世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)2016年~2017年 三つのニュース

カンボジア 王立プノンペン大学
日本語専門家 立花秀正

まず、2016年~2017年の学生数は下記のとおりである。
4年生 85名(男:35名、女:50名)、3年生127名(男:63名、女64名)、2年生126名(男:62名、女:64名)、1年生189名(男:80名、女:109名)、日本に留学中33名(男:18名、女:15名)、合計560名(男:258名、女:302名)

次に、2016年~2017年の三つのニュースをご紹介する。

新校舎落成

新校舎の画像
新校舎

2016年~2017年の一番大きいニュースは日本語学科の新しい校舎が完成したことである。9月に教室、教員室が引越しをした。

建物は3階建てで1階と3階に教室がそれぞれ3つずつ、2階に研修室、教員室、学科長室、倉庫がある。そして各階にトイレがある。6つの教室には扇風機はあるが、エアコンはついていない。3階の教室は仕切りを取り外せば一つの大きい部屋となるので、行事があるときに使用している。

実はこの校舎は、日本語教育に大変理解がある日本人実業家のご寄付によって建てられたものである。教員一同、学生一同心から感謝している。

新校舎ができて、良くなった点がある。

以前は外国語学部の他の学科と教室を共同で使用していたので、自由に使うことができなかった。そのため、時間割や学科の行事のスケジュールを組むのに大変苦労した。

以前は3階の教員室と教室が大分離れていたので、教室へ行くのに8分位かかることもあった。しかし、今はすぐ隣なので、教員と学生双方にとってとても便利になった。学生たちが質問があるとき、すぐ教員室に来られるようになった。

以前の教員室は暗くて、昼間でも蛍光灯を点けなければならなかったが、今は窓から十分光が入るので、気持ちよく仕事をすることができる。

6つの教室にプロジェクターが備わっているので、授業の時にすぐ利用できる。

しかし、いいことばかりではなく、不便になったこともある。教員室に印刷機とコピー機がないので、授業で使用するプリント類は毎日、印刷室に依頼している。以前は印刷室が近かったが、今は歩いて4~5分かかるようになった。しかし、「教師の健康のためには、これもいいこと」とプラス思考をしている。

日本語学科運動会

運動会のラジオ体操の画像
運動会のラジオ体操

これまで紹介されていなかったので、「日本語学科の運動会」をご紹介する。今年度は2016年11月20日(日曜日)に実施された。この行事は6年前から続いており、学科の年中行事の一つとなっている。

ラジオ体操から始まって、50メートル競走、三人四脚、綱引き、玉入れ、障害物競走、大縄跳び、台風の目(4人一組で棒をつかみ、コーンの周りを回りながら競争する)、カンボジアダンスなどの競技、アトラクションを行った。

JICAの青年海外協力隊隊員がアジアの国々で、スポーツ指導をしている。運動会やスポーツ大会の活動を
通して、現地の青少年たちに共同作業の大切さを理解してもらうのがその目的だと聞いたことがある。日本語学
科の学生たちもその真髄を理解してくれているようである。しかし、今回までは、その準備を教員が中心になって行ったが、もうそろそろ学生が主体となって行うようになってもらいたい。そうすれば、もっと学生の成長につながるだろう。

研修旅行

これは学科創設時から行われている。4年生の学生と教員が同じバスでカンボジア国内の一つの町へ二泊三日で行くもので、研修と親睦を兼ねている。これまでにラタナキリ、モンドキリなどへ行っている。

今年度は2017年4月にタイとの国境の近くにあるコッコンという町を訪れた。コッコンはプノンペンから西へ直線距離で約240kmのところにあり、バスで約6時間かかる。私は2016年9月に着任し、7か月しかたっていない時期だった。この旅行のいいところは、それまで授業の時に顔を合わせていても、あまり言葉を交わしたことがなかった学生と親しく話をする機会が持てたことである。今まで知らなかった学生たちの新たな一面を発見した思いがした。

旅行の途中で、日本語教育を実施している高校へ日本語の教科書を届けたり、タイとの国境ではカンボジア人教員と学生たちが1時間ほどタイ側に入国し、タイの市場見学をした。少しは見聞が広がったことと思われる。旅行後、学生たちがこれまで以上に向こうから寄ってくるようになり、授業が旅行前よりも活発になった。

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