スロバキア(2020年度)
日本語教育 国・地域別情報
2020年度日本語教育機関調査結果
機関数 | 教師数 | 学習者数※ |
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8 | 16 | 259 |
教育機関の種別 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
初等教育 | 0 | 0.0% |
中等教育 | 0 | 0.0% |
高等教育 | 46 | 17.8% |
学校教育以外 | 213 | 82.2% |
合計 | 259 | 100% |
(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。
日本語教育の実施状況
全体的状況
沿革
首都ブラチスラバにあるコメニウス大学には、1986年に英語学科の1コースとして英語・日本語コースが創設された。その後1993年には独立した学科として日本学科が創設され、スロバキアにおける本格的な日本語教育が始まった。
なお、2008年11月に東スロバキアのプレショウ大学にアジア研究所が設立され2009年4月より、同大学教育学部学生向けに、日本語講座が自由選択科目として追加、同研究所が主体となり、同年より、一般市民を対象とした日本語講座を開講していたが、2016年3月をもって同研究所は閉鎖され、活動が終了した。
背景
従来エキゾチックさから日本及び日本語に関心を持つ者がいたが、近年、若者の間ではポップカルチャーの影響から日本語を学ぶ者が増えている。スロバキアは1993年に独立した比較的新しい国であり、2004年のEU加盟、2009年のユーロ導入を経て、上述のポップカルチャーの人気や日系企業のスロバキア進出に伴い、日本語教育の需要は高まり、コメニウス大学ではこれまで新入生の受け入れを6年に1度に限定していたところ、2009年からは2年に1度受け入れており、一般の語学学校での日本語学習者も増加傾向にある。
特徴
高等教育で日本学科が存在するのはコメニウス大学のみである。同大学日本学科では、ウィーンやプラハ等近隣諸国の日本学科と異なり、日本の歴史や社会等につき専門知識をつけるための科目はなく、日本語学習に特化したカリキュラムとなっている。
学生の学習動機としては、以前は日本の伝統文化に関心を持って始める人が多かったが、最近はアニメ・マンガなどの現代日本文化への関心から日本語を学び始める若者が増えている。
最新動向
2020年現在、コメニウス大学日本学科に、40名の学生が在籍している。
一般の語学学校では、2020年現在、8機関11校で日本語の授業が行われている。
2013年より毎年「スロバキア日本語弁論大会」が開催されており、スロバキアにおける日本語学習の普及にとって重要な行事となっている。
教育段階別の状況
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
コメニウス大学では、学士課程(4年間)とそれに続く修士課程(2年間)で日本語を履修することができる。2010年には、博士課程も開講されたが、2020年現在、日本語学科には教授及び准教授が不在しており、博士課程は開講されていない。
日本学科の学生は卒業後、日本、その他の国へ留学し、研究者、日本語教師等を目指す者もいるが、スロバキアでは日本語を使う職業が現状では限られていることなどから、日本語を用いる職業に就く卒業生は限定的である。
その他教育機関
2020年現在、スロバキア各地8機関11校の語学学校で日本語の授業が行われており、初等・中等教育機関でも日本語講座を放課後のクラブ活動として取り入れているところもある。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
初等教育は通常9年間(6~15歳)、中等教育は通常4年間(15~19歳)でギムナジウム、専門学校等で行われる。高等教育機関は主に大学で、専門によって3年から6年の教育を受ける。
6歳からの9年間が義務教育。
教育行政
初等、中等、高等教育機関の多くが教育・科学・研究・スポーツ省の管轄下にある。
言語事情
人口の8割以上がスロバキア民族であり、主要言語、公用語ともスロバキア語。限定的ながら、ハンガリー系、ウクライナ系住民の多い地区では、それぞれの言語での義務教育を受けることが可能。2004年には、ハンガリー語での講義を行う学部を有する大学が設置された。
外国語教育
通常、初等教育課程の第3学年で外国語教育が開始(英語必修)。また、第6学年から第二外国語が履修可能。主に英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、スペイン語、イタリア語等の中から選択する。学校によっては、その他の言語を選ぶこともできる。英語またはドイツ語を選択する児童・生徒が多い。なお、日本語は外国語として登録されていない。
近年では初等及び中等教育で中国語を取り扱うケースも増えており、現在スロバキア全国13校で中国語の授業が実施されている。また高等教育では、8大学で中国語教育が実施されている。
大学入試での日本語の扱い
大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
教材
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)及び独自に作成したオリジナル教材
学校教育以外
『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)、『GENKI』(ジャパンタイムズ)等、日本で出版された教科書・教材が使用されている。
IT・視聴覚機材
コメニウス大学及び私立の語学学校では、インターネットを利用した情報収集の方法を指導しているほか、日本語学習のサイトやスロバキア語による日本関係のサイトなどを学生に紹介している。
教師
資格要件
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
コメニウス大学では、スロバキア人教師は博士号取得者であることが条件となっている。同時に、博士課程の大学院生も授業を持つことが求められている。日本人教師の場合には、学士号取得者以上で日本語専攻、または日本語教育能力検定試験合格あるいは、日本語教師養成講座修了等が求められている。他方、日本学科の教師の増減に応じ、これらの資格要件を満たしていなくとも、柔軟に日本語教師が雇用される場合がある。
学校教育以外
大学卒業以上。教育経験、教育学の専攻等も求められることがある。
日本語教師養成機関(プログラム)
日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
コメニウス大学では、日本語の授業を行っている4名のうち1名が日本人である。
語学学校では、4校にて日本人教師3人が授業を行っている以外は、基本的にスロバキア人教師が日本語の授業を行っている。
教師研修
現職の日本語教師対象の研修はない。
現職教師研修プログラム(一覧)
教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
日本語教師会は存在しないが、例年実施されるスロバキア日本語弁論大会においては、近隣国から来訪する日本語教育関係者を含めた意見交換、ネットワーキングが行われている。
最新動向
特になし。
日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣
国際協力機構(JICA)からの派遣
国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。
その他からの派遣
なし
日本語教育略史
1986年 | コメニウス大学日本語コース開始(チェコスロバキア時代) |
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1993年 | コメニウス大学東アジア研究科日本学科設立 |