パレスチナ(2022年度)
日本語教育 国・地域別情報
2021年度日本語教育機関調査結果
なし
日本語教育の実施状況
全体的状況
2020年度から国際交流基金(JF)カイロ日本文化センターの主導により、対パレスチナ日本政府代表事務所との共催にて、オンライン日本語講座がパレスチナで初めて開講される運びとなり、2022年現在3周年を迎えている。
大学機関などによる日本語教育は、未だ実施されていないためパレスチナにおける日本語学習の機会は皆無であったところ、上述の日本語講座は、オンライン授業という形態の利点を活かし、西岸のみならずガザ地区のさまざまな大学から生徒が日本語学習の機会を与えることに成功した。
パレスチナにおいても日本のアニメ・漫画などのポップカルチャーへの興味関心は高まっており、コロナ禍でオンラインでの交流が容易化したこともあり、日本語学習を求めるパレスチナ人への極めて有効な日本語教育の機会が誕生することとなった。
全体的状況
パレスチナは、イスラエルとは異なり、日本語教育資格を有する人材がいなかった、及び大学機関で日本研究部門が存在していないため、2020年まで日本語教育は行われてこなかった。
他方、2020年度からJFカイロ日本文化センターの主導により、オンライン日本語講座がパレスチナで初めて開講される運びとなり、2022年現在3周年を迎えている。
背景
上記のオンライン日本語講座がパレスチナで実現した背景には、近年発生したコロナ禍によってオンラインを通じた学習が急速に発展したことが挙げられる。
元々パレスチナでも、日本のアニメ・漫画を通じて、日本への興味関心が高まっていたところ、オンライン講座へも予想以上の受講希望者が集まった。
特徴
オンライン日本語講座の受講者は、特定の教育機関の生徒という訳ではなく、西岸地区にある2つの大学の学生によって独自に形成された日本文化クラブのメンバーであった。このクラブは実地ではなくオンラインを通じた活動をしているため、他の西岸地区及びガザ地区の複数の大学の学生達が参加しており、当該学生達もJFカイロ日本文化センター発信のオンライン日本語講座を受講している。
最新動向
2020年度にパイロットプログラムとして、第一回オンライン日本語講座を実施し(2021年1~3月開催:受講者約100名)、その後2021年度の第二回(2021年9~12月開催:受講者約100名)を経て、第三回講座となる2022年度には、これまでの受講者を対象に継続レベルクラスを開講した(2022年7~10月開催:受講者約20名)。この第三回オンライン日本語講座の修了に際して、対パレスチナ日本政府代表事務所において、所長から修了証を授与する式典を実施した。本式典には、JFカイロ日本文化センター所長を含む3名の参加も得られた他、日本語が堪能であった在パレスチナ・スリランカ大使からも日本語で祝辞をいただいた。修了式典を含む本講座は複数のパレスチナメディアにより大きく報道された。
JFカイロ日本文化センターからの出張者来訪の機会に、ナジャッハ国立大学へ日本語教材が寄贈され、現在までに当該大学において、近い将来試験的に日本語講座が開設される企画が伝えられている。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
10-2制の12学年制。
初等教育が10年間、中等教育が2年間。中等教育機関は、一般中等教育機関と職業訓練学校に分かれる。
高等教育機関は、4年制の大学が37校、2年制の短期大学が18校存在する。
教育行政
初等~高等教育までをパレスチナ教育省が所管。一部、UNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)が所管する学校も存在する。この他に、主にキリスト教系・イスラム教系などの私立機関によって運営される私立学校が存在する。
言語事情
公立高校における公用語は、アラビア語。
英語は、公用語ではないものの使用言語としては第2の位置にある。
外国語教育
初等教育1年目から中等教育修了まで英語が必修科目となっている。一部の私立学校では第二外国語としてフランス語などを導入している。
外国語の中での日本語の人気
教育機関による組織だった日本語教育は実施されていないため、他言語と比較した人気を把握することは出来ない。
大学入試での日本語の扱い
大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
教材
初等教育
上述のとおり、パレスチナでは教育機関における日本語学習は実施されていない。
中等教育
同上
高等教育
同上
学校教育以外
パレスチナ・オンライン日本語講座では、JF制作の「JF にほんごeラーニング みなと」や、JFカイロ日本文化センターの日本語講座で使用している「いろどり 生活の日本語」、「ひらがな・カタカナ自習サイト」などが用いられている。
IT・視聴覚機材
同上
教師
資格要件
初等教育
日本語教育の実施は確認されていないため不明。
中等教育
同上
高等教育
同上
学校教育以外
オンライン講座では、カイロ在住のエジプト人教師らが授業を行っており、資格要件については、JFの基準に沿って雇用されている。
日本語教師養成機関(プログラム)
なし
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
パレスチナ在留邦人で、日本語を教えている者はいない。
教師研修
なし
現職教師研修プログラム(一覧)
なし
教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
存在しない。
最新動向
なし
日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣
なし
国際協力機構(JICA)からの派遣
なし
その他からの派遣
パレスチナには、日本語教師は2022年度現在まで派遣されていない。
シラバス・ガイドライン
なし
評価・試験
評価・試験の種類
オンライン日本語講座の最終日には、オンラインによる筆記試験及び口頭試問が行われており、採点はJFカイロ日本文化センターが担当している。
日本語教育略史
2021年1~3月 | 第一回パレスチナ・オンライン日本語講座が開講 |
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2021年9~12月 | 第二回同講座を実施 |
2022年7~10月 | 第三回同講座を実施 |
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