グアテマラ(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

2018年度日本語教育機関調査結果に関する帯グラフ。機関数は6件、教師は10名。初等教育は0名で全体の0.0%、中等教育は0名で全体の0.0%、高等教育は19名で全体の5.7%、学校教育以外は314名で全体の94.3%。

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 グアテマラでの日本語教育は、首都の国立サン・カルロス大学言語センター(CALUSAC)において、1992年に日本語教師を職種とするJICA海外協力隊員によって始められ、2020年の学期終了をもって、開始から28年を経る。
 同センターは、1976年に設立され、現在、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ヘブライ語、中国語、日本語、韓国語、ロシア語、ポルトガル語、スペイン語(外国人向け)、ラテン語、アラビア語、国内の先住民言語(3言語)の計16言語が開講されている。一般市民にも広く開放されており、国の言語センターとしての役割を果たしている。
 国立サン・カルロス大学は、8万人超の学生を抱える総合大学であり、CALUSACも非常勤を含めた教師が約250人、学生は約1.2万人所属しており、大規模な言語機関となっている。CALUSACには、他国からの援助によるボランティア教師も多く所属し、2019年11月現在では、韓国語教師4名、イタリア語9名、ドイツ語教師4名、中国語教師4名、フランス語教師9名が教壇に立っている。なお、2020年現在は日本語のボランティア教師は派遣されていない。
 CALUSACにおける日本語教育は、1992年に派遣されたJICA海外協力隊員により日本語クラスが開講されたことに始まる。開講当初は、JICA海外協力隊の日本語教師1人のみが教鞭をとっていたが、学習者の増加に伴いJICA海外協力隊員が1名増加され、2人体制へと移行。2001年からは、日本語クラスの開講当初に学生だったグアテマラ人が、日本での研修を終え、日本語教師として教壇に立つようになった。グアテマラ人教師が独り立ちできるようになったため、開講当初2名いたJICA海外協力隊員は1名減り、2005年には、JICA海外協力隊1名、グアテマラ人教師1名の2人体制となった。2010年には、当地在住の日本語のネイティブ教師1名、元受講生のグアテマラ人教師2名が加わり、5人体制で日本語のクラスを教えることとなった。CALUSACにおいては、2011年10月に日本語のネイティブ教師1名が日本に帰国し、2012年5月には日本語教師を職種とするJICA海外協力隊員の派遣も終了したため、以後、元受講生のグアテマラ人教師3名体制となっている。なお、2020年は、コロナウイルス感染拡大の影響により、CALUSACでの授業は全面オンライン形式で実施されているため、同センターにおける日本語コースも同様にオンラインで実施している。
 CALUSAC以外の高等教育機関での日本語教育は、CALUSACで勤務する日本語のネイティブ教師1名が2010年1月に私立グアテマラ・デル・バジェ大学で日本語教室を開設、また、2010年9月からは、私立ガリレオ大学においても同日本語ネイティブ教師が日本語教室を開設した。私立グアテマラ・デル・バジェ大学では、日本語ネイティブ教師1名に加え、当地在住の日本語ネイティブ教師が1名増え、2名体制でクラスを実施していたこともあったが、日本語ネイティブ教師1名の日本への帰国に加え、受講者も減少したことから、2019年現在、日本語クラスは存在するものの受講希望者数が開講定員数の10名に満たないため2016年以降は、開講されていない。私立ガリレオ大学においても、受講者数が確保できないため、2011年2月に閉講となった。
 私設日本語学校については、CALUSACで教壇に立つ元受講生教師1名が2010年9月に私設日本語学校を開校し、2020年11月現在、受講者101名に対して授業を行っている。また、私立グアテマラ・デル・バジェ大学に所属する日本語ネイティブ教師も2015年7月に私設日本語学校を開校し、現在94名の受講者に対して教えている
 2016年からは、新たに私立ラファエル・ランディバル大学においても元国費留学生による日本語・日本文化教室が開講されたが、2020年はコロナウイルス感染拡大の影響で休講となった。

背景

 日本企業の支社などは少なく、在留邦人は291人(2020年11月4日現在)という少なさもあり、街角で日本語を耳にすることはない。しかし、日本車の人気は高く、テレビコマーシャル、看板などで、日本の国名を見ることは多い。また、空手等の武道が盛んで認知度が高く、首都においては、折り紙、剣道、合気道、生け花などのグアテマラ人による協会があり、日本文化に興味を持つ人は少なくない。
 また、テレビを通じて日本のアニメが頻繁に放映されていることや、マンガやコスプレへの興味から日本語の学習動機につながることが多い。

特徴

 CALUSACで行われている日本語クラスは、単位取得の対象外で、必修でも選択でもない。大学生を中心に年齢層は14歳(中学生)から33歳までと若者が多く、一般講座的な性格を持っている。コースは2か月で完結し、教科書として使われている『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)は1回のコースで3課ずつ消化される。また、学習者が最低10名集まらないとクラスが開講されないため、中級や上級レベルの学習者は次のレベルの授業をあまり取れないことが問題となっている。2020年11月現在、初級の学習者数約79名、中級の学習者数0名、上級の学習者数は0名である。コロナウイルス感染拡大の影響により、オンラインでの授業形態となったものの、多くの受講生がパソコンを持っていなかったり、インターネットの環境が整っていなかったりと受講し続けることができなくなったため、受講者数が減少した。
 私設語学学校においても、日本語コースの履修証明などは発行されておらず、趣味目的の日本語教育にとどまっているようである。
 2010年1月に開設された私立グアテマラ・デル・バジェ大学の日本語コースは、選択外国語科目として存在し、同校および同校付属学校グアテマラン・アメリカン・スクールの学習者および職員のみ受講可能であるため、参加者数が限られており、学習者数不足により現在は開講されていない。ランディバル大学でも同様に、2020年はコロナウイルス感染拡大の影響による受講者不足のため開講されていない。
 グアテマラで日本語を学習する者は、当国のテレビで放映される日本のアニメやドラマをきっかけに日本語に興味をもつ学生や、JICAや文部科学省の研修・留学プログラムなどで日本への留学を目指す者、日本企業との関わりがある社会人、また、国立サン・カルロス大学で行われる弁論大会の優勝者は、国際交流基金主催の成績優秀者研修で訪日することが可能であるため、それを目指して学習を始める者などが多い。(2020年の弁論大会は、コロナウイルス感染拡大の影響により実施見送りとなった。)
 2018年から隣国のエルサルバドルで日本語能力試験が開始されたことに伴い、将来日本での就職や留学を目指す学生がエルサルバドルまで赴き、試験を受ける傾向が見られる。(2020年の試験は、コロナウイルス感染拡大の影響により実施見送りとなった。)

最新動向

 当国ではコールセンターの設置が急増しており、日本語能力の高い職員の雇用拡大に繋がるとの見方もあったが、実際にそのような傾向は確認されていない。コロナウイルス感染拡大の影響により、日本語学習者数の大幅な減少が懸念されていたが、大学での日本語コース受講者の減少は一部みられたものの、私設の語学学校に通う学生は中高所得者層の家庭が多く、コロナ禍における授業のオンライン化という受講形態の変化にも適応することができた。また、授業のオンライン化により、交通費や移動時間等の削減といったメリットもあり、一部私設学校では受講者数が増加した。
 上記に加え、コロナ禍により、在宅時間が増加したことからも、オンラインでの語学学習者が増加しており、無料で日本語が学習できる、国際交流基金の日本語学習プラットフォーム「みなと」への登録者数が急増している。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 特になし。

学校教育以外

 CALUSACで行われている日本語クラスの学習者については、平日のクラスは学生が多いが、週末のクラスには社会人も含まれる。2020年からオンラインで授業が実施されるようになり、2020年度当初は、パソコンやインターネット回線等の受講環境が整っていなかったため生徒数が激減したが、2020年度末には、少しずつ回復しつつある。
 また、国際NGO団体であるエイ・エフ・エス(AFS)グアテマラ協会の交換留学プログラム等を通じて高校留学する者も数人いる。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-3-2制。
 小学校が6年間、中学校が3年間、高等学校は2種類あり、通常2年間、一部の専門高等学校の場合3年間。

教育行政

 初等、中等、高等教育機関のほとんどが教育省の管轄下にある。

言語事情

 公用語はスペイン語であるが、1996年の最終和平協定署名により、先住民言語の使用も認められている。

外国語教育

 中学、高校において英語が必修。私立の学校では幼稚部から英語教育が取り入れられているバイリンガル学校も少なくない。更に、ドイツ語やフランス語を第3カ国語として小学部からカリュキュラムに取り入れる私立の学校もある。選択外国語として教えられている非ヨーロッパ語として中国語(北京語)があげられるが、日本語を教える学校はない。

外国語の中での日本語の人気

 英語やフランス語、ドイツ語といった欧米言語に比べると人気は低い。他のアジア言語の中では日本語の人気は高いものの、中国系・韓国系企業の増加に伴い、ビジネス用途のために中国語や韓国語の人気も高まっている。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

主教材:
『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)
副教材:
『みんなの日本語 初級Ⅰ翻訳・文法解説スペイン語版』(スリーエーネットワーク)

学校教育以外

主教材:
『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)
『ジェイ・ブリッジ』小山悟(凡人社)
『初級日本語 げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)
副教材:
『クラス活動集 101』高橋美和子ほか(スリーエーネットワーク)
『日本語コミュニケーションゲーム80』CAGの会(ジャパンタイムズ)
『新日本語の基礎 漢字練習帳Ⅰ・Ⅱスペイン語版』(スリーエーネットワーク)
『漢字マスター』アークアカデミー(凡人社)
『下村式小学漢字学習辞典』下村昇(偕成社)
ビデオ教材:
JAPAN VIDEO TOPICS』(外務省)
『みんなの日本語 会話ビデオ』(スリーエーネットワーク)
『日本語見る・聞く・話す』(NHK放送研修センター)
『まるごと』(国際交流基金)
『まるごと』プラス(国際交流基金)

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 特に基準はないが、日本人教師の場合は、学士号取得者で、日本語教授法を学んだ日本人が望ましいとされている。グアテマラ人の場合は特に資格要件はない。

その他教育機関

 特に基準はないが、これまでは学士号取得者で、日本語教授法を学んだ日本人教師が配属されてきた。グアテマラ人の場合は特に資格要件はない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本語ネイティブ教師3名のみであり、各々が私設語学学校を運営している。

教師研修

 国内研修としては、特に日本語教師対象の研修はない。
 訪日研修としては、国際交流基金の日本語教師研修がある。

現職教師研修プログラム(一覧)

教師会の立ち上げに向けた準備段階にある。

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語教育関係のネットワークはない。

最新動向

 特になし。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1976年 国立サン・カルロス大学言語センター(CALUSAC)設立
1992年 CALUSACにてJICA海外協力隊による日本語教育開始
2010年1月 私立グアテマラ・デル・バジェ大学の選択外国語科目として日本語教室が開設(2016年以降開講していない)
2010年9月 グアテマラ人教師による私設語学学校が開校され、日本語コースが開設
私立ガリレオ大学に日本語教室が開設(2011年2月に閉講)
2015年 日本語ネイティブ教師による私設語学学校が開校され、日本語コースが開設
2016年 私立ラファエル・ランディバル大学で元国費留学生を教師とした日本語・日本文化教室が開校
2020年 武道教室を開校している日本語ネイティブ1名による日本語教室が開校。
日本語ネイティブ1名がオンライン日本語教室を開校。

参考文献一覧

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