プエルトリコ(2022年度)

日本語教育 国・地域別情報

2021年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数※
2 2 139
※学習者数の内訳
教育機関の種別 人数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 121 87.1%
学校教育以外 18 12.9%
合計 139 100%

(注) 2021年度日本語教育機関調査は、2021年9月~2022年6月に国際交流基金(JF)が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 1970年代から1980年代にかけての日本企業進出の影響により、日本語補習校が設立。生徒は駐在員子女を中心に20名前後、日本からの派遣教師1名。地元との文化交流もあり、生け花や折り紙の展示会なども行われていたが、1990年頃から日系企業が縮小され、2001年に閉校となった。しかし以前からの経済的な日本との繋がりや文化交流の土台、ポップカルチャーの影響(アニメコンベンションの開催)などにより、現在も日本への関心は高い。プエルトリコにおいては、初中等教育レベルの公立校(幼稚園~高校)で日本語講座は実施していないが、私立校(中等レベル)で2014年から日本語講座(選択科目)を開始したところが1校ある。高等教育レベルでは1988年にプエルトリコ国立大学リオピエドラス校で日本語講座(選択科目)が開設されて以来、日本語教育(選択科目または公開講座)が盛んに行われていたが、2017年に担当教師の移動により選択科目の日本語講座が一時休止となり公開講座のみとなったが、2020年より再び選択科目(初級、中級)が開講された。プエルトリコ大学マヤグエス校においては、1998年及び2004年に一時的に日本語講座(選択科目)が開設されたが、現在は廃止となっている。ポンティフィシカルカトリック大学及びインターアメリカン大学(私立)においては2009年に日本語講座(選択科目)が新設されたが、2014年に担当教師の転勤により廃止となった。ポンティフィシカルカトリック大学では、2016年から再度開講され、現在選択科、初級日本語が実施されている。2013年から開始したサクラダコラソン大学の日本語講座(選択科目)は担当教師の日本帰国をもって廃止となった。また、プエルトリコ大学アグアディア校でも、2017年に日本語講座(公開講座)が開講されていたが、2019年に担当教師の移動により廃止となった。2022年11月現在、プエルトリコの日本語教育機関は、高等教育レベル2機関と民間の語学学校の計3機関。

背景

 1898年、米西戦争の講和条約でアメリカ合衆国自治領となる。政治的・経済的・文化的にアメリカとの関係が強いが、日本の工業製品も豊富で(特に日本製自動車が人気)、日本に対する関心も非常に高く、合気道、空手、武道が盛んで、30年以上も柔道を教えている日本人大学教授もいる。また、盆栽や日本のポップカルチャー、アニメなども流行している。このような背景のもと、地域の人達の日本への興味は年々増加しているが、その一方で日本語教育に対する政府の関心はそれほど高くない。国としてはスペイン語(第一言語)と英語の2か国語を併用することになっている為、初中等レベルにおいては英語が必修科目となっており、それ以外の外国語教育はそれ程重要視されておらず、私立校でラテン系言語を取り入れている学校が幾つか存在する程度に留まっている。また日本人人口は国全体で5,730名(Censo, 2020)と少数であるため、日本語教育の必要性、実用性に限界があることも、政府において日本語が重要視されない理由のひとつとなっている。日本語教育はアメリカ合衆国に比べると遅れているが、大学では日本留学・就職を目標とする学習者が年々増加している。

特徴

 スペイン語と英語の併用国であるため、英語は初等教育レベルから必修科目となっている。公立学校(初中等教育レベル)で日本語教育を実施している機関はないが、私立学校(中等教育レベル)で選択科目として日本語講座を開講しているところが過去に1校あった。私立学校ではフランス語、イタリア語を教えているところもある。
プエルトリコ大学外国語学部の専攻科目はフランス語、イタリア語、ポルトガル語、副専攻科目は、ドイツ語、中国語、日本語は選択科目となっている。しかし年々日本語学習者は増加している。日本語の学習動機は、日本文化への関心、若年層のアニメへの関心、技術・経済の発展した国として良好なイメージを持っていることなどが挙げられる。しかし国内には日系人が少なく、日本語学習の実用性が低いため、初中等教育における日本語教育の拡大は難しい状況。高等教育レベルにおいては、日本への留学や就職などを目標に日本語を学習する者が多い。2022年から、日本語教師はプエルトリコ全体で2名(日本人教師2名)、各々がカリキュラムを組み、教材を選択しており、共通のシラバス・ガイドラインはない。また、日本語能力試験は実施されておらず、受験する場合は個人的にアメリカ合衆国の受験地に参加するようになっている。

最新動向

 上述の通り、初中等レベルの公立学校で日本語教育は実施されていない。私立学校においては中等教育レベルで2014年に初級コース(選択科目)が開講されていたが、。現在日本語を教えている学校は無い。若年層における日本への関心は高く、高等教育レベルの日本語学習者数は増加傾向にある。主な日本語講座の最新動向(開設・休止・廃止の状況)としては以下のとおり。

  • プエルトリコ大学アグアディア校の日本語公開講座(2017~2019)は閉講。2022オンラインコース開講(初級)
  • プエルトリコ大学リオピエドラス校の日本語講座は、従来の公開講座に加え、2020年に選択科目としての日本語初級1、2が開講された。2021年以降、中級を開講。
  • ポンティフィシカルカトリック大学の日本語講座(選択科目)は2013年に担当教授の都合で一旦休止されたが、2016年8月から再開。
  • サクラダコラソン大学の日本語講座(選択科目)は教師の日本帰国により廃止。
  • フォウラーアカデミー私立学校(中等教育レベル)では日本語講座(選択科目)を開講。2019年5月に初めて日本祭り(学生によるパフォーマンスなど)を開催。PTAや町会からの支援もあり成功したが、パンデミックに入って以降、休止している。
  • 私立日本語学校LINGUA LOGICでは 2018 年から、少人数制のオンラインコース(初級、中級)を提供していたが、コロナ禍以降休止している。
  • 2018年カレビアン大学で初の日本祭りを開催。中でもプエルトリコ大学日本語公開講座の学生による日本文化紹介が好評であった。
  • 2021年プエルトリコ大学リオピエドラス校日本語、中国語学生たちの合併による第1回アジア文化祭(オンライン)を実行、大盛況だった。
  • 2022年プエルトリコ大学リオピエドラス校:11月、第2回アジア文化祭が実行され大盛況。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない

中等教育

 公立学校での日本語教育は実施されていないが、私立学校(中等教育レベル)で日本語初級レベル(選択科目)を2014年からクリスチャンスクールで開講されたが現在は廃止されている。2018年にフォウラーアカデミー私立学校では中学、高校生むけの選択科目として初級コースが設置されており、受講生が日本クラブを結成しPTAも参加し2018年から日本文化紹介イベントを実施するなど活発であったが、2020年のコロナ禍以降、一時休講となっている。

高等教育

 プエルトリコ大学リオピエドラス校外国学部では、1988年以降、長年に亘って選択科目として日本語講座を実施してきた。2017年に選択科目が休止されて公開講座のみとなっていたが、2020年から再び選択科目(初級)が開講され、中級も開講。外国語学科の専攻科目は、ポルトガル語、フランス語、イタリア語の3か国語、副専攻はドイツ語、中国語の2か国語、この他、選択科目として日本語、ロシア語、アラブ語,ヘブライ語を開講している。プエルトリコ大学マヤグエス校では1994年及び2004年に一時的に選択科目として日本語講座が開講されたが、現在は廃止となっている。
 ポンティフィシカルカトリック大学及びポンセ市のインターアメリカン大学(私立)では、2009年に日本語講座(選択科目)を開設し、日本の大学を卒業した地元出身者が日本語教授として招かれたが、2013に一時休止し、その後2016年に再度開講した。一方、プエルトリコ大学のアグアディア校においては2017年からプエルトリコ人の日本語教師によって新たに日本語の公開講座が実施されたが、2020年のコロナ禍の影響で一時休止された。2022年に日本語教師によってオンライン講座が開講された。プエルトリコには日系人が少ないことから、日本語が多少できても就職には繋がりにくく、大学で日本語を学ぶ学生の多くはJETプログラムや短期留学、あるいは文部科学省奨学金留学生の選考試験に合格することなどを目標にしている。なお、この試験はアメリカ合衆国(ニューヨーク)あるいは近隣JFで受験しなければならないが、2009年と2011年7月に、2名の学生が文部科学省国費生として合格し、多くの学生に良い影響を与えた。また近年では、JETプログラムに応募する学生たちが増え、毎年数人が採用され日本で活躍している。その他、2011年6月に学生達と日本人会との共催で第1回日本祭り(東日本大震災への義援金集めが目的)を行い、好評を博した。このイベントはその後毎年行われている。また、JETプログラムに参加する者も毎年数名いる。
 2020年3月からはコロナ禍の影響により、主にオンラインでの授業が実施されている。2021年第1回オンラインアジア文化祭り、2022年第2回校内でのアジア文化祭で大盛況を博した。

学校教育以外

 1970年代から1980年代にかけては、日本企業の進出により、(日本人子女のために)日本語補習校が開校され、小規模ながら地元コミュニティーに文化を紹介するイベント(折り紙・生け花教室)も開催していたが、一般人に対する日本語教育は実施されておらず、企業の規模縮小にともない帰国する日本人家庭が増え、2001年に閉校となった。私立の語学学校においては、ベルリッツとパンアメリカンで日本人講師による日本語講座が開講されることも時折あるが、応募人数によって開講の有無が決まる。2019年は閉講となったが2021年に開講された。2018年に開設した私立の日本語学校LINGUA LOGICでは、少人数制のオンライン講座(初級、中級)を開講しており、履修者は高校生、社会人が多い(2020年8月よりコロナ禍の影響により休講中)。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 初等教育6年制(6~11歳)
 中等教育 前期3年、後期3年、計6年(12~17歳)
 高等教育4年
 初等教育、中等教育前期は義務教育になっている。
 教育行政 教育省  言語事情 主要言語はスペイン語。公用語はスペイン語及び英語。

外国語教育

 私立校の初中等教育においてはスペイン語、英語は必須科目で、それ以外の外国語に対しては一律の規定はなく、各学校で第3外国語科目(フランス語、イタリア語)を選択科目として開講している。公立学校では第3外国語の教育は実施されていない。高等教育機関における外国語教育は以下のとおり。

  • プエルトリコ大学外国語学部:フランス語、イタリア語、ポルトガル語、ドイツ語、ロシア語、アラブ語、中国語、日本語。
  • ポンティフィシカルカトリック大学外国語学科:フランス語、ポルトガル語、イタリア語、日本語。
  • そのほかの大学では第3外国語として、選択科目フランス語、ポルトガル語、イタリア語が開講されている。

外国語の中での日本語の人気

 プエルトリコはスペイン語と英語の併用国である為、ラテン系言語に親しみがあり、外国語学部の学生の中にはラテン系言語をいくつも流暢に話せる者もいる。また、若年層はポップカルチャーや武道、芸術などに関心があり、毎年恒例のアニメコンベンション、盆栽クラブ、こいクラブ、柔道、空手道場はプエルトリコでは非常に人気があり、そのことも日本語が他の外国語に比べて人気がある理由となっている。またスペイン語の発音が日本語に似ていることも、日本語に対して親しみを感じている理由のひとつとなっているようである。加えて、過去の日本企業進出により、日本車が多く使用されていることと、最近では外国人経営による日本レストランが増加しており、日本食が人気になっていることももう一つの理由である.

大学試験での日本語の扱い

 日本語は扱われていない

学習環境

教材

  •  【初等教育】日本語教育は実施されていない。
  •  【中等教育】日本語教育は実施されていない。
  •  【高等教育】Japanese for busy people 1,2 、国際日本語普及教会(講談社USA)、げんき Elementary Japanese1、2. 中級日本語カルテット、kanji look and learn (Japan Times)Japanese step by step (GENE NISHI ,McGrau-Hill books)
  •  【学校教育以外】Japanese for busy people 1,2,3

IT・視聴覚機材

 大学の日本語講座において、元気副教材、インターネットやYouTubeなどからの日本の情報収集や、学生プロジェクトでのパワーポイントの使用など、頻繁にテクノロジーを活用している。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 現在、私立校での日本語講座は一時停止中であるが、過去の採用例を見ると、地元出身で日本語を習ったことがある教師が初級を教えていたとのこと。

高等教育

 公立大学では大学院卒以上が望まれる。ただし私立大学においては、日本人であり、大学卒で日本語教師としての経験・知識があれば採用の可能性有り。

学校教育以外

 大学卒が条件。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 現在、日本語ネイティブで正規雇用の教師は2名(非常勤ポスト)。ポンティフィカルカトリック大学の初級コース(選択科目)及びプエルトリコ大学リオピエドラス校の初級コース(公開講座)を担当しており、ネイティブ教師としての役割は、語学だけでなく、日本文化(伝統文化や生活など)も含めたクラスでの指導、日本祭の実施、大学内のオープンハウス、日本留学やJETプログラムの支援・協力など。両大学とも正規に開講している講座は初級レベルだったが、プエルトリコ大学では3年前から中・上級講座まで進んでいる。過去には文部科学省奨学資金に2人合格し、日本の大学へ留学中の学生もいる。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語教育関係のネットワークはないが、各教師がアメリカの日本語教育会に参加するように努めている。

最新動向

 特になし。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 JFJICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 以前は、プエルトリコ大学にALLEXAlliance for Language Learning and Educational Exchange)が派遣されたが、現在はない。

シラバス・ガイドライン

 統一したシラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。 各教師で作成。

評価・試験

評価・試験の種類

 共通の評価基準や試験はない。各教師で作成。

日本語教育略史

1980年 日本人会に日本語補習校が設立される
1980年~1985年 プエルトリコ大学リオピエドラス校で日本語公開講座開設
1988年 プエルトリコ大学リオピエドラス校人文学部に選択科目として日本語講座開設
1990年 私立語学学校ベルリッツが日本語講座開設(2019年現在は閉講)
2001年 日本語補習校閉校
2005年 私立語学学校パンアメリカンが日本語講座開設
(学生数が集まった時のみ開講しており、2019年現在は閉講中)
2009年 ポンティフィシカルカトリック大学、インターアメリカン大学(私立)に選択科目として日本語講座開設
2013年 ポンティフィシカルカトリック大学、インターアメリカン大学の日本語講座 一時休止
私立サクラダコラソン大学で日本語講座(選択科目及び公開講座)開設
2016年 ポンティフィシカルカトリック大学の日本語講座再開
私立サクラダコラソン大学の初級・中級I講座開設
日本文化祭開催(10月)
2017年 プエルトリコ大学リオピエドラス校の日本語講座(選択科目)は一時休止、公開講座の日本語コースのみ継続
プエルトリコ大学アグアディア校で日本語講座(公開講座)開設
私立サクラダコラソン大学の日本語講座が教師の帰国により閉鎖
2018年 フォウラーアカデミー私立学校選択科目日本語初級レベル実施
日本語学校Lingua Logic(少人数)が初級、中級、オンラインコースを開設
2020年 プエルトリコ大学外国学部の選択科目として休止していた日本語初級1、2が再開。公開講座においても初級1、2を継続。
2023年 ププエルトリコ大学リオピエドラス校
 外国学部の選択科目初級日本語1,2. 中級日本語1,2
 公開講座初級日本語1,2 
プエルトリコ大学アグアデイア校
 オンライン公開講座初級1  
ポンティフィシカルカトリック大学
 初級日本語1,2
パンアメリカン語学アカデミー
 初級1,2
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