米国若手日本語教員(J-LEAP) 13期生 総合報告書
ニュージャージーでの2年間
カーニー・ハイ・スクール
持田 佳奈穂
みんなの協力で広がる日本文化
2年目は1年目に比べ、より積極的に「日本文化を学校へ」持ってくる活動に力を入れました。日本へ行く機会が限られている学生たちに日本をより身近に感じてもらえるよう、日本文化に触れる機会を増やしました。
なかでも印象に残っているのは、日本から茶道の先生をお招きし実施した「お茶会」です。派遣校では授業で学生に食品を提供してはいけないという規則があり、日本食を体験する活動の実施は難しい状況でした。そのような中、学生からの要望を受け、放課後に茶道体験を企画することになりました。
学校関係者の方々の中には茶道に馴染みのない方も多く、開催の承諾を得るため、茶道を通して日本文化に触れることの意義について何度も説明を行い、理解を得ながら準備を進めました。また、今後の文化紹介がより円滑に行えるよう、当初開催に慎重だった方々にも参加を呼びかけ、日本文化への理解促進に努めました。
その結果、お茶会には約70名の学生が参加し、実際に抹茶を味わう体験を通して日本文化への理解を深めました。学校関係者の方々からも「今年一番良いイベントだった」という言葉をいただき、日本の魅力を多くの方に知ってもらう貴重な機会となりました。
この経験を通して、多様な立場の方々と連携しながら企画を実現する力が身についたと感じています。また、日本文化を学校全体へ発信することで、多くの人の理解や協力を得ながら、実現が難しいと思われる活動でも形にできることを実感するきっかけとなりました。
仲間とともに一歩前へ
1年目に引き続き2年目も、ニュージャージー州の日本語教師会が開催する日本語学習の授賞式で、カーニー高校の学生による合唱の発表・指導を担当しました。2年目は前年度の発表を見た学生たちの反響もあり、参加者は約2倍に増えました。今年は、「仲間とともに一歩前へ進んでいこう」という思いを込めて、杉本竜一さん作詞・作曲の「Tomorrow」を選曲しました。合唱未経験者も多く、人前で歌うことへの不安などさまざまな課題がありましたが、約4か月間練習を重ねる中で、互いに支え合いながら一つのハーモニーを作り上げていきました。そして本番当日には、学生たちの心を一つにした歌声が会場に響き渡りました。
発表後には、観客の方から「歌声も日本語も素晴らしかった。合唱を習っている学生たちに日本語の歌を教えたのか、それとも日本語を習っている学生たちに合唱を教えたのか。」という言葉をいただき、学生たちが日本語と音楽の両面で成果を上げたことを実感しました。
この活動を通して、学生同士のつながりや新たなことに挑戦する経験が、自信や成長につながることを実感しました。また、仲間と一つの目標に向かって努力する経験は、学生たちにとって大切な思い出となり、私自身にとっても忘れられない経験となりました。
挑戦から広がる大きな輪
派遣先では、この2年間、学生とともに誰も挑戦したことのないことに取り組み、共に成長することを大切にして活動してきました。授業内で完結する活動だけでなく、合唱や折り鶴壁画作りなど、長期間仲間と協力しながら一つの目標に向かって挑戦できる機会を提案しました。どの活動も最初は「できるか分からない」というところからのスタートでしたが、学生同士が協力し、少しずつ努力を重ねることで、最終的には一人では成し遂げられない大きな成果につなげることができました。
また、日本語教育を学校内だけにとどめず、地域へ広げる活動にも挑戦しました。カーニー高校には「Kearny Adult School」という、大人を対象とした夜間の学校があります。そこでは、スペイン語や美術、ヨガなど、さまざまな講座が開講されています。その中に日本語クラスも開講していただき、週に1~2回、約1年間にわたり日本語の授業を担当しました。高校生だけでなく、地域に住む大人の方々にも日本語を学ぶ機会を提供することで、さまざまな方に日本語や日本文化に興味を持ってもらうきっかけを作ることができたと感じています。
J-LEAPで広がる可能性
この2年間は、私にとって多くのことに挑戦できたかけがえのない時間でした。渡米前は、「文法や漢字を分かりやすく教える力」が日本語教師にとって重要だと考えていました。そのような中で、渡米直後は日本の学校との指導方法の違いに戸惑うことも多くありました。しかし、学校や地域の方々との交流、そして学生との日々の関わりを通して、日本語教師の役割は単に言語を教えることだけではないと実感しました。学生が仲間とつながり、新しいことに挑戦し、成長していく過程を支えることも、日本語教師の大切な役割だと感じました。
また、2年間という限られた時間の中で、自分自身が一歩踏み出して行動することの大切さを学びました。私はこの2年間、自分がやりたいことや挑戦したいことを積極的に周囲へ伝えることを大切にしてきました。思いを発信することで、協力してくださる方や支えてくださる方との出会いが生まれ、新たな可能性が広がっていくことを実感しました。
派遣先は、さまざまな背景を持つ学生が在籍する高校だったので、日本語クラスが学生にとって安心できる居場所の一つとなるよう努めてきました。今後は、J-LEAPで得た経験を生かし、外国にルーツを持つ方々が日本で安心して生活し、自信を持って未来へ進んでいけるようサポートできる日本語教師を目指していきたいと考えています。
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