漢字練習帳』(東京国際日本語学院)
  • 『漢字はむずかしくない』武部良明(アルク)

高等教育

  • 『初級日本語げんきⅠ、Ⅱ』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)
  • 『まるごと初中級』国際交流基金ほか(三修社)
  • 『文化中級日本語』文化外国語専門学校(文化外国語専門学校)

学校教育以外

  • タリン市立言語センターでは、教材として『みんなの日本語Ⅰ Ⅱ』(前出)を使用。
  • 『にほんご45じかん』『にほんご つぎの45じかん』沢村三恵子ほか(専門教育出版)

IT・視聴覚機材

 コンピューターを含むマルチメディアを活用した日本語教育は確認されていない。

教師

資格要件

初等教育

 (下記【中等教育】参照)

中等教育

 特に基準はないが、日本国内の日本語教師養成講座420時間以上修了者(大学教育の副専攻に相当)が歴代日本語教育に従事している。

高等教育

 大学では原則として修士号取得者。

学校教育以外

 特に基準なし。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 公立教育機関における日本人教師は計5名(正規雇用)。

教師研修

 国際交流基金パリ日本文化会館及びアルザス・欧州日本学研究所共催の日本語教師研修会が開催されている。訪日研修としては国際交流基金の日本語教師研修(各種)がある。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 エストニア日本語教師会(会員資格はエストニア国内で日本語教育に従事している者)が、
 会員同士が相互に情報交換をしたり、ヨーロッパ日本語教師会から随時情報を入手したりしていたが、都合により2020年に閉会。

最新動向

 2019年、国際交流基金助成により「第11回エストニア国内日本語弁論大会」を開催(出場者181名)

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

シラバス・ガイドライン

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムは確認されていない。

評価・試験

 共通の評価基準や試験は確認されていない。

日本語教育略史

1989年 エストニア人文大学設立。日本語教育(専科)開始
1993年 タリン市立ヤルヴェオッツァ高校にて、選択必修科目として日本語クラス開講
1996年 タルト大学にて自由選択科目として日本語クラス開講
1999年 「エストニア日本語教師会」発足
2000年 タリン教育大学(現 タリン大学)にて、自由選択科目として日本語クラス開講
2005年 日本語講座のあるタリン教育大学(国立)及びエストニア人文大学(私立)等が統合され、タリン大学(国立)となった
2006年 タリン大学の自由選択科目としての日本語クラス閉鎖
2007年 エストニア日本語教師会主催「第5回日本語弁論大会」開催
2009年 エストニア日本語教師会主催「第6回日本語弁論大会」開催
2010年 タリン大学の自由選択科目としての日本語クラス再開
タリン市立旧市街学校小学生からの自由選択科目としての日本語クラス開始
ヤルヴェオッツァ高校が、館長表彰(団体)された
エストニア日本語教師会主催「第7回日本語弁論大会」開催
2011年 ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)第13回国際会議開催(於:タリン大学)
タリン大学ラウド前学長がEAJS会長に選任された
第16回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム開催(於:タリン大学)
エストニア日本語教師会主催「第7回日本語弁論大会」開催
2013年 エストニア日本語教師会主催「第8回日本語弁論大会」開催
タリン工科大学にて、自由選択科目としての日本語クラス開講
2015年 エストニア日本語教師会主催「第9回日本語弁論大会」開催
2017年 エストニア日本語教師会主催「第10回日本語弁論大会」開催
2019年 エストニア日本語教師会主催「第11回日本語弁論大会」開催
2020年 エストニア日本語教師会が、都合により閉会。
パルディスキ市高校(中等教育)における日本語教育開始。

参考文献一覧

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