米国若手日本語教員(J-LEAP) 13期生 総合報告書
アイダホで蒔いた種 ― 日本語教育と日米交流が育んだ2年間

コーダリーン・ハイ・スクール
三瓶 真穂

土を耕す ― 授業改善と教師としての成長

1年目の終盤から、リードティーチャー(以下、LT)と授業の主担当をローテーションで担当する体制となり、授業全体の構成や進行を自ら考える機会が大幅に増えました。例えば、LTがレベル1、アシスタントティーチャー(以下、AT)がレベル2の教科書の同じチャプターを担当し、チャプター終了後に担当レベルを入れ替える形で授業を実施しました。この経験を通して、学習目標に応じた授業計画を主体的に立案・実践する力を身に付けることができました。
また、1年目の経験を踏まえ、学生がより楽しみながら学べるよう、ゲームやペア・グループ活動などの参加型の学習活動を積極的に取り入れ、授業内容を改善しました。その結果、学生が意欲的に日本語を使用する場面が増え、授業への参加度も向上したと感じています。 さらに、評価方法についても見直しを行いました。1年目はペーパーベースの試験が中心でしたが、2年目はCan-Doに基づいたパフォーマンス評価や実践的な課題を取り入れ、実際のコミュニケーションの場面を意識した評価を実施しました。これにより、学生の日本語運用能力の向上につながったと考えています。
これらの経験を通して、学生が実際に日本語を使う場面を意識しながら、楽しみつつ主体的に学べる授業を設計・実践する力が身に付き、日本語教師として大きく成長することができたと感じています。

花を咲かせる ― 地域との交流活動

日本語クラス以外の活動として、1年目に引き続き、同じ学区内の中学校で日本文化紹介を計3回実施しました。実施時期が1月から4月の履修登録前であったこともあり、日本語クラスへの興味・関心を高める機会となり、履修希望者の増加にもつながりました。また、学区内の小学校で開催された「World Language Day」では、学生が主体となって日本文化紹介の内容を企画・発表できるよう支援しました。学生自身が文化を伝える経験を通して、日本語や日本文化への理解をさらに深めることができたと感じています。
特に印象深かった活動は、ワシントン州スポケーン市の太鼓チーム「Spokane Taiko」に参加したことです。メンバーの多くがアメリカ人であったため、練習を通して日本の文化や習慣について紹介する機会が数多くありました。また、旧正月のイベントや、西宮市とスポケーン市の姉妹都市提携65周年記念イベントなどで演奏を行い、地域の方々に日本文化の魅力を伝えることができました。学校外でも地域社会と積極的に関わりながら、日本文化を発信し、日米交流に貢献できたことは、2年目を通して特に印象に残る貴重な経験となりました。

実を結ぶ ― 日本語教育と日米交流への貢献

私が派遣されていたコーダリーン高校では、外国語プログラムの中でも日本語クラスの規模が最も小さく、LTも日本語以外の科目を兼任していました。また、以前は学区内の別の高校にも日本語クラスがありましたが、現在は廃止されており、日本語教育を維持・発展させることが課題となっていました。 そのような状況の中で、学区内の中学校で継続的に日本文化紹介や日本語クラスのプロモーションを行った結果、日本語クラスが1クラス増設されるという成果につながりました。日本語や日本文化に興味を持つ生徒が増え、日本語教育の発展に貢献できたと感じています。
また、ATとして学校生活を共に過ごしたことで、生徒にとって日本をより身近に感じてもらうことができました。「将来は自分もJETプログラムに参加して日本で英語を教えたいという選択肢を知ることができた」と話してくれた生徒もおり、日本への関心や将来の可能性を広げるきっかけを提供できたことは大きな成果でした。
さらに、日本旅行の引率を通して訪問した日本の高校との交流をきっかけに、派遣校と日本の高校との交流活動を実施することができました。派遣先には姉妹校がなく、日本人と交流する機会も限られていましたが、双方の生徒が積極的に交流に参加し、相互理解を深める貴重な機会となりました。この経験を通して、日米間の若者交流の促進にも貢献することができたと考えています。

次の畑へ ― J-LEAPの経験を未来へ

J-LEAPでは、日本語アシスタントティーチャーとして渡米しましたが、日本語を教えること以上に、アメリカの教育現場で「人を育てること」の大切さを学ぶことができました。高校生という、将来の進路や価値観を形成していく大切な時期の生徒たちと関わる中で、一人ひとりの成長を支え、安心して挑戦できる環境をつくることが教育者の重要な役割であると実感しました。この経験は、私自身の教育観を大きく変える貴重な機会となりました。
今後は、この経験を生かし、多文化共生が進む日本において、国籍や文化的背景に関わらず、誰もが安心して学び、自分の居場所を感じられる環境づくりに携わっていきたいと考えています。日本語教育を通して学習者の言語能力だけでなく、人とのつながりや自己肯定感を育むことのできる教育を実践していきたいです。また、日米交流にも継続的に関わり、相互理解を深める活動にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
これからJ-LEAPに参加する若手日本語教員には、ぜひ積極的に一歩を踏み出し、学校内外を問わずさまざまな活動に挑戦してほしいと思います。自ら行動すれば、その挑戦を支えてくれる人との出会いが必ずあります。授業だけでなく、地域との交流や新たな経験にも積極的に取り組むことで、自身の成長だけでなく、日本語教育や日米交流にも大きく貢献できると信じています。

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