世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)国際交流基金ニューデリー日本文化センター(JFND)の仕事

ニューデリー日本文化センター
小西広明、井元麻美、モーリス歩、酒見志奈子

インド北部、東部、北東部のこと

インドは国土面積が広いため、このレポートも北部、南部、西部の3カ所に分けて執筆しています。本稿の担当は北部ですが、実は北部には、インド東部、北東部も含まれています。

東部は西ベンガル州を中心としたオディッサ州、ビハール州などです。わたしたちは西ベンガル州の州都であるコルカタで、年に1回12時間の教師研修を行っています。ベテランの先生方が多い地域ですが、なかなか日本語を使用する機会がないところですので、研修もその実態を踏まえたものを考えています。またコルカタから北に200キロほど行ったところにあるシャンティニケタンという街にビシュババラティという大学があります。ノーベル賞を受賞したタゴール氏が創設した大学で、インドで最も早く日本語クラスが開かれたところでもあります。ここでも私たちは年に1回30時間の教師養成コースを開いています。大学の学部3年生や院生を中心に日本語を教える基礎を学びます。

北東部はコルカタからバングラデシュをはさんでさらに北東部にある一帯で、北東7州と呼ばれています。マニプール州のインパールは日本人にもなじみ深い街だと思います。マニプール大学では2018年から日本語コースが始まりました。また州の教育大臣は中等教育機関でも日本語コースを始めたいと言っています。今後日本語を学べるチャンスがどんどん増えてくることと思います。

初中等教育で日本語を!Swagatam JFND

こんにちは。専門家の井元です。初中等教育を担当しています。担当業務の中の1つである“Swagatam JFND(ようこそJFNDへ)”を紹介します。

インドの初中等教育機関では、日本語が正規科目やクラブ活動として実施されています。しかし、まだ日本語を実施していない機関も多くあります。そこで日本語プロモーションの1つとしてSwagatam JFNDがあります。もちろん既に日本語を実施している機関も対象としています。既に日本語を実施している機関は、日本語学習のモチベーションの継続や社会見学の場所の1つとなっています。

日本語クイズに答える学生の写真
Swagatam(日本・日本語クイズに答える学生)

書道、盆踊り、浴衣、折り紙、剣玉づくり、日本語で挨拶など内容は様々です。先日は来印された書道の先生に講師をしていただき書道を行いました。春と言えば「桜」ということで何度か練習した後、カレンダーに清書をして自分だけのカレンダーが完成しました。「桜」という1文字ですが、生徒の個性が表現されたいいカレンダーになりました。

この業務で少しでも「学校で日本語の授業やクラブ活動を始めたい」「日本語の勉強を続けたい」と思ってもらえるようにこれからも頑張りたいと思います。

インドを超える『まるごと』の輪

「ナマシュカール!」JF講座担当のモーリス歩です。『まるごと 日本のことばと文化』を広めるためにインドのあちこちでワークショップを行ってきました。今までは使ってみたいけど手元になく、入手が困難なテキストを紹介するジレンマがありましたが、任期中に現地出版化も好調に進み、今はA2-2までインドで買えるようになりました。テキストがあれば今度はそれを使って教えられる教師を育てようということで、『まるごと』使用機関が多いチェンナイからガヤトリさん、ギータさんのお二人が集中研修を受け、無事に修了しました。家族と離れ、仕事を休んで2週間の研修に参加し、クラス見学や実習など熱心に取り組むお二人は他の講座の講師にもとてもいい刺激になりました。2日間のワークショップでは伝えられない『まるごと』の教え方や疑問点などもリアルにわかったことが大きな収穫だったそうです。2019年度はネパールや、バングラデシュからもデリーの講座への研修参加を予定しております。またe-ラーニングの「みなと」でも『まるごと』の教え方の第一歩となるチュートリアルの講座も開講予定です。「まるごとの輪」はますます広がっていくことでしょう。

チェンナイから研修に来た教員志望者の写真
チェンナイから研修にきたガヤトリさん(左)、ギータさん(右)

めざせ日本語教師! 

みなさん、こんにちは。私たちは5年間に1000人の日本語教師を育てるべく、日本語教師育成センターで働いています。2017年9月14日、安倍首相がインドを訪問し、日印共同声明を発表したことがきっかけで、このセンターが設立されました。私たちの目的は日本語が教えられるインド人教師を増やすことです。日印の交流を深め、産業協力をより強くしていくことが日印両政府から期待されています。

今回は初めて日本語を教える人を対象とした、コースAについて紹介したいと思います。

コースAは3か月間毎日授業が行われます。音声、文字・語彙、文法などの日本語教授法について、新しく学ぶことがたくさんあります。また、浴衣の着付けや盆踊りなどの文化体験授業なども行います。そして、コースの最後には、教壇に立ち、本物の学生を対象に授業を行います。今まで学生だった受講生たちは、このコースでは教師として考え、行動することが求められます。

コースAはグループ活動が多いです。日本語の知識があって、上手に授業ができればいい教師になれると考えている受講生もいます。しかし、私たちは協調性や忍耐力といった能力の大切さも知ってもらいたいと考えて、このようなコースデザインにしました。

自分自身で考え、行動できる教師になってほしいという願いを込めて、私たちは日々受講生たちと接しています。

将来インドで、学生達の夢をサポートできる日本語教師達がたくさん活躍する日が来ることを祈っています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, New Delhi
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
インドおよび周辺の南アジア諸国における日本語教育支援・普及を目的としている。具体的な業務としては、(1)インド国内外でのワークショップ、勉強会、コンサルティングなどを通じた日本語教師や日本語教育機関への支援・協力(2)初等・中等学校での日本語普及のためのプロモーション、行事への参加(3)初等・中等学校に所属する現職教師の研修および新教師養成、情報通信技術を利用した日本語教育の導入推進(4)JF日本語講座の運営、講座担当講師の育成など多岐にわたる。
所在地 5-A, Ring Road, Lajpat Nagar-Ⅳ, New Delhi, 110024, India
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名、専門家:3名
国際交流基金からの派遣開始年 1999年

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