米国若手日本語教員(J-LEAP) 13期生 総合報告書
ハワイで過ごした新人日本語教師の挑戦 A Hui Hou, Hawaii!
ワイパフ・ハイ・スクール
後藤 千絢
教師そして人として大きく成長した2年目
まず、2年目では1年目には担当していなかった日本語レベル1のクラスを受け持ち、ゼロから言葉を教える難しさを経験しました。特に、リードティーチャー(以下、LT)が最初の1週間に不在だった状況下では授業運営だけでなく、1年生への学校生活の案内やオフィスと同僚教員とのやり取りなど、授業外の業務にも自主的に対応できるようになりました。
教授法の面では、コミュニカティブアプローチ(コミュニケーションを重視した教授法)を意識し、新しいユニットの導入や新出語彙の指導の際に直訳を避け、生徒自身に考えさせる工夫を取り入れました。すぐに答えを言わず我慢強く待ち、生徒たちに挑戦させる・考えさせる指導を重ねた結果、授業では生徒の主体性を引き出すことに成功したと思います。さらに、最終課題のプレゼンテーションサンプルの作成やリーディングマテリアルの作成など、教材や指導の改良にも取り組みました。
また、授業以外の時間でもLTや学生との厚い信頼関係を築くことができたと思います。さらに学内にとどまらず地域の小学生にも日本文化を教える活動を通じて、地域社会における日本文化や言語への関心を高めるきっかけを作ることができました。こうした挑戦と日々の授業改善の積み重ねを通じて、日本語教師として多角的な視野を持ち、2年目には指導力を向上させることができたと思います。
派遣校を飛び出して地域と子どもたちと繋がった取り組み
派遣校外で印象的だった活動は、小学生に英語で日本文化を教えるボランティアをしたことです。普段は高校生を対象に日本語を日本語で教えていますが、ハワイ日米協会が実施しているJapan-in-a-Suitcaseというボランティアにも月に1、2回ほど参加しました。この活動ではオアフ島内の小学校に通っている子どもたちに “Different Perspective(異なる視点)”を理解してそれを捉える方法を教えました。例として、日本の小学校の時間割や教科書、ランドセル、掃除や給食の時間を教えてハワイの学校とはどんな違いがあるのかディスカッションや質問をする練習をしました。個人的に、英語を使って写真を掲げながら教えるのは普段の教え方とは違い、挑戦でした。また小学生は手を挙げて意見を言ってくれる子がたくさんいたのでみんなに話すチャンスもあげつつ、それぞれの興味に適応しながら反応し、授業の流れを考える必要がありました。普段はLTがいるので頼りにしまいがちでしたが、その時は基本的に一人で教える必要があったので難しく感じながらも、インタラクティブな授業をする経験ができたことは大きな学びになりました。また、日本語のクラスではなく社会学の授業の一環として訪問させてもらったので、日本語という言語だけに焦点を当てるのではなく、日本文化を学ぶことを通じて子どもたちが物事や文化の違いを様々な視点から捉え、探求心や思考力を身につけることも重要視していました。この活動を通じて、結果として日本文化に興味を持つことにも繋がればいいと思いました。
言語と文化の学びを通じた次世代の育成
派遣先機関や周辺地域への貢献に関して、特に日米間の若者交流で大きなインパクトを残せたと思います。派遣校では、毎年約400人もの日本の高校・大学生と交流できる機会があります。この交流はこれまでLTがほとんど一人で取り組んできた交流事業でしたが、既存のアクティビティを改善し、レベルの高いクラスではグループでの日本人留学生との会話に加え、留学生を交えたグループワークを多く取り入れたり、学校紹介プレゼンテーションを題材とした授業ユニットを作成しました。日本語学習の質の向上と、よりリアルなシチュエーションで同じ年代の生徒と話す機会を多く提供し、生徒の主体性を引き出すことができたと思います。ほかにも、派遣校だけでなく地域でのボランティア活動が大きな役割を果たしたと思います。小学生への文化紹介では、オアフ島の子どもたちが早い段階から日本に親しむことができ、将来的な日米間の友好関係を学内だけでなく地域レベルでも大きく広げることができたと考えています。言語を教えるだけでなく、地域全体を巻き込んだ草の根の交流ができたことは、J-LEAPの目的につながると思います。
未来のJ-LEAP候補の皆さんに向けて
私は派遣される前は日本語教師としての経験がほとんどありませんでした。自分の期待や理想をもって派遣地に行ったものの、仕事や生活で思ってもみなかったことや困難に直面して、自信を無くしてしまうことがありました。特に始めは派遣校での日本語の教え方に困惑しました。従来の文法と教科書を中心に教えるスタイルではなく、コミュニケーションができる/会話を重視する教え方で、生徒の反応によって授業が展開していく様子を見て、自分にはLTのような授業ができるのかとても不安になりました。しかし、そこで自分には合っていない、できないと決めつけるのではなく、LTとコミュニケーションをとって、なぜそのように教えているのか、どんなことをLTは生徒たちに求めているのか話し合うことで、お互いの強みを活かしたチームティーチングをすることができました。J-LEAPに参加するためには、このような予想外の出来事にも柔軟に対応し、失敗を恐れずに挑戦できる勇気を持つことが大切だと感じています。私は仕事以外の面でも、困ったときには親身に話を聞き、アドバイスをしてくれたLTや、同僚、ホストファミリー、友達、そして国際交流基金やローラシアン協会の皆さんに大きく支えられました。自分一人で海外に行くのは勇気がいると思いますが、J-LEAPでは周りの方からのサポートを受けて、日本語を教えることだけではなく、さまざまな経験をすることができました。2年という長いようで短い期間ですが、日本語を教える経験をしながら自身の学びを得ることができる素晴らしいチャンスです。今後は派遣先でできたコミュニティーに再び戻り、言語とフラダンスを通じて、日本とハワイを繋ぐことができるよう尽力したいと考えています。
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