世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)あつい!!!デリーの日本語教育
ニューデリー日本文化センター
武井康次郎・若菜結子・奥山寛
アニメ・コスプレイベントの開催
みなさん、インドで一番知られている日本のアニメは何だと思いますか?
正解は・・・ドラえもんです!
どうしてドラえもんがインドの人たちによく知られているかというと、それはインド全国でドラえもんがテレビ放送されているからなんです。インドでは老若男女を問わず、誰でもドラえもん(ちなみにインドでは、ドラえもんの名前は「ドレモン」と発音されます)のことは知っていますし、デリーのローカルマーケットに行くと、ドラえもん(っぽい雰囲気の謎のキャラクター?)のお面やぬいぐるみが道端で売られているのをよく目にします。
インドで知られている日本のアニメはドラえもんだけではありません。インドの多くの家庭には衛星放送が普及しており、たくさんあるチャンネルの中のアニメ専門チャンネルでは様々な日本のアニメ、例えば、忍者ハットリくん、クレヨンしんちゃん、ポケットモンスターなどなど...が毎日朝から晩まで放送されています。また、デリーでは最近、インドでテレビ放送されていない日本のアニメにも精通している、通称「アニメオタク」の数も増えています。彼らの情報源はもちろんインターネット。最新の日本アニメをリアルタイムでチェックしている彼らの知識は生半可なレベルではありません。
さて、ニューデリー日本文化センターの日本語講座では、そんなアニメオタクたちの飽くことなき欲望を満たすため、2016年3月にアニメ・コスプレイベント「オタクイズム」を開催しました。イベントは、①アニメのコスプレの小道具を作るワークショップ、②コスプレのテクニックに関するレクチャー、③アニメで学ぶ日本語、の3部構成で行われました。①、②はムンバイからこのイベントのために招いたインド人コスプレイヤーが講師を担当、③は当センターのJF講座スタッフ一同で担当し、日本のアニメに関するクイズ大会、簡単な日本語レッスン、アニメソングのミニライブなどを行いました。イベントには当センターの日本語講座の受講生たちに加えて外部からも大勢の来場客が訪れ、大変な盛り上がりでした!
当センター職員によるコスプレ
先生たちも勉強中!
ニューデリー日本文化センターでは、上記のような日本語講座の他に、高校の日本語の先生を対象に「みんなの日本語ブラッシュアップコース」を開講しています。
先生方が日本語を教える上で日本語能力に自信がないというのをよく耳にします。また、デリーの高校では9年生(日本でいう中学校3年生)から「みんなの日本語」が使用されているので、教科書を理解し、生徒に教えなければなりません。先生方が日本語を学べる場、その名のとおり、ブラッシュアップが本コースの目的です。主に教師経験の浅い高校の先生方が受講しています。授業では学生として参加。ノートをとり、会話練習にも積極的です。試験のときは真剣そのもの!合格できるように直前までテスト勉強する様子が見受けられました。
今まであまり接点のなかった方々も、本コースのために集まることで、仲良くなり、情報交換し、よい関係づくりの場にもなっています。
先日のコース修了の際には、各自で料理を持ち寄り、パーティーを開いてくれました。働きながら勉強するのは大変だったと思いますが、「もっと勉強したい」と前向きな意見をくださる受講生の方々には、ただただ感心します。
また、本コースを受けて「自分の授業でもこのように教えたい」「来学期から教え方を変えたい」と言ってくれる方もいました。日本語を学習するだけではなく、教え方にも注目して授業を受けるのは、さすが先生ですね。ぜひ、高校の授業で使っていただきたいです。日本語を勉強しながら、教え方も学べる一石二鳥なこのコース。来学期も開講予定です!!
ブラッシュアップコース修了の記念写真
派遣先機関名称 | 国際交流基金ニューデリー日本文化センター |
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The Japan Foundation, New Delhi | |
派遣先機関の位置付け 及び業務内容 |
インド及び周辺の南アジア諸国における日本語教育支援・普及を目的としている。具体的な業務としては、(1)インド国内外での巡回セミナー、勉強会、コンサルティングなどを通じた日本語教師や日本語教育機関への支援・協力 (2)初等・中等学校への日本語導入のためのプロモーション、行事への参加 (3)初等・中等学校に所属する現職教師の研修及び新教師養成、情報通信技術を利用した日本語教育の導入推進 (4)JF講座の運営、講座担当講師の育成など多岐にわたる。 |
所在地 | 5-A, Ring Road, Lajpat Nagar-Ⅳ, New Delhi, 110024, India |
国際交流基金からの派遣者数 | 上級専門家:1名、専門家:2名 |
国際交流基金からの派遣開始年 | 1999年 |