令和3(2021)年度 日本語指導助手レポート タスマニアの初中等教育の現場から

シドニー日本文化センター(ホバート)
折原 有実

私が派遣されているタスマニアは、オーストラリアの州の1つで、九州より大きく北海道よりやや小さいくらいの広大な島です。そんなタスマニアで、私は各地にある学校を訪問し、日本語の教師や日本語を学ぶ生徒をサポートしています。

タスマニアでの活動

私の主な担当業務はタスマニア州内の小学校~高校を訪問し、日本語のプログラムや授業をサポートすることです。現地の教師とチームティーチングをしながら、生徒に日本語や日本文化を教えています。サポートの内容は様々で、会話見本や日本語の添削、教材作成、シラバスの相談などがあります。日本文化に関する授業を依頼されることも多く、これまで、茶道、書道、浴衣着付け、日本料理作り、侍、日本の行事等、色々なテーマで日本文化を紹介してきました。

オーストラリアで開催された指導助手による着付け教室の写真
Grade 9/10(中学3年生、高校1年生)のクラスで茶道・浴衣体験

新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン授業に移行した際(2020年3月~6月)は、オンラインで日本語の授業に参加したり、オンライン授業向けの動画教材を作成したりしていました。

現地教師会のサポート

現地の日本語教師会のサポートも業務の1つです。定期ミーティングに参加してイベントの運営について話し合ったり、教師会による州のスピーチコンテストで審査員を務めたりしています。Professional Learning(教師の勉強会)でワークショップを担当することもあります。

教師会にはホバート市を中心とした各地域の教師が参加しています。しかし、教師が多忙であること、地域間の距離が離れていることから、教師同士の繋がりがそこまで強くないのが現状です。地域を跨いで多くの学校を訪問している日本語指導助手として、私が教師間を繋ぐパイプになれたら良いと思っています。

シドニー日本文化センターでの活動

シドニー日本文化センターでの業務にも時折携わっています。同センターで年に2回開催される教師研修では、私もシドニーへ行き日本の流行を紹介するセッションを担当しています。(なお、2020年度の教師研修は新型コロナウイルス感染症の影響により中止。)また、定期ミーティングにオンラインで参加したり、オンラインセミナーの手伝いをしたりすることもあります。

2021年3月には、シドニー日本文化センターの方々がタスマニアを訪問し、共にTasmania Nihongo Roadshowという日本文化体験イベントを運営しました。こちらのイベントでは、1週間かけてタスマニアを横断し、運動会、よさこい踊り、風呂敷のワークショップを開きました。当イベントは現地の教師からも生徒からも大変好評で、イベントを終えたときには大きな達成感がありました。

タスマニアに単独派遣されてはいますが、上記のようにシドニー日本文化センターの方々と顔を合わせる機会があり、心強く思っています。更に、シドニーの上級専門家の方とは定期的にオンラインでミーティングをしており、業務に関して助言を頂いているので、安心してタスマニアでの業務に取り組むことができています。

書道の授業中に生徒が書いた「平和」の文字の写真
Harmony Day(3月21日)に書道の授業で書いた「平和」

今後の課題

タスマニア州内の学校を訪問し、「日本語」は外国語科目の中では人気がある言語だと感じる一方で、日本語(外国語)プログラム自体がなくなりそうな学校も見てきました。タスマニア州の日本語教育を充実させるためには、教師へのサポートもさることながら、学校や校長先生、保護者に対してのアドボカシーも必要なのではないかと考えます。残りの任期の中で、教師のサポートに加えて、いかに学校全体に日本語をアピールできるのかも考えながら日本語指導助手を務めていきたいと思います。

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