ベナン(2022年度)

日本語教育 国・地域別情報

2021年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数※
1 1 142
※学習者数の内訳
教育機関の種別 人数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 0 0.0%
学校教育以外 142 100.0%
合計 142 100%

(注) 2021年度日本語教育機関調査は、2021年9月~2022年6月に国際交流基金(JF)が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 2003年9月、IFE財団( 代表:ゾマホン前駐日ベナン大使)と特定非営利活動法人IFE(代表理事:山道昌幸)が、日本とベナンとの間での教育、社会福祉、環境保護、文化交流による相互理解及び技術移転を目的として、ベナン初の日本語学校「IFE日本語学校(通称:たけし日本語学校)」を設立した。同校では、日本語母語教師などによる指導の下、さまざまな職業・年齢・経験の学習者が性別を問わず日本語を学んでいる。その他にも日本語クラブを自主的に運営している団体がいくつかある。また、ボランティアベースなるも、2009年以後、JICA海外協力隊員がそれぞれの活動地域で日本語教室を運営している。

背景

 ベナンでは、教育を通じて高度な経済社会の発展を実現した国として、日本への評価・関心が高く、対日イメージは良好である。日本文化としては、柔道協会、空手協会及び合気道協会が設置されているほか、剣道協会設置の動きもある。日本のポップカルチャーに対する関心も、若年層の間では少しずつ高まっている。2003年の日本語学校設立に伴い、日本語学習への興味が高まりつつある段階である。
 しかし、伝統的に日本よりもフランスをはじめとする欧米諸国との結びつきの方が強いので、現在、日本のプレゼンスを向上させている段階である。

特徴

 ベナンには日本研究を専門とするコースを設置している大学はなく、またベナンに進出している日本企業も少ない。ベナンの人が日本語を学習する動機としては、日本の大学などへの留学や、日本企業との協働及び就職もあるが、それ以外で日本、日本文化及び言語(日本語)に対する興味・関心から日本語を学ぶ学習者も増加している。

最新動向

 2015年度、日本の草の根文化無償資金協力を通じて、「IFE日本語学校」の増改築及び機材整備が行われた。また、IFE日本語学校は、2021年7月から日系企業と協同し、ベナン以外の西アフリカ諸国の学習者希望者を対象にオンライン授業を行っている。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施確認されていない。

高等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

学校教育以外

 IFE財団によって運営されている「IFE日本語学校」がコトヌ市にある。IFE日本語学校が製作した日本語学習聴解教材が使用されている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-4-3制。
 小学校6年間、中等・高等学校第一課程(日本の中学校にあたる)4年間、中等・高等学校第二課程(日本の高等学校にあたる)3年間。義務教育は5歳以降6年間となっているが、入学年齢に上限はない。
 小学校では、6年次にCEP試験(初等教育課程修了証明取得試験)がある。小学1年から、毎年上級へ行くためには、期末試験の成績などを考慮した総合評価において、一定のレベルに達している必要がある。学校によっては、小学校でも外国語科目として英語が導入されているところもある。
 中等・高等学校第一課程では4年次にBEPC試験がある。また一般的には、中学校から外国語科目として英語が導入されている。
 中等・高等学校第二課程では、最終学年時に大学入学資格試験であるバカロレアを受験する。この試験に合格すると、希望の大学へ進学することができる。
 一般的にベナンでは大学において、1~3年次は入学者が受験したバカロレア試験に関連する分野の勉強を幅広く行う。多くの大学生は、経済的理由から学士を修得する3年修了時に大学を辞め、4年次以降に進学する者は少ないが、働きながら学び直す者もいる。ベナンにある国立大学は、アボメ・カラヴィ(Abomey-Calavi)大学、パラク(Parakou)大学、ポルト・ノボ農業大学(National University of Agriculture)及びアボメイ(Abomey)大学の4つである。

教育行政

 ベナンにおいて教育行政を所管しているのは、幼少・初等教育省、中等技術教育・職業訓練省及び高等教育・科学研究省である。

言語事情

 公用語はフランス語。母語としてはフォン語、ヨルバ語、バリバ語など約26の言語がある。英語はホテルなどを除き、あまり通じない。

外国語教育

 一般的には中等・高等学校第一課程の段階から英語教育が開始される。また、2017年9月より一部の小学校において、1年生から英語教育が導入されている。英語教育以外では中等・高等学校第一課程4年次より、文系の生徒はスペイン語かドイツ語のどちらかを必修科目として勉強する。

外国語の中での日本語の人気

 英語など欧米の言語と比べると依然として日本語の人気が高いとは言い難いが、その人気は上昇の傾向にある。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試において日本語の試験は扱われていない。

学習環境

教材

 ベナンの書店では、日本語学習の教科書や参考書、辞書などは置かれていないが、IFE日本語学校によりフォン語、ワーマ語を媒介語とした「日本語学習教材-un dokpe nu mau-」が製作及び運用されている。

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

学校教育以外

 IFE日本語学校では『みんなの日本語初級Ⅰ・Ⅱ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)が使用されているほか、2021年より『まるごと 日本のことばと文化』(国際交流基金)が同校の一部のクラスで使用されている。

IT・視聴覚機材

 ベナンでは、電気、通信のインフラが十分に整備されていないが、IFE日本語学校では遠隔授業の取り組みが始まっている。また、同校では独自の聴解教材を作成及び導入しているほか、フォン語、ワーマ語を媒介語とした「日本語学習聴解教材-un dokpe nu mau-」を製作及び運用している。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

学校教育以外

 日本語教育の実施は確認されていない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 IFE日本語学校にて、実際に授業を持たせるなどして、ベナン人日本語教師を養成している。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 「IFE日本語学校」では、日本語母語教師1名が授業を担当しながら学校業務全般を行い、同校に在籍するもう1名の日本語教師(ベナン人教師)が入門クラスを担当している。

教師研修

 IFE日本語学校では、ベナンへの渡航前に、特定非営利活動法人IFEが、教師派遣前研修を行っている。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 IFE日本語学校で教鞭をとった日本語教師のネットワークがある。またアフリカ日本語教育会議を基点とした協働がある。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 JFJICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 日本にある特定非営利活動法人IFEから、1名の日本語母語教師が派遣されている。

シラバス・ガイドライン

 ベナンでの統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。IFE日本語学校では、独自に策定したカリキュラム及びシラバスがある。

評価・試験

 共通の評価基準や試験はないが、IFE日本語学校では独自の評価法が実施されている。

日本語教育略史

2003年 IFE財団が運営する日本語学校「IFE日本語学校(通称:たけし日本語学校)」が設立された。
2014年 IFE日本語学校が日本語学習聴解教材「Un dokpe nu mau」(フォン語を媒介語)を製作し、同教材の運用を開始した。
2015年 平成27年度草の根文化無償資金協力により、「IFE日本語学校」の増改築及び機材整備が行われた。
2016年 IFE日本語学校が日本語学習聴解教材「おかげさまで」(ワーマ語を媒介語)を製作し、同教材の運用を開始した。
2019年 IFE日本語学校が実施機関となり、ベナンでの日本語能力試験(JLPT)の実施が開始された。(年1回)
2022年 JFによる支援(海外日本語教育機関支援(助成))の下、ベナン(IFE日本語学校)がホスト国となり、第3回アフリカ日本語教育会議を実施した。
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