世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)わたしたちの仕事

ニューデリー日本文化センター
小西広明・若菜結子・モーリス歩

国際交流基金ニューデリー日本文化センターには、日本語教育専門家が3人働いています。3人で一つの仕事をすることもありますが、それぞれ担当が分かれています。ここではそれぞれの仕事を紹介していきたいと思います。

こんにちは。上級専門家の小西です。私はインド北部、東部、東北部の高等教育機関、民間教育機関を担当しています。またもう一つ、南アジアにある周辺国支援も私の担当業務になっています。今日はこの周辺国支援をご紹介します。

インド周辺の南アジアには、バングラデシュ、ブータン、ネパール、スリランカ、パキスタン、モルディブの6つの国があります。どこの国にも日本に興味を持ち、熱心に日本語を勉強している人たちがいます。私たちはこうした人たちの勉強の役に立ちたいと考えています。

ブータンでの日本語能力試験模擬試験の画像
ブータンでの日本語能力試験模擬試験

ナマステ!専門家の若菜です。私はインドの北部、東部の初中等教育の担当です。今日は担当業務について少しご紹介します。

インドには約60校の初中等教育機関で日本語が実施されており、その多くは首都デリーに集中しています。初中等の先生たちはニューデリー日本文化センター(JFND)主催の日本語教育ワークショップに積極的に参加しています。そんな先生たちが、自主的に教授法や日本語を学びたい、教師ネットワークを強化したいと教師会を結成したのが数年前・・・。昨年、無事教師会の登録もされ、本格的に活動を開始しました。先日の勉強会では、日本文化(ふろしき)とスピーチについてワークショップが行われ、先生たちから現場で使えそうないろいろなアイディアがでてきて、活発なディスカッションにもなりました。このような教師会が企画した勉強会やイベントが円滑に進むよう、サポートするのが専門家の業務の一つです。(若菜)

初中等日本語教育勉強会の画像
初中等日本語教育勉強会!スピーチ作成にチャレンジしました!

一気に広がる“まるごとの輪”に期待

去年の9月に着任したJF講座担当のモーリスです。2011年から当センターにて開講されたJF講座も今年で6年目になりました。毎学期200名近くの学習者が熱心に日本語を学んでいます。日本へ行ったことがない学習者も豊富な写真や動画の教材を使って今の日本を知り、一人でもネットを使って学習できる『まるごと』ですが、実際に教室で学んだ日本語が共有できるクラス活動はライブ感たっぷり。話すことが大好きなインド人学習者のニーズに合っているようで、毎回受講希望者が多いのが特徴です。

そしてこの春、念願のコースブック『まるごと』入門(A1)「かつどう」/「りかい」がゴヤル社より現地出版されました。現地価格で入手しやすくなりインド国内の学習者数も今後増加が期待されます。また今年は日印文化協定発効60周年で記念事業も多く、日本への注目もますます高まりつつあります。日本語教育についても今まで筆者は主にニューデリーでの日本語講座や特別講座などを担当していましたが、今後は『まるごと』普及広報として積極的にインドの主要地域へ出向き、ワークショップやセミナーを実施する予定です。インドの学習者が『まるごと』を使って日本人の、さらに日本語を学習している世界の友達を増やす楽しいテキストとして利用していただけるよう、これからも“まるごとの輪”をフルスロットル!?で広げていきます。(モーリス)

節分の日の講座の画像
まるごとを使ったJF講座で節分の日に豆を投げて楽しみました!

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, New Delhi
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
インドおよび周辺の南アジア諸国における日本語教育支援・普及を目的としている。具体的な業務としては、(1)インド国内外でのワークショップ、勉強会、コンサルティングなどを通じた日本語教師や日本語教育機関への支援・協力(2)初等・中等学校での日本語普及のためのプロモーション、行事への参加(3)初等・中等学校に所属する現職教師の研修および新教師養成、情報通信技術を利用した日本語教育の導入推進(4)JF講座の運営、講座担当講師の育成など多岐にわたる。
所在地 5-A, Ring Road, Lajpat Nagar-Ⅳ, New Delhi, 110024, India
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名、専門家:2名
国際交流基金からの派遣開始年 1999年
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