コートジボワール(2022年度)
日本語教育 国・地域別情報
2021年度日本語教育機関調査結果
機関数 | 教師数 | 学習者数※ |
---|---|---|
4 | 5 | 634 |
教育機関の種別 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
初等教育 | 0 | 0.0% |
中等教育 | 363 | 57.3% |
高等教育 | 250 | 39.4% |
学校教育以外 | 21 | 3.3% |
合計 | 634 | 100% |
(注) 2021年度日本語教育機関調査は、2021年9月~2022年6月に国際交流基金(JF)が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。
日本語教育の実施状況
全体的状況
沿革
1994年に、アビジャンのココディ大学(現フェリックス・ウフエ=ボワニ大学)で日本語コースが開講されたが、同コースは内戦により2003年に中止。2005年には、アビジャンの私立中学・高校MISA(Management Informatique Sports et Arts)で入門レベルの日本語講座が開講。2012年以降には、コートジボワール第二の都市ブアケのアラサン・ウワタラ大学、アビジャンの私立中学・高校グループ・スコレール・ニッポン(Groupe Scolaire Nippon)、ブアケの 私立中学・高校グループ・スコレール・エスペランス(Groupe Scolaire Espérance)で入門~初級レベルの日本語講座が開講された。 なお、MISAは2020年、学長が他界し閉校した。
背景
日本に対する理解度は一般に高いとは言えないが、日本のアニメは、仏衛星放送(Canal+)やインターネットを通じて簡単に視聴できるためマンガと共に、特に、子どもや若者の間で人気が高い。また、電化製品や自動車などをはじめとする日本の技術力の高さに対する信頼は厚く、経済成長の歴史への関心も高い。なお、柔道・空手は、両連盟が活発に活動しており、東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催により、さらに注目を集めており、日本武道に対する関心と認知度も高まっている。
特徴
コートジボワールでは、元国費留学生やJFの研修で日本に滞在した経験のあるコートジボワール人教師らが日本語授業を行っている。2019年5-6月にはブアケのアラサン・ウワタラ大学のンドゥリ・アルフォヌス・レノ教師がJFの日本語教師研修に参加した。
現在、アビジャンとブアケにおいて、複数機関において、入門~初級レベルの日本語授業が行われている他、インターネットなどを通じ独学で日本語学習に取り組む学習者も存在する。
なお、2023年からは、文部科学省の国費留学生募集の新規プログラムとして、教員研修生(教研生)選考が実施される予定である。
最新動向
2016年12月に、アビジャン市にある国際バイリンガル・アフリカ大学(Université Internationale Bilingue Africaine)にて、コートジボワールで初めての日本語能力試験(JLPT)が実施されて以来、コートジボワールでは毎年同試験が実施されている。2020年については、新型コロナウイルスの影響により中止となったが、2021年には再開が決定され、同年及び2022年には、アビジャン郊外の私立エフラタ大学で実施された。
教育段階別の状況
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
アビジャンの私立グループ・スコレール・ニッポン及びブアケの私立グループ・スコレール・エスペランスにおいて、日本語授業が行われている。 なお、2021年日本語教育機関調査結果によると、グループ・スコレール・ニッポンでは193名、グループ・スコレール・エスペランスでは170名の生徒が日本を学んでいる。
高等教育
ブアケの国立アラサン・ウワタラ大学において、外国語の選択科目として日本語授業が行われている。 なお、同大学は、仏語圏アフリカで唯一日本語の単位を取得することができる国立大学である。2021年日本語教育機関調査の結果によると、250名の学生が日本語を外国語選択科目として学んでいる。
学校教育以外
日本文化愛好者のサークルとしてアビジャンで立ち上げられた明治文化学院では、主に成人を対象とした初級日本語授業が週1回実施されている。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
6-4-3制。
小学校が6年間(6~12歳)、前期中等教育機関の中学校が4年間(12~16歳)、後期中等教育機関の高校が3年間(16~19歳)でバカロレア受験。
その後の高等教育機関は次のサイクルで進級する。
- 第1サイクル:学士(3年)
- 第2サイクル:修士(2年)
- 第3サイクル:博士(3年)
ほかに技術学校(2年)、エンジニア養成学校(3年)、公務員養成学校ENA(2年、ただし入学には3年の職務経験を要する)、教員養成学校ENS(小学校、中学校、高校用)がある。
教育行政
初等、中等教育機関:国民教育省が管轄している。
大学、グランゼコール:高等教育・科学研究省が管轄している。
言語事情
公用語はフランス語。その他、約60の民族語が存在する。
外国語教育
6年間の初等教育課程においてはフランス語のみを履修する。
4年間の中等教育課程のうち、前半2年は英語(必修)、後半3年は英語に加え、第二外国語(ドイツ語またはスペイン語)を履修する。
高等教育では、中等教育課程で選択した2言語(英語とドイツ語またはスペイン語)を引き続き履修する。
外国語の中での日本語の人気
他の外国語(英語、ドイツ語、スペイン語)と比較すると学習者の数は少ないが、一部学生や一般市民の間で日本語学習に対する関心が高い層が存在する。2012年12月に当館は第一回日本語弁論大会を開催したところ、コートジボワール初の日本語弁論大会で応募者数は少なかったものの、最終選考を通過した発表者たちの日本語レベルは非常に高いことが明らかになった。
大学入試での日本語の扱い
大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
教材
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
アビジャンの私立中等教育機関グループ・スコレール・ニッポンでは、令和5年度海外日本語教師研修参加を希望する日本語教師歴9年の教師が作成した自作教材、ブアケの私立中等教育機関グループ・スコレール・エスペランスでは、同じく令和5年度海外日本語教師研修を希望する日本語教師歴約4年且つブアケのアラサン・ウワタラ大学言語学部修士号取得の日本語教師が作成した自作教材が使用されている。
高等教育
国立大学アラサン・ウワタラ大学では、『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)を使用。
学校教育以外
明治文化学院では、『Grammaire japonaise systématique』(J.Maisonneuve)の他、グループ・スコレール・ニッポンの日本語教師が作成した自作教材を使用。また、インターネット上の教材なども併せて使用している。
IT・視聴覚機材
2020年現在、日本語教育へのIT・視聴覚機材の使用は確認されていない。他方、2022年12月に、令和4年度草の根・文化無償資金協力による贈与契約が署名され、フェリックス・ウフエ=ボワニ大学で開設予定の日本語教育、日本研究振興センター「ジャパン・コーナー」では、日本語の夜間語学教室において視聴覚機材が使用される予定である。
大学及び私立の語学学校では、インターネットを利用した情報収集の方法を指導しているほか、日本語学習のサイトやアプリ、日本関係のサイトなどを学生に紹介している。学生との連絡や宿題の提出をEメールで行うこともある。
教師
資格要件
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
JFの研修で日本に滞在した経験のあるコートジボワール人教師が日本語を教えている。
高等教育
元国費留学生及びJFの研修で日本に滞在した経験のあるコートジボワール人教師が教えている。
学校教育以外
JFの研修で日本に滞在した経験のあるコートジボワール人教師が教えている。
日本語教師養成機関(プログラム)
日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
日本語のネイティブ教師は雇用されていない。
教師研修
2023年からは、文部科学省の国費留学生募集の新規プログラムとして、教員研修生(教研生)選考が実施される予定である。
教師会
教師会は存在しないが,現地の日本語教師が主体となって2018年に日本語教育の普及を目的とした緩やかなネットワーク(Association des enseignants bénévoles de langue japonaise)が作られ、ヤムスクロで会合が開催された。しかしながら、それ以降、同教師会は特段目立った活動を行っていない。
日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣
国際協力機構(JICA)からの派遣
JF、JICAからの派遣は行われていない。
その他からの派遣
(情報なし)
シラバス・ガイドライン
統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。
評価・試験
評価・試験の種類
2016年12月以降、日本語能力試験(JLPT)が実施されている。
日本語教育略史
1994年 | アビジャンのココディ大学(現フェリックス・ウフエ=ボワニ大学)にて日本語コース開講 |
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2003年 | 内戦により上記コースが中止 |
2005年 | MISAで入門レベル日本語講座開講 |
2009年 | 学生日本友の会で入門レベル日本語講座開講。私立グループ・スコレール・ニッポンが設立され、日本語教育を開始 |
2012年 | ブアケの国立アラサン・ウワタラ大学で外国語の選択科目としての初級日本語講座開講 |
2015年 | 国立アラサン・ウワタラ大学は、JFが日本語教育機関として認定する「さくらネットワーク」に加盟 |
2016年12月 | 日本語能力試験(JLPT)を実施(以降、現在に至るまで、コートジボワールでは毎年12月に同試験を実施) |
2020年 | MISAがコロナ蔓延中に学長が他界し閉校 |
2022年 | ブアケの私立中等教育機関グループ・スコレール・エスペランスが日本語教育を開始 |