米国若手日本語教員(J-LEAP)14期生 年次報告書 「ルイジアナでの1年」
シャルメット・ハイ・スクール
近藤 愛奈
気候も人も温かい!ルイジアナ州
ルイジアナ州はアメリカの南部に位置し、ミシシッピ川やメキシコ湾に囲まれています。そのため、気候が温暖で、日本と同じくらい湿度が高いです。面積は全米で31位ですが、かつて「ルイジアナ」がフランス領だった時代は、現在の15州にまたがる非常に大きな領土でした。州の名前はフランスの王「ルイ14世」に由来し、今でも地名や食文化などに、フランスの名残があります。他にも、スペインやアフリカの影響があり、これらが混ざった文化や食事を「クレオール」と言います。
最大都市のニューオリンズは「Big Easy」という愛称で知られ、一年中食べ物やお祭りを楽しむ風土があります。また、「Southern Hospitality」と言われるのも納得、人がとても温かくフレンドリーです。
人種構成は白人と黒人が多くを占め、アジア人、特に日本人に会う機会は非常に少ないです。日本語教育の規模は小さく、地域の日本語教師会も存在しませんが、派遣校のほかに、日本語プログラムを提供している大学が数校あります。また、アニメなどのポップカルチャーや日本への旅行から、日本に興味を持ち、日本語を独学で勉強している現地の人も少なくないです。
シャルメット高校、ルイジアナ州唯一の日本語プログラム
派遣先のシャルメット高校は、ニューオリンズ郊外に位置する公立高校で、生徒数は約2,000人です。主要科目に加え、電気工学や溶接、調理、看護学といった職業訓練の科目も多数提供しており、専門職を目指す学生もいます。大学進学を目指す学生は、1年間の外国語学習が必須で、スペイン語、ラテン語、日本語の中から選択します。
ルイジアナ州で日本語を教えている高校は、現在シャルメット高校のみです。日本語を履修する学生は毎年30人程度で、教師はリードティーチャー(以下、LT)とアシスタントティーチャー(以下、AT)の2名です。例年、秋学期にJapanese 1(以下、J1)、春学期にJapanese 2(以下、J2)が開講されますが、2025年秋に、初めてJapanese 3(以下、J3)が開講されました。J1とJ3の混合クラスという形だったため、LTがJ1、ATがJ3を担当することで、習熟度に合わせた指導を実施しました。J3では、カリキュラムおよび教材の作成、授業運営、テストの作成・採点などを一通り担い、日々試行錯誤しながら、学生たちとともに授業を作り上げることができたと感じています。春学期はJ2をLTとATの二人で担当しました。学生たちの興味や状況にあった教材づくりに注力し、日本文化体験やプロジェクトも積極的に実施しました。新しい取り組みを寛容に受け入れてくださるLTに感謝しています。
日本を通して、人とつながる
この一年、学内のクラブや地域の図書館、近隣の小学校等で日本文化紹介を行いました。なかでも印象に残っているのは、学内で開催した「水引きワークショップ」です。日本人のアーティストをお招きし、約50人の学生と教員に、水引きのレッスンを無償で行っていただきました。参加者たちは「楽しくて貴重な経験だった」と話し、自分で作った水引きを大切そうに身につけていました。日本文化関連のイベントでは、「ありがとう」「楽しかった」と言ってくれる子どもたちに多く出会えて、大きな励みになりました。
大人向けの活動としては、地域で日本語練習会を開催しています。日本人は少ないですが、現地の日米協会であるJapan Society of New Orleansの活動は活発で、さまざまな日本に関するイベントが行われています。その一つであり、コロナ禍を機に中止されていた「Nihongo Renshuu」というグループを復活させ、2ヶ月に1回程度、練習会を設けています。老若男女、またどの段階の学習者でも、楽しく日本語を練習できるような場づくりを目指しています。熱心に日本語を勉強している方々とつながり、お話しできることを、毎回楽しみにしています。
一年目を振り返って
一年目は、輪を広げて、たくさんの人と出会えた一年でした。渡米前は、ルイジアナがJ-LEAPにとって初の派遣先であることや、南部に知り合いがいないことに不安を抱いていましたが、今では現地に大切な友達、同僚、学生たち、そして家族(ホストファミリー)ができました。生活の立ち上げはもちろん、これまで取り組んできたことは、周りのサポートがあってこそ実現したものです。残りの一年、周りの方々にできるだけ恩返しができるよう、自分にできることを模索し、新しいことにも積極的にチャレンジしたいと思います。
ルイジアナ州は、教育への関心が必ずしも高いとは言えませんが、進学や成績だけでなく、さまざまな目標を持つ学生がいます。学習意欲、興味分野も多様な中、より多くの学生が楽しめる授業づくりに、二年目は一層取り組みたいと思っています。学生たちにとって、日本語の授業が、少しでも視野を広げ、異なる言語や文化を学ぶ楽しさを知る機会になれば嬉しいです。いつか日本に住むことを夢見ている学生たちには、より日本を身近に感じ、将来日本を訪れるときに役に立つような知識や経験を共有したいと思っています。
- 事業内容を知るトップ
- 文化芸術交流[文化]
- 日本語教育[言語]
- 日本研究・国際対話[対話]
- JF digital collection
- 特別事業/周年事業等
- 顕彰事業
- 刊行物のご案内



