世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)LJIの日本語コースと学生たち

ラオス日本センター
相馬森佳奈

みなさんは、ラオスという国を知っていますか。タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、中国と国境を接している内陸国で、人口700万人弱、近隣諸国から比べるととても小さな国です。東南アジアの中でも日本人にとってあまりなじみのない国の一つだと思いますが、実は今年は日ラオス外交関係樹立60周年で、ラオスでは多くの日本関連のイベントが開かれています。そんなラオスの日本語教育事情を少しご紹介します。

私が派遣されているラオス日本センター(以下、LJI)では2012年にJF日本語講座が開設され、教科書『まるごと 日本のことばと文化』を使った日本語教育を行っています。日本の情報が少なく、日本語教育も決して盛んとは言えないラオスですが、それでも「日本が大好き」という学生たちが週に3回(土日クラスは2回)日本語を学びに来ています。

日本語・日本文化体験

日本人とのオンライン交流の様子
日本人とのオンライン交流

ラオスには日本人があまり多くないのでせっかく日本語を勉強しても日常生活の中で日本語を使う機会はほとんどありません。そのためLJIの日本語コースでは定期的に日本人を教室にお招きして交流会を行ったり、オンラインで日本人と交流したり、学生たちがガイドとなって市内を案内する活動を行ったりしています。交流会の前には、これまでに勉強したことをきちんと使えるように準備をし、練習をし、当日に臨みます。日本語を実際に使う数少ないチャンスとあって学生たちは緊張しながらも張り切っています。交流会に参加してくれた日本人からは普段接することのない日本語学習者と交流できてよかったと好評で、交流会以後も友人として遊びに行ったり、LJIの他のイベントに招待したりして交流を続けています。

日本クラブ

日本語を使って福笑いに挑戦!の様子
日本語を使って福笑いに挑戦!

LJIの学生たちの中には日本語を勉強するだけでなく「LJI日本クラブ」というクラブを作り、活動している学生たちもいます。彼らはLJIで毎年行われる日本文化まつり以外にも、Japan FestivalJAOL(ラオス元日本留学生会)の総会など日本関連のいろいろなイベントに呼ばれてダンスを披露しています。現在のレパートリーは「よさこい」「恋するフォーチュンクッキー」「ようかい体操」ですが、レパートリーを増やすために、日本が大好きなLJIの先生たちも一緒になって日々インターネットで研究しています。みなさんも機会があればぜひLJIの学生たちによる日本のダンスを見にいらしてくださいね。

ラオスで日本語を学ぶ外国人

実は、LJIで日本語を学んでいるのはラオス人だけではありません。フランス人やマレーシア人、そしてカンボジア人が8人もいます。仕事や留学でラオスに来て、日本語に興味を持ち日本語を学びに来ています。『まるごと 日本のことばと文化』を使った授業では日本の文化について学びながら自国の文化と比較して話し合う活動がありますが、クラスの中にラオス以外の文化を持った学生がいることで話し合いがさらに活発になり、お互いにいい刺激になっているようです。

今年はASEAN経済共同体(AEC)が発足する予定です。発足すれば、今まで以上にASEAN内での人や物の動きが大きくなります。今後は彼らのようなラオスで日本語を学ぶ外国人がさらに増えていくのかもしれません。

ラオスでは日本語はまだ盛んとは言えません。それでもここ数年で日系企業の数もかなり増えてきました。また最近では技能実習生や留学生の候補としてラオス人も少しずつ注目され始めてきています。ラオスの日本語教育が今後どのように広がっていくのかとても楽しみですし、LJIとしてどんな支援ができるのか考え、出来る限りの支援をしていきたいと考えています。

What We Do事業内容を知る