米国若手日本語教員(J-LEAP)14期生 年次報告書 「島から島へ、日本語でつながる ― 沖縄からハワイへ、ATとしての学びと挑戦 ―」

アイナ・ハイナ エレメンタリー・スクール
金城 愛樹

多文化が息づくハワイ

派遣先であるハワイ州は、アメリカ合衆国50州の中で最後に加盟した州です。8つの主要な島と100以上の小島からなり、面積は約16,600平方キロメートル、人口は約143万人です。州都ホノルルのあるオアフ島は世界有数の観光地である一方、豊かな自然も人々の暮らしの身近にあります。また、ハワイ先住民の文化を基盤に、日本、中国、フィリピン、韓国、ポルトガルなど、さまざまな文化が共存する多文化社会です。日本とのつながりも深く、街中で日本語や日本の名字を耳にすることも珍しくありません。夏には各地でBon Dance(盆踊り)が開催され、日本から伝わった文化がハワイ独自の形で受け継がれています。「ʻOhana」オハナ(家族)という言葉に表されるように、人とのつながりや相手を大切にする考え方も生活の中に根付いています。
ハワイ州の公立学校はHawaiʻi State Department of Education(ハワイ州教育省)が州内を一括して管轄しています。国際交流基金「2024年度海外日本語教育機関調査」によると、州内には日本語教育機関67機関、日本語教師207人、日本語学習者12,558人がおり、特に中等教育段階の学習者が多いことが特徴です。学習目的は、日本文化やアニメ・マンガへの関心、日本への旅行、家族とのコミュニケーションなど多様です。
地域の日系社会や文化とつながりながら日本語を学べることは、ハワイならではの日本語教育の特徴だと思います。

日本語を「学ぶ」から「使う」へ

アイナハイナ・エレメンタリー・スクール(ʻĀina Haina Elementary School)は、オアフ島南東部にあるIB(国際バカロレア)認定の公立小学校です。Pre-K(就学前教育)から5年生まで約319名が在籍し、K(Kindergarten:幼稚園)から5年生までの全児童約300名が週1回、日本語を学んでいます。日本語の授業は、幼稚園から5年生までの6学年にアドバンス日本語を加えた計7レベルで行われています。1996年から始まった日本語プログラムには、現在リードティーチャー(以下、LT)1名、アシスタントティーチャー(以下、AT)1名、パートタイム教師1名が携わっています。
授業では教科書を使用せず、LTが作成したオリジナルの教材を中心に、歌や紙芝居、お手玉、かるた、折り紙、会話活動や文化紹介などを学年に応じて取り入れています。ATとしては、イラストや絵カードを作成し、英語での説明を減らして、日本語でも「分かった!」と感じられるような工夫を心掛けています。実際に日本語を使う活動として、おにぎり作りや書初め、季節の工作、日本の学校とのオンライン交流なども行っています。2025年度には沖縄県の小中学校と年賀状を交換し、日本とつながる楽しさを体験する機会をつくりました。
休み時間にも「先生、こんにちは!」と声をかけてくれたり、覚えた日本語で話しかけたりしてくれる児童がいます。授業で学んだ日本語が教室を飛び出し、児童の日常の言葉になる瞬間は、LTとともに喜びを感じる瞬間です。

教室を飛び出して ― 受け継がれる活動と地域とのつながり ―

放課後日本語プログラムでは、担当教師1名と5歳から14歳までの児童・生徒の読み書きを指導しました。なかでも、J-LEAP第1期の先輩ATが立ち上げた、幼稚園から1年生を対象とする「にじぐみ」を担当したことが印象に残っています。J-LEAP1期の先輩ATが始めた活動が現在も受け継がれていることに歴史と活動の積み重ねを感じ、私自身も後に続くATとして頑張りたいという思いが強くなりました。また、LTが担当する裁縫クラブにも参加し、制作物の寄付を通して地域貢献にも携わりました。5年生の宿泊キャンプにも参加し、児童の学校外での一面を知ることができ、その後の授業でもより関わりやすくなりました。そのほか、日本語プログラムを支えてくださる教職員への日本食の提供、校内日本語掲示物の作成、筆ペンワークショップの開催などを行いました。
夏休みには、2つの日本文化・日本語サマーキャンプにボランティアとして参加しました。「Tanoshii Hawaiʻi 2026」では、書道、餅作り、盆踊り、太鼓、生け花、魚拓、絞り染め、練り切りなど、さまざまな日本文化を子どもたちと体験しました。「Summer Keiki Fun Days」(Keikiケイキはハワイ語で子どもと言う意味)では、日系移民の歴史を学ぶ施設や平等院の見学、カロ(タロイモ)畑での農作業体験などを通して、日本文化とハワイ文化の両方について私自身も学びを深めることができました。

先生みたいな先生になりたい

1年目を通して、ハワイの教育現場では多様な文化的・言語的背景や個性を持つ児童がともに学び、それぞれの違いを尊重する姿勢が大切にされていることを学びました。また、一人ひとりの学び方やペースに応じた支援や、児童が自ら質問し、考え、発信することを重視するアイナ・ハイナ・エレメンタリーでの教育に触れ、私自身の教育に対する考え方も広がりました。
地域活動では、ハワイで受け継がれてきた日本文化に触れ、日本で暮らしていた時には経験したことのない文化も実際に体験することができ、私自身も新たな学びを得ることができました。
そして、1年間LTと活動をともにする中で、常に子どもの学びを第一に考え、自らも授業を楽しみながら、エネルギーにあふれた姿で児童と向き合うLTから、多くのことを学びました。ある児童から「I wanna be a Japanese teacher just like you.(先生みたいな日本語の先生になりたい)」と言われたことは大きな励みとなりました。そして私自身もまた、「LTのような先生になりたい」と感じています。
2年目は、児童が日本語で「伝わる楽しさ」をさらに感じられる授業を目指すとともに、LTから学ぶだけでなく、自ら教材や活動を提案し、主体的に行動したいです。周囲への感謝を忘れず、自分だからこそできることにも挑戦しながら児童とともに成長できる1年にしたいです。

  • アイナ・ハイナ エレメンタリー・スクールの外観。大きな木と多数の平屋が並んでいる。
  • プロジェクターの前で発表を行っている金城さん。
  • 赤いひな壇の上にひな人形の折り紙が20体乗っかっている。
  • 金城さんともう一人の女性が並んでいる。二人の前にはテーブルがあり、現地の料理が広がっている。
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