サモア(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数※
1 2 33
※学習者数の内訳
教育機関の種別 人数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 30 90.9%
学校教育以外 3 9.1%
合計 33 100%

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

現在サモアにおける日本語教育の拠点となっているサモア国立大学は、1997年に日本の無償資金援助により、新キャンパス(新校舎)が建設され、翌1998年にJICA(国際協力機構)から学長アドバイザーとして日本人専門家が派遣された。同年、同大学にJICAからシニアボランティア日本語教師も派遣され、サモアでの日本語教育が始まった。また、日本の無償資金援助により設立されたサモア技術学院(Samoa Polytechnic)は、2006年にサモア国立大学と統合され、大学組織の一部として同年から同学院観光科において日本語が必修科目として取り入れられた。
サモア国立大学では、2001年に人文学部(Faculty of Arts)内に初めて2つの日本語コース(JAB100、JAB101)が認定され、2002年に3つのコース(JAB102、JAB200、JAB201)が自由選択科目(Elective Course)として承認された。2006年のサモア技術学院との統合に伴い、日本語コースはHJAコースとして名称が変更され、人文学部の副専攻選択外国語科目および技術学院(Institute of Technology)観光科の必修外国語科目として認定された。
2011年の大学組織改編により、日本語はサモア国立大学人文学部日本語コースの副専攻選択科目および同大学商経学部(旧技術学院)観光科の必修観光外国語科目となり、履修されている。

背景

直接のきっかけは日本の援助と学長アドバイザーの派遣である。また、サモアにはYazaki EDS Samoa(その後撤退)、Kitano Tusitala Hotel(その後撤退)、Pacific International社等日本企業があり、サモア社会に日本語の需要が認められることも、日本語導入の背景となった。

特徴

日本語教育が行われているサモア国立大学は、サモア唯一の国立大学(理、工、海洋、人文、商経、教育、看護衛生科学、学生数2,000人)であり、サモアで唯一の日本語教育の機関でもある。人文学部外国語学科日本語コースの日本語は、副専攻選択科目である。
2006年のサモア国立大学との統合以降、大学組織の一部であった技術学院の観光学科は、2011年の大学組織改編で同大学商経学部(Faculty of Business and Entrepreneurship)観光学科となり、観光日本語を必修科目としている。1998年の開講以来続く社会人向けコミュニティー講座には、初級、中級、観光日本語がある。

最新動向

特になし。

教育段階別の状況

初等教育

日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

サモア国立大学では、人文学部外国語学科の日本語コースと商経学部観光学科に日本語科目が設けられている。人文学部(FOA)の正規科目としては、1年目の一般日本語初級HJA100、101、2年目の同HJA200、201がある。商経学部の観光学科では必修科目として観光日本語HJA102、103がある。
人文学部の一般日本語では、1年目で日本語の初級前半を終え、2年目に同後半を修了する。商経学部の観光日本語では観光業に必要な日本語知識や日本文化を第2学年の1年間で履修する。

学校教育以外

サモア国立大学では一般社会人向けに日本語コミュニティー講座が開かれている。現在は日本人ボランティアが在籍するときに、入門者レベル(毎学期)と初級者レベル(後期のみ)が開講されている。会話中心の内容で、日本、日本文化の紹介に重点が置かれている。学習者の年齢層、職種はさまざまである。

教育制度と外国語教育

教育制度

8-5-4制。
初等教育がYear1(5歳から開始)からYear8までの8年、中等教育がYear9からYear13までの5年である。Year12School Certificate(中等教育修了認定試験)を受け、合格者がYear13へ進める。Year13Pacific Senior Secondary Certificate(太平洋後期中等教育共通試験)を受ける。この試験の結果が高等教育機関への入学の資格になる。サモア国立大学以外の高等教育機関としては南太平洋大学(USP)のサモア分校がある。

教育行政

一部のミッション系や私立の学校を除いて、初等、中等、高等教育機関は教育スポーツ文化省(Ministry of Education, Sports and Culture)の管轄で、サモア国立大学は政府直轄である。

言語事情

公用語はサモア語と英語である。日常的にはサモア語がよく用いられる。

外国語教育

英語は初等教育段階から教えられていて、School CertificatePacific Senior Secondary Certificateでは必須の受験科目である。サモア国立大学でも、英語は必修。第二外国語は日本語のほかに中国語が選択可能な科目となっている。

大学入試での日本語の扱い

大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

初級日本語の授業では既存の市販教材(現行では『初級日本語げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)を使用しており、副教材及びその他CD、ピクチャーカード等、教材は豊富だといえる。)観光日本語では、Japanese for Tourism(Pascal Press)、Japanese for Busy People(講談社インターナショナル株式会社)のほか、インターネット上の教材等を使用して授業を行っている。

学校教育以外

サモア国立大学の日本語コミュニティー講座では、シニアボランティアが作成した教科書を使用している。

IT・視聴覚機材

日本語の授業で用いる機器は、コンピューター、DVDビデオ・CDプレイヤー等で、特に市販教材(CD)による聴解学習を積極的に実施している。

教師

資格要件

日本語教師の資格要件は特に定められていないが、現地雇用の日本語教師(日本語非母語話者)は母国の大学で日本語を専攻している。また、サモア国立大学では、大学教員に対して修士以上の学位の取得を奨励している。

日本語教師養成機関(プログラム)

日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

なし。

教師研修

なし。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

日本語教育関係のネットワークは確認されていない。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

なし

国際協力機構(JICA)からの派遣(2020年10月現在)

JICA海外協力隊

なし。

その他からの派遣

(情報なし)

日本語教育略史

1997年 サモア国立大学にて日本の無償資金援助により、新キャンパス建設
1998年 JICA専門家を学長アドバイザーとしてサモア国立大学に派遣
サモア国立大学でJICAシニアボランティア教師により日本語コースおよび日本語コミュニティー講座開始
2006年 サモア国立大学とサモア技術学院が合併。日本語がサモア国立大学人文学部外国語学科日本語コースの選択科目および技術学院
2006年 観光科の必修科目となる
サモア国立大学内の組織改編により、日本語が人文学部外国語学科日本語コースでは選択科目、商経学部(旧技術学院)観光科で必修科目となる
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