世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)トルコの日本語

土日基金文化センター
建木千佳

ネヴィシェヒルの日本語教育スタート

トルコには世界遺産が17あります。日本人にも人気の高いカッパドキアもその1つです。そのカッパドキアにほど近い所にあるネヴィシェヒル・ハジュ・ベクタシュ・ヴェリ大学(以下ネヴィシェヒル大学)が、2017年9月から日本語日本文学科の学生を受け入れています。記念すべき1回生は26名です。

去年の3月にネヴィシェヒル大学で、日本語日本文学科の宣伝を兼ねた書道ワークショップを実施しました。まだ日本語を学んでいる学生は1人もいませんでしたが、用意した座席があっという間に埋まるほどの大盛況でした。

ネヴィシェヒル大学の日本語授業の写真
ネヴィシェヒル大学の日本語授業

ネヴィシェヒルには在留邦人も数十名います。ときどき日本語の書籍を学科に寄贈してくださるそうです。今後は、ぜひ授業にもご協力いただき、学生の日本語実践の場を作っていければいいですね。日本語・日本文学の専門家でいらっしゃる先生方も授業は試行錯誤が続いているとのことですが、前期よりは後期、今年よりは来年と、内容はだんだん充実したものになってきているようです。在留邦人の皆様の協力を得て、学科を育てていきましょう。2018年5月現在、学生の有志が日本文化倶楽部を作りました。目下会員募集中ですが、すでに20名以上集まっているそうです。きっと来年は、大学内で日本文化の紹介や体験ができるようになると思います。その時には、在留邦人の皆様、ご協力、よろしくお願いいたします。

2015年7月のクーデター以降、日本からの観光客が減ってしまったトルコでしたが、ようやくカッパドキアでも日本人観光客を乗せた大型バスが走るようになりました。近い将来、ネヴィシェヒルで日本語を勉強した人が、カッパドキアのすばらしさを案内するガイドになって皆さんの前に現れるかもしれませんね。

イスタンブールでの日本語能力試験実施

トルコでは、日本語能力試験(以下JLPT)の受験申込をオンライン化しました。申込の簡素化が申込者数の増大につながり、2017年からは年1回だった実施を2回に増やしました。2018年7月からは、首都アンカラと最大都市イスタンブールの2か所で受験が可能になります。イスタンブールは7月試験のみですが、アンカラは12月にも実施します。

2018年7月のJLPTには 700名を超える申込がありました。アンカラは280余名で、従来通りN2レベルが最多でした。イスタンブールは420余名の6割弱がN4とN5レベルでした。また、遠くはヨルダン、バーレーン、イラクからも応募がありました。皆さん、合格目指して頑張ってください。

あこがれの日本

トルコでは、日本とは縁のない学校でも、ネットで知り得た情報をもとに、「ジャパンフェスティバル」を実施しているところがあります。日本人から見れば、その内容に首をかしげるところもありますが、彼らの日本に対するあこがれは十分伝わってきます。

学生たちが桜の枝を作っている写真 詳細は以下
ヤシャム・タサルム高校の桜の枝作り

2年前から選択外国語として日本語教育を始めたヤシャム・タサルム高校は、日本人が1人もいない地中海沿岸のアランヤにあります。アランヤはドイツ人観光客が多く、冬はクリスマスマーケットがあります。生徒達はまだ日本語であいさつができる程度ですが、クリスマスマーケットにブースを出し、日本を紹介しようと頑張りました。また、校内では、タイ人の板さんに寿司を教えてもらい、自分で握ってみたそうです。生徒の皆さん、いつかきっと日本に行くチャンスが来るでしょうから、それまで日本語の勉強を続けましょう。

土日基金文化センターは、今後もトルコ内外で日本語を勉強している人達を応援していきます。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Turkish Japanese Foundation Culture Center
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
トルコにおける日本文化紹介、文化交流の中心となるべく設立された機関。設立時に日本からの支援で、視聴覚機材が寄贈され、多目的ホール、セミナーホールにて各種文化事業が行われている。
専門家は土日基金文化センター内の日本語講座、日本語能力試験他日本語関連イベント企画・運営、及び日本語教育機関への支援を行う。
所在地 Ferit Recai Ertugrul Cad.2 Oran Ankara 06450 Turkey
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
土日基金文化センター日本語講座
日本語講座の概要
What We Do事業内容を知る