ウルグアイ(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数※
4 12 251
※学習者数の内訳
教育機関の種別 人数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 100 39.8%
学校教育以外 151 60.2%
合計 251 100%

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 2019年11月現在、ウルグアイには6つの日本語教育機関が存在する。

  1. 1)在ウルグアイ日本人会附属日本語学校(コロン地区)
     ウルグアイにおける日本語教育の原点は、在留日本人有志によって設立された日本語教育維持会が日系子弟のための日本語学校を開校した1952年にまで遡る。1972年、日本人会は、モンテビデオ市コロン地区に現在の会館を購入すると同時に、日本語教育維持会より運営を引き継いだ。こうした経緯から、在ウルグアイ日本人会附属日本語学校は従来日系子弟のみを受講者としてきたが、2003年にそれまでの方針を改め、新たに一般市民を対象とした日本語講座も開始した。現在はウルグアイ人向けのクラスが主軸となっている。
  2. 2)さくら日本語講座(セントロ地区)
     1964年、日・ウルグアイ文化交流協会によって、モンテビデオ市セントロ地区にウルグアイ人向けの日本語講座として開講された。その後、財政的困難により日本人会に運営を委ねていた時期が長く続いたものの、2002年8月からは再び日・ウルグアイ文化交流協会が運営を引き継ぎ、2003年7月には私立ORT大学内へと移設され、名称をさくら日本語講座と改め、同大学の学生、その他学生、社会人を対象としている。
  3. 3)共和国大学人文科学・教育学部 外国語センター日本語講座(セントロ地区)
     日本・ウルグアイ外交修好80周年を記念して2001年6月、共和国大学人文科学・教育学部内に日本語講座が開設された。2003年からJICAよりシニアボランティアが派遣され、大学に相応しい日本語講座の設立を目指して本格的な活動が開始された。同大学はウルグアイで唯一の国立総合大学であり、由緒ある伝統校である。最近は、日本語能力試験受験者が増加したため、正規クラス以外に補習クラスも設けて指導に取り組んでいる。同講座には共和国大学の全学部の学生が参加している。
  4. 4)私塾語学講座『フェニックス』(コルドン地区)
     フェニックスでは、中国語をはじめ、ロシア語、アラビア語、日本語など、グローバル化とともに使用頻度の増している語学を専門に扱っている。日本語の授業は2011年2月に開始。ウルグアイ人教師が日本語講座を担当している。
  5. 5)Kame House
     2014年開校。メキシコ人教師がウルグアイ人向けにクラスを開講している。
  6. 6)Berlitz
     1998年より、希望者がいる場合はウルグアイ人教師がクラスを開講している。
  7. 7)Academia Montevideo
     Academia Montevideoは,英語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,ポルトガル語及び外国人を対象としたスペイン語の授業を開講する語学学校。2019年4月より日本語の授業が開始。ウルグアイ人教師が授業を担当している

背景

 ウルグアイは地理的に日本から最も遠く離れた国のひとつである上、日系企業も少なく、在留邦人の数も少ない。日系人の間では子弟に対して日本語を伝えていきたいという気持ちもあり、日本人会では日系子弟向けの教室が開かれているが、世代交代とともに家庭でも日本語が使われなくなり、生徒数が年々減少傾向にある。また、ウルグアイ人の間では日本文化への関心が高まるとともに、日本語を学びたいという希望者は増えているが、経済的な事情や難易度から継続が困難な生徒もおり、学習者の数の大きな増減は見られない。

特徴

 在ウルグアイ日本人会附属日本語学校及びさくら日本語講座では非常に幅広い年齢層の人(小学生から年金受給者まで)が学んでおり、またその目的もさまざまである。コース修了時に開催する懇談会等を通じてモチベーションを高めるほか、日本文化の発信を心がけ、日本の行事(端午の節句や七夕等)をはじめ書道や日本の歌、折り紙等を日系子弟の授業の中に積極的に取り入れるなどしている。
 共和国大学日本語講座では、同大学の学生を対象とし日本語教育が行われている。
 また、国際交流基金の助成を得て、在ウルグアイ日本人会附属日本語学校主催のもと毎年弁論大会が開かれ、他の学校の学習者も参加しているほか、国際交流基金による日本語成績優秀者研修プログラム、文部科学省国費留学生制度等により日本を訪問する受講者もおり、これらは日本語学習とその継続における大きな動機の一つとなっている。

最新動向

 特になし。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 共和国大学人文科学・教育学部 外国語センター日本語講座:共和国大学の全学部の学生が対象。

学校教育以外

 在ウルグアイ日本人会附属日本語学校(コロン地区):日系人及び一般市民が対象
 さくら日本語講座(セントロ地区のORT大学内に設置):ORT大学学生及び一般市民が対象
 フェニックス:一般市民が対象
 Kame House:一般市民が対象
 Berlitz:一般市民が対象

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 2-6-3-3制。
 初等教育は幼稚園2年、小学校6年、中等教育は中学校3年、高等学校3年、職業技術学校が2~3年。
 高等教育は、大学が3~6年、教員研修所が3~4年。
 義務教育は、5歳(幼稚園年少)から18歳(高校3学年)の14年間。
 大学へは、中等教育修了書を有するか、または中等教育内容に相当する試験に合格することで入学可能。

教育行政

 初・中等教育は公教育公社(A.N.E.P)が、幼稚園及び高等教育は教育文化省が管轄している。

言語事情

 公用語はスペイン語。

外国語教育

 小中学校で外国語授業として全ての生徒が英語を学習。ブラジルとの国境地域では、ポルトガル語も導入されている。私立の小中学校では、英語以外の教育も行われる場合がある。高校では将来進みたい学部によって英語以外の様々な外国語の授業が行われる。

外国語の中での日本語の人気

 外国語として英語やポルトガル語、フランス語、イタリア語、ドイツ語を勉強する学習者が多い。アジア言語のなかでは中国語の孔子学院、韓国語の世宗学堂開校により両言語の関心が高まっているが、日本語学習者は大きな増減は見られない。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 共和国大学日本語講座では、日本で出版された日本語教科書(『みんなの日本語』初級Ⅰ Ⅱ、及び副教材)スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)のほか、教師がオリジナルの会話を入れて編集した教科書『にほんごⅠ』及び『にほんごⅡ』などを使用している。

学校教育以外

 日本で出版された日本語教科書や自作テキストのほか、ビデオ及び絵本を使用している。また、日系人対象の講座ではこれらの教材のほかに、父兄も対象にした折り紙教室、季節の節句のお祝い、日本の音楽等を取り入れたフリータイムの授業も行われている。

IT・視聴覚機材

 日本語教育にIT・視聴覚機材は使用していない。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 日本語は、英語やフランス語のように学校教育科目の外国語教育として存在しないため、日本語教師になるための資格要件は特にない。共和国大学ではJICAのシニア海外ボランティアが教師となっている。

学校教育以外

 在ウルグアイ日本人会附属日本語学校では在住の日本人と日系人とウルグアイ人、さくら日本語講座では在住の日本人と日系人、フェニックス、ベルリッツ、アカデミア・モンテビデオではウルグアイ人、Kame Houseではメキシコ人が教師をしている。

日本語教師養成機関(プログラム)

日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本語のネイティブ教師として働くのは、JICA派遣のシニアボランティア(共和国大学人文科学教育学部言語学科外国語センター日本語講座)及び在ウルグアイ日本人会附属日本語学校の教師数名。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

現職教師研修プログラム(一覧)

 特になし。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 在ウルグアイ日本人会附属日本語学校、さくら日本語講座、共和国大学日本語講座、Kame Houseと私塾教師からなる日本語教師連絡会が発足しており、2ヶ月に一度勉強会を実施している。

最新動向

 共和国大学で日本語を学んだ卒業生(ウルグアイ人)の中には、日本語教育に関心のある者もおり、2017年度から在ウルグアイ日本人会附属日本語学校にて正式に教師として教鞭をとっている。ウルグアイにおける教員数が不足している中、今後彼らのようなウルグアイ人の教員養成が望まれる。
 以前はウルグアイの日本語学習者は日本語能力試験受験のためにアルゼンチン等の近隣国に赴く必要があり、旅費や滞在費等の追加的なコストが発生していたが、2017年12月より、ウルグアイでも日本語能力試験の受験が可能となった。国内で受験が可能となったことから、学習継続者の増加、学習意欲の向上が期待される。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

 なし

国際協力機構(JICA)からの派遣(2019年10月現在)

JICA海外協力隊

 共和国大学人文科学教育学部 1名 

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1952年 日本語教育維持会による日系子弟のための日本語学校開校
1964年 日・ウルグアイ文化交流協会によってウルグアイ人向けの日本語講座開講
1972年 日本人会が日本語教育維持会から日本語学校の運営を引き継ぐ(在ウルグアイ日本人会附属日本語学校)
1998年 Berlitzにて日本語講座開設
2001年6月 共和国大学人文科学教育学部内に日本語講座開設
2002年8月 一旦中断されていた(ウルグアイ人向けの)日本語講座の運営を日・ウルグアイ文化交流協会が引き継ぐ
2003年 在ウルグアイ日本人会附属日本語学校が一般講座を開講
共和国大学人文科学教育学部内にJICAシニア海外ボランティア派遣開始
2003年7月 日・ウルグアイ文化交流協会の(ウルグアイ人向けの)日本語講座を私立ORT大学内に移設、「さくら日本語講座」と改称
2011年2月 コルドン地区のフェニックス私塾語学講座で日本語講座が開始
2014年 Kame House開校
2017年 ウルグアイ国内で日本語能力試験受験が可能となる
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