日本語専門家 派遣先情報・レポート
ジャカルタ日本文化センター(中部ジャワ中等)

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
ジャカルタ日本文化センター(中部ジャワ中等)
The Japan Foundation, Jakarta
派遣先機関の位置付け及び業務内容
ジャカルタ日本文化センター派遣の日本語専門家として中部ジャワ州およびジョグジャカルタ特別州の中等教育を担当。新型コロナウイルスの影響によりオンライン支援に切り替え、次の業務を主に行っている。(1)高校日本語教師会の活動支援、(2)現地日本語教員への日本語・教授力向上を目的としたワークショップの実施、(3)担当地域にある大学への支援(4)ジャカルタ日本文化センターが実施する事業への協力
所在地
Semarang, Indonesia
国際交流基金からの派遣者数
専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年
2008年

ジャカルタ日本文化センター(中部ジャワ・ジョグジャカルタ特別州)
村上 奈未

中部ジャワ州とジョグジャカルタ特別州の日本語専門家(以下、専門家)として2020年からオンラインで支援を行なっています。2021年は地方の日本語教育を支援するとともに、中等教育チームの講師・専門家が協力し合い、インドネシア全国の中等日本語教師を対象に支援を行ってきました。今回は地方支援の様子と現場の声を基に企画・実施をしたワークショップについて紹介したいと思います。

新体制となった教師会!

地方専門家として、業務の柱に地域にある高校日本語教師会(Musyawarah Guru Mata Pelajaran・以下、MGMP)の支援があります。2020年は新型コロナウィルスの影響により、MGMPの活動が不定期であったり、休止しているところもありました。しかし、2021年からはオンラインで活動することが当たり前になり、徐々にウィズコロナでのMGMP運営ができてきたと感じます。そんな中、2021年は9月に中部ジャワ、12月にジョグジャカルタ特別州のMGMPの会長と役員の選挙がありました。新しく選出された各MGMPの会長と役員は、2025年までの任期でMGMP運営を行います。早速、各MGMPでは2022年度の計画やどのようにMGMPを運営していくか話し合いが行われました。会長や役員が交替したことで、MGMPのカラーも変わってくると思います。地方専門家として支援を進めていく上で、地域の教師会は非常に重要な位置づけにあります。教師会のニーズに応えられるよう、引き続き、現場の声を大切に支援を進めていきたいと思います。

インドネシア高校日本語教師会の会長と役員の写真
ジョグジャカルタ特別州MGMPの会長と役員

オンラインで文化紹介をしよう!文化紹介ワークショップ

新型コロナウイルスの蔓延により日本語クラブの休止や授業時間の縮小で高校生たちが日本文化に触れる機会がなくなっているという現状があります。高校の日本語教師は、オンラインを使って日本語の授業をすることには慣れたものの、文化紹介はどのようにしたらいいか分からないといった声が届くようになりました。そこで、教師たちがオンラインで文化紹介ができることを目指したワークショップ(以下、WS))を企画しました。

インドネシアで行なわれた文化紹介「あやとり」の写真
文化紹介「あやとり」の振り返り

今回実施したWSは、「体験する」「考える」「作る」の3つのセッションで構成されています。「体験する」セッションでは、ファシリテーターが15分程度の文化体験を行い、教師が体験したものをそのまま自分の学校で模倣して使えることを目指しました。1回目のWSは「はし」、2回目のWSは「あやとり」を行いました。実際に文化体験をすることで短い時間でも文化紹介ができることに気づけたようです。「考える」セッションでは、教師たちが自分たちの取り巻く環境を振り返り、その中で文化紹介についてできることをお互いに考える機会を設けました。最後に「作る」セッションでは、グループで文化紹介のパワーポイントを作ります。完成したパワーポイントはWS終了後、“お土産”として持ち帰ってもらい、自らの学校ですぐ活用できるようにしました。

1時間半という短い時間のWSでしたが、参加した教師からは、「オンラインでも文化紹介ができることが分かった」「他の地域の先生とディスカッションをして新しい情報を得ることができた」といったコメントがありました。WSで学んだことや気づいたことをそれぞれの教育現場で活かしてほしいと思います。

最後に

オンライン支援が3年目に突入しようとしています。先生方と対面で会える日がもうすぐ来ることを願いながら、日々支援業務を行っています。2020年からの支援を通じて、オンラインだからこそできた支援や対面での支援の必要性など、様々な気づきを得ることができました。私たちが行うワークショップや支援は現場の教師たちの協力がなければ成り立ちません。共に現場の日本語教育を良くするパートナーとして、教師たちに寄り添う専門家でありたいと思います。

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