日本語専門家 派遣先情報・レポート
王立プノンペン大学
派遣先機関の情報
- 派遣先機関名称
- 王立プノンペン大学
- Royal University of Phnom Penh
- 派遣先機関の位置付け及び業務内容
- 王立プノンペン大学は、カンボジアの国立高等教育機関の中で最大の総合大学で、日本語学科は日本語を主専攻とする4年制の学士課程である。学科は学生の教育を行うにとどまらず、さくらネットワークの中核メンバーとして「日本語・日本文化普及キャラバン」を主催するなど、カンボジア全土への日本語普及活動を行っている日本語教育の中心的存在である。専門家は学科での教授・学科運営への助言・現地教師育成、各種日本語普及事業への支援を行う。
- 所在地
- Department of Japanese, Institute of Foreign Languages, Royal University of Phnom Penh, Russian Federation Boulevard, Phnom Penh, P.O.Box416, Cambodia
- 国際交流基金からの派遣者数
- 専門家:1名
- 日本語講座の所属学部、学科名称
- 外国語学部日本語学科
- 日本語講座の概要
-
沿革 講座(業務)開始年 2005年 国際交流基金からの
派遣開始年2005年 コース種別 主専攻 現地教授スタッフ 常勤8名 非常勤7名(うち邦人6名) 学生の履修状況 履修者の内訳 1年生 105名 2年生 143名
3年生 95名 4年生 124名学習の主な動機 就職や留学のため 卒業後の主な進路 日系企業、NGO、通訳・ガイド、日本語教師 卒業時の平均的な
日本語能力レベル日本語能力試験N3程度 日本への留学人数 2021年度の留学:6名
『いろどり』授業サポートプログラム
王立プノンペン大学
松田朋子
王立プノンペン大学派遣の日本語専門家は、2019年度より「外国人材日本語事業」関連の業務を兼任しています。主な業務内容は、「特定技能1号」で来日を希望するカンボジア人が、日本での生活・就労に必要な日本語を円滑かつ効率的に習得できる日本語学習環境の整備を行うことです。そのため、王立プノンペン大学での業務と並行して『いろどり 生活の日本語』(以下、「いろどり」)や国際交流基金日本語基礎テスト(以下、「JFT-Basic」)の普及のための業務を行っています。
●「いろどり」授業サポートプログラム
2020年度は、カンボジアにおいて「いろどり」を広く知ってもらうための広報活動に力を入れ、多くの方に「いろどり」を知ってもらうことができました。2021年度は「いろどり」を導入している日本語教育機関を対象に、より積極的なサポートをするため、登録制のプログラムを実施しました。プログラム内容は、大きく分けて「教師向け研修」と「授業用マテリアル配布」の2つです。教師向け研修では、「いろどり」の導入・使い方研修の他に、模擬授業、先生たちに学生になったつもりで参加してもらう「いろどり」授業体験などを実施しました。マテリアルは、改良を重ね軽く持ち運びやすくなった「いろどり」の製本や、オンライン授業ですぐに使えるスライド、課ごとのまとめテストや漢字テストなど、プログラムメンバー限定で配布を行い、授業に役立ててもらいました。このプログラムは、2021年度のみの実施とし、2022年度は研修や授業マテリアル配布を広く一般に向けて行う予定です。
研修風景
●JFT-Basicセミナーの実施・紹介動画制作
残念ながら、カンボジアにおけるJFT-Basicの受験者数は多くありません。まずはJFT-Basicをもっとよく知ってもらうため、2021年度は定期的にセミナーを実施しました。セミナーでは、JFT-Basicと日本語能力試験(JLPT)の違いや、サンプル問題の詳しい解説、申し込み方法の手順など、これから受験を考えている人になくてはならない情報をぎゅっと盛り込み、クメール語通訳付きで行いました。また、このセミナーをもとにJFT-Basicの紹介動画も作成しました。動画は、内容をさらにコンパクトにまとめ、クメール語音声で制作しました。2022年度は、さらに多くの学習者のみなさんにJFT-Basicを知ってもらい、試験にチャレンジしてもらいたいと思っています。
●2年ぶりに対面での期末試験の実施(王立プノンペン大学)
2020年3月から王立プノンペン大学ではずっとオンライン授業が続いています。そんな中、2022年2月に約2年ぶりに対面での期末試験が実施されました。報告者にとっても、大学の教室の中に入るのは初めてのことでした。2年ぶりに大学に集まった学生は、最初は少し緊張した面持ちでしたが、教室の中は学生たちの元気な笑い声で溢れていました。オンライン授業にもすっかり慣れてしまいましたが、早く日常が戻り、活気あふれる大学が戻ってくることを願っています。