令和元(2019)年度 日本語指導助手レポート レベルアップしていく学習者とともに

日本美術技術博物館
上田 優花

私が派遣されている日本美術技術博物館(マンガ日本語学校)は、ポーランドのクラクフという町にあります。日本から遠く離れたポーランドですが、実は親日国として知られており、東欧で一番の日本語学習者数を誇る国です。これから、ポーランドでの日本語指導助手(以下、指導助手)の仕事をご紹介します。

教室から撮影したヴァヴェル城の写真
教室から撮影したヴァヴェル城

マンガ日本語学校

指導助手の主な業務は、学校での日々の授業を担当することです。マンガ日本語学校の特徴は、ポーランド人教師と日本人教師がチームティーチングを行うところで、ポーランド人教師が語彙や文法を導入し、日本人教師が練習や活動を担当します。学生は、中学生から社会人までと幅広く、平日の学校や会社が終わってから、または、土曜日に一生懸命日本語を勉強しています。現在(2019年春学期)は、初級から超級まで13クラス開講しています。私は、初級・中級・超級と様々なクラスを担当させてもらっており、なんと超級のクラスでは、学生の要望で古文を勉強しています。古文を勉強するほど、日本に興味を持って日本語の勉強を続けてくれる学生がいることをとても嬉しく思います。

授業のほかにも、コースデザインや授業報告管理、掲示物の作成、プレースメントテストなどを担当するのも指導助手の仕事です。コーディネーターの方と密に連絡を取りながら、全体ミーティングを行い、学校全体のことに関われることは、とても貴重な経験になっています。

マンガ日本語学校外での活動

ポーランドで行われる日本語教育関連のイベントに参加し、お手伝いをすることもあります。その中のいくつかを簡単にご紹介します。年に2回行われるJLPT(日本語能力試験)では、試験監督の補助を務めます。会場に集まった受験者を見て、本当に多くの人が真剣に日本語を勉強しているということを実感しました。私が派遣されて初めて参加したイベントはJAPAN BOWLでした。JAPAN BOWLは、高校生のクイズ大会で、日本についての幅広い知識や日本語能力を競います。マンガ日本語学校からは1組出場しましたが、難問を次々とクリアし、見事優勝しました。また、大きなイベントとして毎年、日本語弁論大会が行われます。大学・一般の部と高校生の部があり、指導助手は、大学・一般の部の質問係を任されます。弁論の内容や弁士が堂々と話す姿から、ポーランドの日本語学習者のレベルの高さを改めて実感しました。高校生の部の優勝者は、なんとマンガ日本語学校の学生で、これは学校初の快挙です。もちろん、優勝は彼女の努力の賜物ですが、学校の可能性を感じました。教室を飛び出して活躍する学生が今後もっと増えていくように、精一杯サポートしていきたいと思います。

第40回日本語弁論大会の写真
第40回日本語弁論大会

ポーランドの指導助手の派遣は、私で最後になります。最後の助手としてやるべきことをしっかりと考えて、行動していくつもりです。任期はまだ1年以上ありますので、いろいろなことを経験し、学び、それを少しでもポーランドの日本語教育に還元できるように、頑張ります。

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