エチオピア(2022年度)

日本語教育 国・地域別情報

2021年度日本語教育機関調査結果

なし

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 エチオピアにおける日本語教育の歴史は極めて浅く、2008年10月メケレ大学で開設された日本語講座が最初である。当地で研究活動をしている日本人教授の個人的な繋がりにより講座が開講された。開講された当初は修了者10名程度の小さな講座であったが、その後受講者が増え、2010年10月以降は、毎年150人程度の修了者を出していた。2012年9月からはメケレ大学附属コミュニティースクール(初等教育)でも日本語講座が開講された。2011年1月以降、毎年、ジャパン・カルチャー・デーというイベントをメケレ大学及びメケレ大学附属コミュニティースクールで開き、弁論大会を大学内で開催していた。
2018年10月からアディスアベバ大学にて、日本語講座が開始され、2020年まで日本人講師が日本語教育を担当し、首都でも日本語を勉強することができるようになった。
しかし、両講座ともコロナ禍及びティグライ紛争の影響により2020年以降完全中断(2022年12月時点)。ただしアディスアベバ大学では、オンライン講座などを利用して一部日本語講座の実績がある。

背景

 日本語教育の歴史は始まったばかりであるが、「工業国日本」のイメージは浸透しており、日本への興味、関心は年々高まってきている。 最近は、YouTubeなどでアニメに関心を持ち、アニメがきっかけで日本語教育を始めた人もいる。

特徴

 第一外国語は英語であり、第二外国語を履修するケースはそれ程多くない。また、多民族国家であるゆえ、民族言語を複数学習するケースなども見られる。

最新動向

 2008年10月から開始したメケレ大学での日本語講座、及び、2018年10月から開始したアディスアベバ大学での日本語講座は、2020年以降両講座ともコロナ禍及びティグライ紛争の影響により完全中断(2022年12月時点)。ただしアディスアベバ大学では、オンライン講座などを利用して一部日本語講座の実績がある。

教育段階別の状況

初等教育

 2012年9月、メケレ大学附属コミュニティースクール(初等教育)に日本語講座が開講。2013年度は5年生から8年生までが対象。日本語講座は必須授業の扱いであるが、進級には関係しない位置づけとなっていた。開講の目的は、生徒たちの多文化経験の促進と、日本との草の根文化交流の推進であり、学校側としては日本の学校との将来的な教員・生徒双方のレベルでの交流も望んでいる。 ただし、2020年以降ティグライ紛争の影響により、完全中断(2022年12月時点)。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 2020年までメケレ大学日本語講座が開講されていた。1学期30時間で1レベルを修了し、大多数は1~2学期のみの受講だった。学習者の多くは、日本文化、または外国語学習自体に興味を持っていた。 ただし、2020年以降ティグライ紛争の影響により、完全中断(2022年12月時点)。

学校教育以外

 アディスアベバ大学で日本語講座が行われており、対象は同大学の生徒に限らず、18歳以上のエチオピア人を広く受け入れており、初級、中級、上級の3つのコースで日本語を教えていた。 ただし、2020年以降コロナ禍及びティグライ紛争の影響により、完全中断(2022年12月時点)。オンライン講座のみ一部実績あり。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 初等教育が8年間(グレード1~8、7~14歳)、中等教育が2年間(グレード9~10、15~16歳)、高等教育はグレード10修了後、共通試験の結果によって、大学、カレッジ、テクニカルスクールへの進学が決定される。大学に進学をする者は、更に2年間の進学準備校に通わなければならない。中等教育以降は英語で講義される。

教育行政

 大学は教育省の管轄にあるが、初等・中等(グレード1~10)、カレッジ、テクニカルスクールは各州教育局(Education Bureau)が管轄する。

言語事情

 オロモ族36%、アムハラ族24%、ティグライ族6%、ソマリ族6%、その他約80の少数民族により構成される。国の公用語はアムハラ語であるが、各州ではそれぞれの言語(ティグライ語、オロモ語など)が公用語として用いられる。学校教育においても、首都アディスアベバ及びアムハラ州ではアムハラ語、オロモ州ではオロモ語と各州の公用語が使用される。ただし中等教育以降は全国共通で英語が用いられる。

外国語教育

 初等教育より第一外国語として英語を履修。ただし、開始学年は地域、州によって若干異なる。多言語社会のため、共通語であるアムハラ語以外を母国語とする地域では、初等教育より英語に加えてアムハラ語も履修。10年生以上はすべての授業が英語で行われる。

外国語の中での日本語の人気

 エチオピアではメケレ大学でしか日本語講座が開講されていなかった。メケレ大学では日本語講座の他、中国語講座及びドイツ語講座が課外講座として同様に開講されていたが、その中でも日本語講座の受講生は多く、安定した人気を保っていた。 ただし2020年以降ティグライ紛争の影響により、日本語講座は完全中断(2022年12月時点)。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 自作教材

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 『みんなの日本語 初級Ⅰ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)を基にした自作教材
 『みんなの日本語 初級Ⅰ、Ⅱ 聴解タスク25』牧野昭子ほか(スリーエーネットワーク)
 『みんなの日本語 初級Ⅰ、Ⅱ 初級で読めるトピック25』牧野昭子ほか(スリーエーネットワーク)
 『DVDで学ぶ日本語 エリンが挑戦!にほんごできます。 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』国際交流基金(凡人社)
 『KANJI LOOK AND LEARN』坂野永理ほか (The Japan Times)

学校教育以外

 自作教材、みんなの日本語

IT・視聴覚機材

 日本語教育にIT・視聴覚機材は使用されていない。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育が小学5年生以上で実施されているが、現地語(ティグライ語)運用能力が求められているため、日本人の専任講師は募集していない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

  • 日本語学科 学士以上
  • 日本語教師経験2年以上
  • TOEIC 500点以上
    (絵による指導が非常に理解されにくい文化のため、必要に応じて英語や現地語も活用してコミュニケーションする意欲があること。)

学校教育以外

 日本語堪能者

日本語教師養成機関(プログラム)

 特に行っていない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 2020年まで実施されていたメケレ大学日本語講座では、メケレ在住の日本人1人が日本語教育の専門家ではないが、日本語教師として常勤して、全授業を受け持っていた。メケレ大学附属コミュニティースクールでは、日本人教師の監修の元、2人のエチオピア人講師が全授業を担当していたが、2020年以降ティグライ紛争の影響で完全中断(2022年12月時点)。
 アディスアベバ大学では、2020年まで、日本語のネイティブ教師1名と2名のエチオピア人日本語教師で日本語を教えており、エチオピア人は、元国費留学生と日本語長期研修者で高い日本語力を備えていたが、2020年以降ティグライ紛争の影響で完全中断(2022年12月時点)。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 2019年日本語教師会が立ち上がり、活動開始している。2019年には、第一回アフリカ日本語教育会議がエチオピアの首都アディスアベバで開催された。

日本語教師派遣情報

国際交流基金(JF)からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 JFJICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

評価・試験

 2020年の日本語講座の中断以前は、小テスト、宿題、最終テスト、プレゼンテーションの試験があり、右テストの結果を踏まえて評価を行っていた。

日本語教育略史

2008年10月 メケレ大学に日本語講座開設
2011年1月 メケレ大学及びメケレ大学附属コミュニティー第1回ジャパン・カルチャー・デー開催(以後毎年開催)
2011年11月 平成22年度草の根文化無償資金協力により、メケレ大学日本語講座に専用のLL機材を供与
2012年3月 メケレ大学にて第1回日本語弁論大会開催(以後毎年開催)
2012年9月 メケレ大学附属コミュニティースクール(初等教育)に日本語講座開講
2018年10月 アディスアベバ大学日本語講座の開講
2019年9月 第1回アフリカ日本語教育会議
2019年11月 日本語教師会の発足
2020年~ コロナ禍及びティグライ紛争の影響で日本語講座は完全中断(2022年12月時点)
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