米国若手日本語教員(J-LEAP)14期生 年次報告書 「個性豊かな生徒たちと教室を超えた日本語教育」

スティーブンソン・スクール
加藤 明花

日本に近いカリフォルニア州

派遣校が位置するカリフォルニア州はアメリカ西海岸に位置する、アメリカで3番目に大きい州で、州人口の多さはアメリカで一番です。移民の割合が約27%で多国籍な人々が在住しており、さまざまな国の文化が見られます。その中でもメキシコなどのラテンアメリカ系が移民の半分の割合を占めており、その次に多いのは日本などのアジア人です。日系人が19世紀に移民してきた背景や、日本人が多く住んでいることから継承語として日本語を学習する目的のほか、サブカルチャーなどの日本文化への興味、シリコンバレーのIT企業への就職を考えているなどのビジネス面での目的など、日本語学習目的はさまざまです。日本語教師会の集まりや勉強会なども頻繁に行われ、教師同士のつながりも強く感じられます。日本語教育の機会が豊富なカリフォルニア州では多くの小中高校で日本語が選択科目として教えられており、学校外では補習校での授業をはじめ、スピーチコンテストや地域の寺院での盆踊りなども開催されています。派遣先の日本語履修生の大半は寮に住む留学生ですが、通学する生徒の中には家族が日本にルーツを持っている生徒もいます。

いろんな国から学生が集まる寮制の私立高校

派遣先のスティーブンソン・スクールはPre-Kindergarten(以下、PK。幼稚園入園前の幼児教育段階)から12年生まで続く私立学校で、二つのキャンパスに分かれています。派遣先の高等学部であるペブルビーチキャンパスには約500人の生徒が在籍していて、そのうち55%は寮生です。ペブルビーチは広大なゴルフコースと美しい景色が望める17マイルドライブが観光地として有名で、スポーツに力を入れている生徒も多数います。教師数は約60人で多くはないものの、生徒1人に対して複数の先生が目をかけていて、生徒と教師の関係が強い印象です。多くの生徒がレベルの高い大学への進学を目標にしていて、生徒会や寮のイベント、地域貢献活動に勤しみ、成績向上に向けて毎日多くの課題をこなしていて非常に充実した毎日を過ごしています。
日本語を履修している生徒は約70人で、日本語1、2、2H、3、3H、4、 AP(Advanced Placement。高校で大学レベルの内容を学ぶ科目)、5の8レベルで教えられています。Adventures in Japaneseという教科書を主教材として使用しており、そのほか必要に応じて生教材や他の教科書からの内容を使用しています。アシスタントティーチャー(以下、AT)として、主に教科書を使わないクラスでの教材作成を行ったり、毎日課される宿題のチェックを行ったりしました。少人数のクラスが多く最初は自分の立場を理解することに苦戦しましたが、学習に詰まった生徒のサポートや課題の添削を通して生徒とコミュニケーションを取り、毎日自分に何ができるか模索しながら過ごした1年間でした。

教室を超えた日本語教育

授業外の活動で印象に残っているのは、まずアメリカ全土から高校生が出場する、日本や日本語に関するクイズ大会Japan Bowlに引率したことです。半年前からトライアウトテストを作成し、参加する生徒を選抜しました。その後、毎週日曜日に生徒とミーティングをして、その中で毎回違ったカテゴリーのクイズを出しました。毎週何十問という日本に関するクイズを作ることは私自身も日本に対して改めて学ぶ良いきっかけになりました。ワシントンDCで生徒と夜中まで一緒に勉強したことが強く記憶に残っています。
また、リードティーチャー(以下、LT)が2年に一度行っているJapan Tripにも引率として参加させていただきました。2週間を生徒とともに過ごしたことで、知らなかった一面や成長を直に見ることができました。Japan Tripでは広島で千羽鶴を寄贈しましたが、それに伴いスティーブンソン・スクールのもう一つのキャンパスに生徒を複数人連れて行き、広島に関するプレゼンと折り紙クラスを行いました。
その他近隣校でのアドボカシー活動である料理クラスでの手伝い、日系アメリカ人の市民権や人権の擁護などに取り組むJapanese American Citizens League(JACL、日系アメリカ人市民同盟)で毎週土曜日に行われている補習校でのボランティア、日本語教師勉強会への参加やそこでお会いした高校や大学の先生方の授業を見学させていただくなど、さまざまな活動を通して日本語教育の深さを学びました。

生徒とともに成長できた1年

1年目はとにかく目の前にある仕事や生徒とのやり取りに追われて、気づいたら日々が過ぎ去っていました。カリフォルニア州では日本語が多くの学校で教えられていることもあり、ありがたいことにさまざまな先生方の授業を見学させていただき、それをどのように派遣校で生かせるのか考え、実行に移すことに尽力しました。その一方で学校全体のイベントや引率、日本語クラス外での活動でも生徒とかかわる機会をたくさんいただき、一人ひとりの生徒に対して派遣当初とは違う、より良い関係を築くことができたと思います。LTからは、授業内容はもちろんのこと、生徒との向き合い方や接し方、境界線の引き方についても多くのことを学ぶことができました。1年目は私自身が学ばせていただいたことが多かった分、2年目は日本語クラスの生徒やコミュニティに対して私がどのように還元できるか考え、実行していきたいと思います。自分がリードできるクラスを増やし、私が日本に帰国した後も役立ててもらえるような活動やコンテンツを残したいです。そして1年目同様、日本語の生徒とクラスの中でも外でも信頼してもらえるような関係性を作り、彼らの日本語学習の助けになれるよう努力し続けたいです。

  • 福井県永平寺町にある大本山永平寺の坐禅体験を行っている大広間に参加者20名と1名司会者のような人物とお坊さんがいる。
  • 日本語の学習用教材や掲示物(ひらがな・カタカナ表、日本語の教科書「Adventures in Japanese」など)が置かれた教室。
  • 日本語の学習が行われている教室の様子。ホワイトボードやプロジェクターに例文が提示され、生徒が授業を受けている。
  • 着物を着た女性たちがテーブルを使った立礼式の日本の伝統的な茶道を行っている。
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