日本語専門家 派遣先情報・レポート
モンゴル日本人材開発センター
派遣先機関の情報
- 派遣先機関名称
- モンゴル・日本人材開発センター
- Mongolia-Japan Center For Human Resources Development
- 派遣先機関の位置付け及び業務内容
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- (1)JF講座としての日本語コースの企画・運営支援及び副教材の開発修正支援
- (2)日本センター講師・非常勤講師対象の日本語教育専門研修の実施
- (3)日本語教師向け講座の実施
- (4)地方の日本語教育機関の情報収集を含むモンゴルにおける日本語教育状況の把握
- (5)モンゴル日本語教師会との連携を通じての日本語教育関連事業の支援、および日本語教育ネットワーク形成支援
- (6)「特定技能」制度開始に伴うモンゴルの日本語教育拡充及び国際交流基金日本語基礎テストに関する理解促進
- 所在地
- Mongolia-Japan Center Building,Uraanbaatar, Mongolia
- 国際交流基金からの派遣者数
- 専門家:1名
- 国際交流基金からの派遣開始年
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沿革 講座(業務)開始年 2002年 国際交流基金からの派遣開始年 2002年 コース種別 日本語総合、漢字、子ども向け、教育講座など 現地教授スタッフ 常勤7名(うち邦人1名)非常勤6名(うち邦人3名) 学生の履修状況 履修者の内訳 中高大学生、社会人 学習の主な動機 日本留学、日本文化に対する興味関心、将来の就職 卒業後の主な進路 進学、留学 卒業時の平均的な
日本語能力レベル(総合6修了時)B1程度 日本への留学人数 年間数名
「再興、モンゴル!」:これからの日常へ
モンゴル・日本人材開発センター
三本智哉
2021年4月から2022年3月までの所属機関とモンゴルの日本語教育における主な出来事をご紹介します。
2回のスピーチコンテスト
2020年11月から延期となっていた第26回学校対抗スピーチコンテストが2021年5月に開催されました! 司会と審査員のみが会場に集まり、本選参加者(高校の部:10名、大学の部:10名)はオンラインで素晴らしいスピーチを届けてくれました。大学の部のテーマは「命」、高校の部のテーマは「どうして?と思うこと」。初めてのオンライン開催・初めてのライブ配信でしたが、大きなトラブルなく行うことができました。
また、2021年11月には例年通りの時期に第27回の学校対抗スピーチコンテストも行われ、本選参加者も会場でスピーチを行うことができました(観客は来場せずにライブ配信のみ)。来年度こそは観客も来場できることを願っています。
透明パーテーションを設置して対面授業
人数制限の中対面で行われた秋コース
2021年の秋コースはコロナウイルスの影響からさまざまな事態を想定しながらも、対面で行うことができました! 部屋の広さに応じて定員に制限をかけ、透明なパーテーションを教室の机に設置しました。少し不便はあるものの目と目を合わせてのコミュニケーションができることのありがたさを講師・学習者ともに感じているようでした。
もし感染者や濃厚接触者が生じた場合、2週間オンラインに切り替えるなど、春コースでの経験や教材を活かして、自信を持ってどのような事態にも対応できるしなやかさを備えたコース運営ができました。
初中等教員研修2022(オンライン)
2022年1月、第3回目となる初中等教員研修をオンラインで実施しました!(3時間×5日間、参加者43名)。当初は地方教員6名に向けた小さな研修会でしたが、第2回をオンラインで行ったことで地方と首都ウランバートルの教員同士をつなぐ会になりました。その大切なネットワークを継続強化するため今回もオンラインで行うことにしました。
「楽」をテーマに、文型理解の支援、漢字の教え方、ライティング、異文化理解の4つの項目について体験的に学び、より効果的・楽しい教え方のアイディアを得ることを目標にしました。また教員同士のつながりの強化を大きな目標の1つとし、ブレイクアウトルームでのグループワークをふんだんに取り入れたことで、笑顔の多い楽しい研修会になったと思います。
第14回 日本語教育シンポジウム
2022年3月5日(土)に第14回日本語教育シンポジウムが行われました! モンゴル日本外交関係樹立50周年とモンゴル・日本人材開発センター開設20周年という節目の年の開催となり、大使館からは小林大使が、センターからはダワードルジ所長がご挨拶くださいました。
午前中の基調講演では、京都大学高等教育研究開発推進センターの田口真奈先生が「日本語教育におけるコースデザイン:ICT教育の展開と教師の役割」というタイトルでコースデザインの基本的な理論とこれまでのICT教育の概観についてお話してくださいました。
午後は、1)高等教育機関、2)初中等教育機関、3)語学センターの各代表が「コースデザインの現状やオンライン授業での課題など」について発表を行いました。
報告者も最後に総括として、「これからモンゴルの日本語教育関係者の皆さんで考えていきたい3つのポイント(「コースデザインにおける目標と評価」「授業デザインでの効果的なICT利用」「学習者の自主性・自律性を育むための足場かけと足場外し」)」について述べました。
講演や発表後の質問も多く、「ポストコロナ時代に向けた語学教育におけるICT活用」というテーマへの関心の高さがうかがえました。またその後の懇親会でも熱心な交流がなされ、モンゴルにおける日本語教育の一体感が増したイベントとなりました。
第14回日本語教育シンポジウム総括
「特定技能」制度開始に伴うモンゴルの日本語教育拡充支援
派遣先機関は国際交流基金からの受託事業として「特定技能」制度開始に伴うモンゴルの日本語教育拡充支援を行っています。2021年度は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)がモンゴルで6回行われました(計355名が受験、157名(44.23%)が合格)。テストの概要や注意点が理解できるよう受験者や教師に対して「ガイダンスセミナー」を6回(主にオンラインで)開催しました。
また、国際交流基金が作成した日本語学習テキスト『いろどり』入門(A1)のモンゴル語版を2021年9月に完成させました。これでシリーズが3冊そろったことになりますが、これらを使って日本語教師を対象とした『いろどり』教授法研修(15時間)を2回行いました。(1)学習者としての『いろどり』体験とふり返り、(2)チームでの模擬授業の準備と実践を通じて新しい教科書の教え方を理解し、参加者同士のネットワークも拡がったようです。
その他、2022年3月に外国人人材の専門家によるワークショップ:「日本で働く外国人が出会う文化ギャップとミスコミュニケーション」をオンラインで開催し、具体的な事例を踏まえて、モンゴルの日本語教師や送り出し機関の関係者として何が出来るかを共に考えました。