世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ラオス人講師、がんばってます!

ラオス日本センター
相馬森佳奈

レベルアップしたい!

勉強会の様子の画像
まずは自力で・・・

ラオスは、タイやベトナムなどのまわりの国と比べると、日本語教育が盛んとは言えません。日本語教育機関数も増えてきているとはいえ、まだまだ数えられる程度です。ましてラオス人の日本語講師となると非常に少ないのが現状です。

このような状況で「ラオス人日本語講師のレベルアップ」というのは常に課題となっています。ラオス人の日本語講師たちはみんな非常に熱心で、「勉強会をしたい」「自分の日本語力を伸ばしたい」と思っています。それでも日々の授業や仕事に追われ、なかなか自分たちが勉強する時間をとるのが難しい状況です。これまでも何度か勉強会は実施してきたのですが、仕事が忙しくなってしまったり、スケジュールをあわせるのが難しくなったりして、中断してしまっていました。

昨年の夏ごろ「日本語能力試験のための勉強をしたい」という要望があり、ラオス日本センター(以下、LJI)内部でN1を受ける講師とN2を受ける講師のための2つの勉強会をスタート、読解と文字語彙を勉強しました。「日本語能力試験」という具体的な目標があったこともあり、何度か実施できなかった週もありましたが、試験が終わるまでの約半年間、中断することなく継続して勉強会を行いました。N2を受けた講師は見事N2に合格、N1を受けた講師は残念ながら不合格でしたが、今年の試験に向けてさらに意欲を燃やしています。

ニュースの読解に挑戦!

解説のメモを取りながら勉強会に参加している様子の画像
解説はメモを取りながら・・・

せっかく講師のための勉強会を開催するなら、LJIの講師だけではもったいない。他の教育機関のラオス人講師にも参加してもらうことでラオスの日本語教育全体のレベルアップにつなげていこう!!ということで、2016年度は、LJIの講師だけでなくビエンチャン市内で日本語を教えているラオス人講師全体のレベルアップを目的として、勉強会を開くことにしました。参加しているのは、全員で8名。テーマは「ニュースを読む」です。日本のニュースを読むことで、新しい語彙や文法を学ぶとともに、あまり普段日本のニュースが入ってこない環境にあるラオス人講師に、日本で現在起こっていること・話題になっていることなどを知ってもらうことを目的としてこのテーマを設定しました。参加している講師はみんなN2程度で、ニュースを読むのはまだ少し難しいタスクです。それでも毎回約2時間、みんなで一生懸命勉強しています。

一口に「N2程度」といっても、かなり語彙力の高い講師、漢字が苦手な講師、知識としては文法をたくさん知っているがまだ運用はできない講師など、いろいろな違いがあります。そんな講師たちが集まって、時には相談しながら、時には教え合いながら、時には冗談を言い合いながらニュースを読んでいます。

複数の教育機関のラオス人講師が定期的に集まって一緒に勉強する機会はこれまでほとんどなく心配な面もありましたが、勉強会の合間に比較的経験の浅い講師が経験の長い他の機関の講師に教え方を聞いたり、文法の教え方について相談し合ったりする姿もみられ、講師達にとっては勉強だけではないメリットがあるようです。

ラオス人講師たちの熱心に頑張っている姿を見て、こちらももっともっと頑張ろう!!という気にさせられる勉強会となっています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Laos-Japan Human Resource Development Institute
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ラオス日本センターは日本の政府開発援助により設立され、現在は国際協力機構(JICA)と国際交流基金の協力のもとで、日本とラオス両国によって運営されている。ビジネス経営の知識や日本語を学ぶ場として、市場経済化促進のための人材育成を行うとともに、様々な文化交流事業を実施することにより、日本とラオスの交流・相互理解促進を目指している。2012年10月よりJF講座が開始され、JF日本語スタンダードに基づいた日本語教育の普及、及び、教師育成や教育機関ネットワーク促進の拠点としての役割を担っている。
所在地 Vientiane, Laos
国際交流基金からの派遣者数 2名(専門家:1名、調整員:1名)
国際交流基金からの派遣開始年 2005年
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