日本語専門家 派遣先情報・レポート
アイルランド教育省

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
アイルランド教育省
Department of Education, Ireland
(PPLI: Post-Primary Languages Ireland)
派遣先機関の位置付け及び業務内容
PPLIはフランス語とドイツ語に加え、新たに4つの外国語(日本語、イタリア語、スペイン語、ロシア語)の促進を目的に2000年に設立された。現在ではポーランド語、リトアニア語、ポルトガル語、中国語、ルーマニア語、韓国語も加わり、アイルランドにおける初等教育以降の現代外国語教育発展のために支援を行っている。国際交流基金日本語専門家は日本語教育アドバイザーとして高校の日本語教育支援を中心に、アイルランドの日本語教育全般のサポートを行っている。
所在地
Floor 5, The Liberty Insurance Building, Navan Road, Dublin 15 Ireland
国際交流基金からの派遣者数
専門家 1名
国際交流基金からの派遣開始年
2005年

新しい試み

アイルランド教育省
鵜飼香奈子

新型コロナウィルスが猛威を振るう2021年11月にアイルランドはダブリンに赴任しPost-Primary Languages Ireland(以下、PPLI)という機関で働き始めました。PPLIは中学、高校における外国語教育普及を目的とし、アイルランド教育省によって設立されました。国際交流基金(以下、JF)の日本語専門家(以下、専門家)はPPLIの一員として業務にあたっています。赴任して4ヵ月経った現在、特に印象的だった2つのことについてご紹介したいと思います。

新しい働き方

私が赴任した11月当初、アイルランドでは新型コロナウィルスの規制がまだ厳しかったため、オフィスへの出勤は認められておらず基本在宅にて業務を行っていました。PPLIチームでの会議や情報共有などのやり取りは全てMicrosoft Teamsで行われ、同僚とは直接会うことが叶わぬまま新年を迎えました。年が明け、2022年1月22日よりほぼ全ての規制が撤廃、赴任後初めてPPLIのチームメンバー全員で全体会議を実施することができました。これまでパソコンの画面を通して毎日顔を見ていたので、昔からの知り合いに久しぶりに会うようなとても特別な感覚でした。ただ休み時間には同じプロジェクトに携わっている同僚とちょっとした情報交換をしたり、アイルランドでの生活について教えてもらったりと対面でのコミュニケーションだからこそ話しやすいこともあるんだとつくづく実感しました。

会議出席者の集合写真
赴任後初PPLI全体会議、PPLIチームメンバー全員と

規制は全て撤廃されたものの、今後も毎日オフィスへ出勤することは想定されていません。必要があればいつでもオフィスへ行くことができますが、基本的には週1、2回オフィスで働き、他は在宅勤務が続くようです。今後は様々な機関で良いところ取りの新しい働き方が浸透していくのかもしれません。

小学校での日本語

2021年5月、アイルランド教育省が小学校での外国語教育サンプルコースの導入を発表しました。学校やその地域で使われている多様な言語や文化への気付きを促すことを目標とし、期間は6週間にわたり、1週間に1時間合計6時間、対象は小学校3年生から6年生とまさにお試しコースです。日本語を含む様々な外国語、及び、アイルランド手話の中から学校が1つ外国語を選ぶことができ、PPLIが学校との調整やクラスを担当する先生方のサポートをします。フランス語やスペイン語等のヨーロッパ言語が人気な中、日本語を選択した小学校がダブリン市内にあるということで、早速クラスに伺いました。

この学校では4年生が日本語を勉強しています。訪問した日はコースも中盤の3回目。教室に入ると数名の生徒が「おはよう」と挨拶してくれました。クラスの最初には名前を聞く歌をみんなで歌いながら、上手に自分の名前を答えていました。それからアイルランドや学校、アニメのキャラクター、自分の名前をカタカナで書く活動をしました。約25名の生徒が元気よく先生に質問し、自分の名前を誇らしそうに書いているのがとても印象的でした。

授業を行っている教室の写真
真剣に説明を聞く生徒たち

JFの専門家としては、今回の授業を担当してくださった先生とコースが始まる前に簡単なシラバスや教材について相談をし、PPLIや学校とのコミュニケーションが円滑に進むようにサポートを行いました。コースが始まってからは実際に学校を訪問し、クラスを見学すると共に校長先生や担当教員から学校としての取り組みや生徒の変化等について伺いました。

アイルランドでは新型コロナウィルス規制の撤廃後、春を迎えるとともに社会全体が活気づいているように感じます。これまでは難しかった学校訪問や対面でのイベント等、積極的に行っていきたいと思います。

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